猫に寄生するノミにはどう対処すればいい?効果的な駆除・対策・予防法をわかりやすく解説

2022/12/12

猫に寄生するノミ

繁殖力、生命力ともにとても手ごわいノミ。

猫に寄生したノミは、猫に激しいかゆみを引き起こすだけでなく、放っておけば皮膚炎や下痢や嘔吐などの病気につながることもあります。

あまりの痒さに、皮膚をかきむしって出血を伴う愛猫の姿を見るのは飼い主として耐え難いことです。

この記事ではノミ対策・猫に寄生してしまった場合の駆除方法までを解説していきます。記事の内容を参考にして、飼い主としてできるノミ対策をしっかり行っていきましょう。

猫のノミとは?

猫のノミとは

そもそもノミの種類は、主にネコノミ、イヌノミ、ヒトノミの3種類があります。

その中でも猫に寄生するノミは「ネコノミ」と呼ばれています。

名称に「ネコ」とついていますが、猫だけではなく、自らの体温を一定に保つことができる小動物の体毛・外表皮に寄生し、口器を皮膚に刺して吸血して危害を加えます。

その体長は、成虫で2〜3ミリメートル程度あり、肉眼で確認することもできます。

寄生する動物が近くに来るまで待機し、二酸化炭素や体温などで動物の気配を察知すると狙いをつけ、髙さ30センチメートル程跳躍して寄生します。

ノミの成長過程と生存期間(ライフサイクル)

今回は、現在日本で最も多く見られる「ネコノミ」のライフサイクルや特徴について見ていきましょう。

ノミは、動物に寄生すると卵→幼虫→さなぎ→成虫の順に成長し、放っておくと以下のサイクルを繰り返し1~2ヶ月の寿命の間に1,000個もの卵を産む可能性があります。

  • ①「成虫」になったノミが猫に寄生、10分以内に吸血、48時間以内に「産卵」
  • ②「卵」は猫の体に留まらず床や畳などに落下。1~2週間で孵化して「幼虫」へ
  • ③「幼虫」は部屋のハウスダストなどを食べ1~2週間で2度脱皮して「さなぎ」へ
  • ④「さなぎ」は、数日~数週間で「成虫」へ。ただし、環境条件によっては数ヶ月~数年眠っていることもある
  • ⑤「成虫」になったノミは再び動物に寄生

1度室内に持ち込まれると繁殖を繰り返し、あっという間に増えてしまうので、しっかりと対策をして被害を最小限に食い止めることが重要です。

ノミが繁殖しやすい時期

繁殖力、生命力ともにとても手ごわいネコノミは、13~32℃の湿度の高い環境であれば、どこでも繁殖が可能です。

日本において春〜夏は特に繁殖しやすい時期と言われ、気温18℃〜27℃、湿度75~85パーセントが繁殖する好条件の環境になります。

一方で、秋〜冬であっても飼い主と一緒に暮らす猫の室内は暖かい好条件の状態で維持されるため、一年中繁殖が可能だといえます。

ノミによる症状

ノミによる症状

ノミは猫の体表に常に生息しているわけではありません。

そのためネコの被毛の根本を探してもネコノミの姿が見えないことがあるので猫の異常に気付けるかどうかが重要となります。

症状

猫にノミが寄生すると、無症状の場合もありますが、以下のような症状が見られることがあります。

  • 首や背中に小さなカサブタや腫れ物がある
  • 首やしっぽの付け根などに炎症が起こっている
  • 毛が抜けることが多くなる
  • うんちに白っぽい瓜実条虫(サナダムシ)が排出される

行動の変化

以下のような行動の異変が見られるようになった場合は、ネコノミに吸血されている可能性があります。

  • 顔の周辺などを頻繁に掻く仕草をする
  • 頻繁に体をなめたり毛づくろいをしたりする
  • それまで過ごしていた部屋に突然入りたがらなくなる
  • ノミの糞が体についている

ノミが原因で引き起こされる病気

ノミ 病気

ノミがおそろしいのは上記で説明したような行動の変化があらわれるだけでなく、病原菌などを媒介して病気を引き起こすことにあります。

ノミ対策をせず、猫が寄生・吸血されたまま放置すると、一例ではありますが、 以下のような病気を発症するおそれがあるので注意しましょう。

ノミアレルギー性皮膚炎

ノミが寄生して吸血した際に出す唾液がアレルゲンとなって、激しいかゆみを伴う皮膚炎を発症します。

主に首や背中、お尻などに赤いブツブツや脱毛が見られるほか、ひどく皮膚をかゆがります。あまりにかゆみが激しいときには皮膚をかきむしって出血を伴うこともあります。

一度でもノミアレルギー性皮膚炎にかかると、その後は少数のノミが寄生しただけでも同じ症状に悩まされることがあり、完治には時間がかかるといわれています。

貧血症状

体長2〜3ミリメートル程度の小さなノミですが、大量の猫ノミに感染した場合、血を吸い続けられることによって貧血症状を起こすことがあります。

特にまだ体ができあがっていない子猫は、貧血を起こす傾向が高いので注意が必要です。

瓜実条虫症(うりざねじょうちゅうしょう:サナダムシの一種)による下痢や嘔吐

瓜の種が連なったような形をしている瓜実条虫(うりざねじょうちゅう:サナダムシの一種)の卵を摂取して体内に寄生させたノミを、猫がグルーミングによって舐めとってしまうことで感染する病気です。

感染しても無症状の場合がほとんどですが、下痢や嘔吐の症状をもたらすことがあります。

瓜実条虫は猫の腸に寄生しますが、排泄時に切れた片節(体の一部)が肛門周囲やうんちにつくことで確認することができます。

猫にノミがついてしまった場合の対策・駆除方法とは

猫 対策 駆除

これまでに示したように猫にノミがつくとさまざまな症状や病気を引き起こす恐れがありますので、猫にノミがついてしまった場合は放置せず、できるだけ早く駆除してあげましょう。

猫の体にいるネコノミの見つけ方

まずは猫にノミがついているのかをチェックしましょう。

ただし、はじめてノミを探す時「ノミがいる状態とはどのような状態か」というのがわからない方もいると思います。

ノミは体長2〜3ミリメートル程度と小さいうえに動きもすばやいので、目を凝らしてやっと猫の周囲で何かが跳んでいるのが見えることがあります。ただし、このような探し方ではかなりの根気が必要です。

そこで簡単に確認する方法は、ノミの糞を探すことです。

被毛の根本に黒いツブツブがあり、湿ったティッシュにのせると赤茶色ににじむ場合は、それはノミの糞で、ノミが寄生・吸血している危険性が高いといえます。

ノミの糞が見つかった場合は、すぐに以下のような対策をしましょう。

ノミ駆除薬を使う

ノミ駆除薬

ノミを駆除するのにもっとも効果的で最善な方法は、ノミ用の駆除薬を定期的に投与することです。

また投薬後もノミがいない状態を保つための予防としてノミ駆虫効果のある薬剤を定期的に投与することをおすすめします。

市販薬もありますが、獣医師に相談したうえで猫に合った薬を処方・購入するのがおすすめです。また与える際は、必ず薬剤の投与量や回数、次の投与までの間隔を守りましょう。

駆除薬の副作用が強く出てしまい、体調を悪くさせてしまう恐れがあるからです。

ノミ駆除薬以外の対策方法

ノミ取りクシ

ノミ駆除薬の他に、ノミ取りクシやノミ取りシャンプーなどを使って対策する方法があります。ただし、これらの方法では、ノミの数を減らすことが出来ても完全に駆除するのは難しいことを覚えておくことが大切です。

「ノミ取りクシ」は、普通のクシと比べて目の密度が高いのが特徴で、この細い隙間でノミのやノミの糞や卵をキャッチするようにできています。

取ったノミは水につけておくと溺死するので、紙コップやバケツなどに水を用意して沈めて駆除しましょう。

またガムテープやコロコロ(粘着クリーナー)のようなものにくっつける場合は、すぐにごみ処理に出すようにしましょう。ゴミ箱に捨てただけではゴミ箱の中で繁殖することがあるからです。

ただ、前述の通り、ノミ取りクシのみでノミを駆除するのは難しく、時間がかかり、ノミの寄生を悪化させてしまう可能性もあるため、薬とうまく併用して予防と駆除を行うことが推奨されます。

猫のノミ対策として、ノミ取りシャンプーで猫の体を洗い、汚れと一緒にノミのフンや卵を洗い流す方法ができます。ただし、ノミ取りクシ同様に、基本的にノミ取りシャンプーはノミを完全に「駆除」する対策にはなりません。

体に付着した成虫を洗い落とすことができたとしても、被毛の根本に産み付けられている卵などをシャンプーのみですべて除去することはむずかしいからです。

製品によっては皮膚の炎症を抑えるなどの成分が含まれているので、かゆみを抑えたい場合に使用したり、ノミ駆除薬と合わせて使ったりしてシャンプー後のノミの数を減らすことを目的に使用するのが良いでしょう。

一番やってはいけないのは「ノミをつぶすこと」

ノミのメスの成虫を潰してしまうと、体内にある卵が弾け飛んで飲みを撒き散らしてしまいます。

卵が部屋中に広がり再度増殖する可能性があるので、ノミを潰すことはやめましょう。

ノミがついてしまう原因

そもそもノミは、どこで猫についてしまうのでしょうか。

主に以下の4つが挙げられます。

  • 猫を外に出したり、散歩させたりする
  • ノラ猫やノミに寄生した動物に接触する
  • 人が外から室内に持ち込む
  • 室内での繁殖

特に外で行動をさせるとすぐにノミを体に付けてきてしまいますので、できるだけ室内飼いにしたほうが良いでしょう。

ノミがつかないためにすべき予防法

ノミ 予防

愛猫をノミによるトラブルや病気から守るためには、飼い主さんがしっかり予防や対策をしてあげることが重要です。日ごろから、以下のようなノミ予防法を実践しましょう。

できるだけ外に出さない

家の外に出さないのが、最も有効なノミ予防です。

外に出れば、ノミだけではなくマダニなどと遭遇してしまう可能性が高まります。

ベランダや庭先に出ただけでノミに寄生されることがありますので、窓やベランダ、玄関に囲いなどをしておき、寄生される可能性があるものにできる限り触れることがないようにしましょう。

定期的に予防薬を使用、もしくはお出かけ前に虫よけスプレーをする

ノミ 虫よけスプレー

特にノミが活発化する時期に外出する場合は、前述したような駆除薬を定期的に使用することや、体や衣類に虫よけスプレーを吹きかけておくことをおすすめします。

今ではノミを含めたほかの害虫に効果があるタイプの虫除けスプレーも数多く販売されています。

運動不足解消のために散歩させたり、動物病院を受診したりと猫を外に出す機会を0にすることは難しいと思いますので、そうしたときにご紹介したような駆除薬や虫除けスプレーなどを使用してから外出するようにしましょう。

ノラ猫やノミに寄生した動物に接触させない

ノラ猫だけでなく、犬など他の動物に寄生したノミが寄生してうつってしまうことがあります。

ノラ猫との接触はもちろん、他の動物を飼っている場合は、ノミが繁殖しやすい時期は特に接触を控えるようにしましょう。

自宅に入る前に衣類や靴をはたく

対策として室内にノミを侵入させないことは大前提となります。

そのために家の中に入る前に靴や衣類についたノミや卵を落とすために、外で服などをはたき、手を洗ってから猫の体に触れるようにしましょう。

部屋を掃除して清潔に保つ

どれだけ対策をしていても人の体についた小さなノミに気づかず持ちこんでしまうことは十分にありえます。

室内に入った卵やノミが孵化・繁殖する前に駆除できるよう、こまめに部屋を掃除してノミを発生させないようにしましょう。

ノミが生んだ卵や幼虫は猫に寄生することはできず、多くは床の上に落ちるので、こまめに部屋に掃除機をかけるだけでノミの数を減らすことができるのです。

特にカーペットや畳の内部、マットの下などはノミの温床になりやすい場所なので、重点的に掃除を行いましょう。更に念入りにノミを除去したい場合は、コロコロ(粘着クリーナー)を使うと効果が高まります。

他にはノミの成虫と卵の両方に駆除効果があるくん煙・くん蒸殺虫剤を使用する方法もあります。

ただし、くん煙・くん蒸殺虫剤は猫はもちろん同居するペットや子供などの健康に悪影響があることもあるため、使用する際には注意書きをよく読み、安全を確保して利用しましょう。

まとめ:普段からノミ対策を心がけよう

ノミに寄生されてしまうと、つらいかゆみが出るだけではなく、放置してしまうとさらに猫を苦しめてしまうことになりかねません。

そしてノミが寄生していると思ったら、すぐに動物病院を受診しましょう。

ご紹介した市販の駆除薬やノミ取りクシ、ノミ取りシャンプーなどもありますが、動物病院で処方してもらえる薬が一番効果的で安全性も高いです。

そして、室内飼いだからとノミ対策は万全だと安心してはいけません。

飼い主として猫を危険にさらさないためにも、ノミを持ちこまず、こまめに部屋を掃除して清潔に保つように心がけましょう。

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この記事を書いた人

なつ インポートマネージャー

「ペットに携わる仕事がしたい」の一心で、2年前に異業界からグローバルペットニュートリション㈱に転職。子供の頃に家にいたセキセイインコとは、友達のように喜怒哀楽を共有して一緒に育った。 学生時代の4年間をアメリカのイリノイ州で過ごす。趣味はテニスで、身体を動かすことが好き。 将来は、人間の家族と犬と一緒に朝活ランニングすることが小さな夢。