ゲルフ大学で動物生物学の優等学士号、栄養学と栄養補助食品を副専攻。現在、同じくゲルフ大学の動物バイオサイエンス学部でコンパニオンアニマル栄養学の修士課程を修了中。
2022/04/19 更新日:2022/12/12
ホリデーシーズンになると、七面鳥においしいクランベリーソースをかけて食べますが、「私がクランベリーを食べられるなら、うちの猫も安全に食べられるのだろうか?」と疑問に思うかもしれません。
嬉しいことに、 クランベリーには、猫にとって嬉しい効果がたくさんあると言われています。
クランベリーは、抗酸化作用のあるビタミンCやE、食物繊維、ビタミンK、マンガンなどを豊富に含んでいます。また、天然のポリフェノールとプロアントシアニンも含んでおり、「尿路結石症(尿石症)」を引き起こす尿路感染症などの予防する効果が期待できます。
ここでは、そんなクランベリーを猫に与えるメリットから与え方、そして、クランベリーを含んだキャットフードまでご紹介します。
クランベリーは猫の健康をサポートする嬉しい特徴に富んだ食材
クランベリーは、オシッコトラブルなど尿路の健康をサポート
猫に1日の摂取量の10%を超えてクランベリーを与えてはいけない
【 目 次 】
尿路感染症(UTIs)は、細菌が尿道から膀胱に侵入して起こる病気です。
細菌が尿路に定着すると、尿の中で菌が増殖し、尿路感染症(UTI)を引き起こします。尿路結石症(尿石症)の原因となり、猫はさらなる健康上の問題に直面する可能性が高くなります。
「尿路結石症(尿石症)」を引き起こすストルバイト結石の詳細については「猫のストルバイト結石。その原因と今からできる6つの対処法」にまとめていますので合わせて参考にしてみてください。
では、クランベリーのどこに予防効果があるのでしょうか。
それは、赤くて丸い小さな果実に含まれる強い抗酸化作用を持つ「プロアントシアニン」というポリフェノールが、尿路感染症の予防に一役買っているのです。
プロアントシアニンは、細菌が尿路の壁に付着するのを防ぐため、排尿時に細菌を洗い流し、感染症を予防します。※1
クランベリーは、すでに発症している尿路感染症を治すために使用することはできません。しかし、クランベリーを定期的に摂取することで、尿路の健康をサポートし、将来の感染症や再感染を予防できると考えられています。
クランベリーは、猫が幸せで健康な生活を送れるようサポートするのです。
ただし、いくらクランベリーに予防効果があるからといって、猫が頻繁に尿路感染症などを起こしている場合は、動物病院で診察を受けることが重要であることを忘れないでください。
「抗酸化物質」は、体内で増えてしまった活性酸素を減らしたり、細胞が受けるダメージを軽減したりする物質です。
活性酸素は、体内での正常な活動の中で作られる物質です。しかし、その量が増えすぎてしまうと、炎症や細胞の損傷を促進し、身体に害を及ぼす可能性があります。
これらの悪影響により、心臓病、糖尿病、がんなど、多くの慢性的な健康問題の原因となる可能性があります。
猫は、年齢を重ねることで新しい細胞を作る力は徐々に低下し、また活性酸素の数をコントロールする機能も低下していきます。そのため、老化によって活性酸素が体内に増えすぎてしまい、細胞の老化がより進みやすくなると考えられているのです。
また活性酸素は、特にストレスを感じた時や紫外線を浴びることで増えることが知られており、同様に注意が必要です。
そうした活性酸素に対して、クランベリーに含まれる抗酸化成分は、炎症や酸化ストレスと戦い、猫の全体的な免疫機能を高め、さまざまな病気から猫を守るのに役立ちます。
クランベリーは、ポリフェノールも豊富に含んでいます。
ポリフェノールは、植物にのみ含まれる光合成を行うときに作られる苦味や色素の成分です。ポリフェノールは、抗酸化物質とともに、酸化ストレスやそれに伴う炎症、心臓病、ガンなどの病態から体の組織を保護することができます。※3
クランベリーの皮は食物繊維の宝庫です。
この繊維質は、腸内細菌のエサとなって腸内環境を整えたり、うんちを固めたりする働きがあるため消化器の健康を促進します。食物繊維は消化器内では分解・吸収されないので、食べ応えにも貢献し、ペットに満腹感を与えます。また、肥満の予防や体重管理のサポートに役立つ可能性があることが研究されています。※4
猫は生のクランベリーを食べてもいいのでしょうか?
基本的には大丈夫です。しかし、猫は、この珍しいベリーの食感が好きではないかもしれません。
そこで、ジュースにして与えたいと考えるかもしれませんが、ベリーの皮がないと、ポリフェノール、ビタミン、食物繊維の効果が得られないのでやめたほうがいいでしょう。また、ジュースには、糖分が含まれていることがありますが、これはあまり猫の健康に良いものではありません。
猫にクランベリーを与える最も簡単な方法の、クランベリーを原材料として含む、総合栄養食の食事を選ぶことです。同時にペットの栄養全般を補うことができます。
例えば、当社のNOW FRESH™(ナウフレッシュ) は、クランベリーとそのあらゆる効果を含む総合栄養食です。
総合栄養食の詳細は「犬や猫の主食になる「総合栄養食」とは?選び方や注意すべきポイントなどを解説」にまとめていますので参考にしてみてください。
現在、クランベリーの猫が1日に接種する安全量の上限は設定されていません。
ただし、一般的な考え方では、クランベリーはおやつと考えるべきとされています。つまり、ペットの1日の摂取量の10%を超えてクランベリーを与えてはいけないということです。
またペットの健康上の問題に対する機能性サプリメントとしてクランベリーを検討している場合は、獣医師に相談する必要があります。
このように、クランベリーは猫の健康をサポートする嬉しい特徴に富んだ食材です。猫の日々の食事に上手に取り入れてあげたいですね!
1. Hisano, M., Bruschini, H., Nicodemo, A., & Srougi, M. (2012). Cranberries and Lower Urinary Tract Infection Prevention. Clinics, 67(6), 661-667. doi:10.6061/clinics/2012(06)18
2.Phaniendra, A., Jestadi, D. B., & Periyasamy, L. (2014). Free radicals: Properties, sources, targets, and their implication in various diseases. Indian Journal of Clinical Biochemistry,30(1), 11-26. doi:10.1007/s12291-014-0446-0
3.Hussain, T., Tan, B., Yin, Y., Blachier, F., Tossou, M. C., & Rahu, N. (2016). Oxidative stress and inflammation: What polyphenols can do for us? Oxidative Medicine and Cellular Longevity, 2016, 1-9. doi:10.1155/2016/7432797
4.Slavin, J. L. (2005). Dietary fiber and body weight. Nutrition, 21(3), 411-418. doi:10.1016/j.nut.2004.08.018
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