犬にりんごを与えても大丈夫?食べてもよい適量と注意点を解説

2022/12/20

犬 りんご

「1日1個のりんごは医者を遠ざける」というイギリスのことわざにも出てくるように、りんごは栄養豊富な果物として知られています。

そんなりんごを犬が美味しそうに食べるという声をよく聞く一方で、そもそも犬にりんごを与えて大丈夫なのかと不安に思っている飼い主も多いようです。

結論から言うと、りんごは犬に与えても大丈夫な果物です。

本記事では、犬にりんごを与えても大丈夫な理由から与え方、そして注意点まで解説します。

この記事で伝えたいこと

犬にりんごは与える際は、喉につまらないように薄くカットまたはすりつぶしてから与えましょう

りんごの「皮」は与えても大丈夫。ただし、種や芯は与えてはダメ!

りんごの与えすぎはNG。適量をおやつ程度に与える

犬はりんごを食べても大丈夫

犬はりんごを食べても大丈夫

結論から言うと、りんごには犬の体によくない有毒成分は含まれていませんので安心して与えることができます。

しかし、りんごを食べて下痢、嘔吐、痒みといったアレルギーを起こす犬は少数ながら存在します。

アレルギーは、体内の免疫機能がタンパク質に対して異常に反応することで起こるものです。りんごには少量ではありますがタンパク質が含まれているので、りんごアレルギーのある犬にりんごをあげるのはやめましょう。

また与え過ぎも要注意です。身体の小さな犬にとっては、一口サイズでも体重換算で人間で計算するとかなりの量になることがあるのであくまで適量であることが大切です。

そもそも栄養面において総合栄養食の良質なドッグフードを食べている場合は、それ以外の食事は基本的に必要ありません。

食欲が落ちていて、とにかく何か食べさせたい時や水分を摂らせたいとき、またはおやつや食事のトッピングとして検討するのが良いでしょう。

総合栄養食については「犬や猫の主食になる「総合栄養食」とは?選び方や注意すべきポイントなどを解説」に詳しくまとめているので参考にしてみてください。

りんごに含まれる栄養素と効果

りんごに含まれる栄養素と効果

りんごには犬の健康維持に役立つ栄養を含んでいます。期待できる代表的な効果には以下のようなことが挙げられます。

  • りんごの甘酸っぱい味を作り出している「クエン酸」と「リンゴ酸」には、疲労回復をサポートする働きがあります。また犬のシュウ酸カルシウム結石の予防に効果があると言われています
  • リンゴに含まれる「ペクチン」という水溶性の食物繊維には、腸内環境を整える働きがあり、腸内環境が整うことで、免疫力アップの効果が期待できます
  • リンゴに含まれる「カリウム」には、浸透圧を調整する作用があり、体内に溜まった塩分を尿と一緒に体外に排出することで、血圧が高くなるのを防ぎ、腎臓病の予防に役立ちます
  • 強い抗酸化作用が期待できる「りんごポリフェノール」は、病気の予防や老化防止に役立ちます

りんご1/3個(約100g)に含まれる栄養成分と効果

りんご1/3個(約100g)に含まれる栄養成分と効果

以下では、上記で示したようなりんご(皮つき)100gあたりに含まれる代表的な栄養素と効果を紹介します。

有機酸(クエン酸・リンゴ酸) 0.4g

りんごの甘酸っぱい味を作り出す有機酸であるクエン酸・リンゴ酸は、体内の代謝を促し、体に溜まった疲労物質の乳酸を分解する作用があります。また犬の尿中のカルシウムにくっつき、外へ排出するサポートをすることもわかっており、犬のシュウ酸カルシウム結石の予防にも効果があると言われています。

食物繊維 1.9g

リンゴには「ペクチン」という水溶性食物繊維が含まれています。

ペクチンは腸内で善玉菌のエサとなり、腸内環境を整える働きをします。腸内環境を改善することで、便秘や軟便の解消と免疫力アップの効果が期待できます。

カリウム 120mg

リンゴにはミネラルのひとつであるカリウムが多く含まれています。

カリウムにはナトリウムとバランスをとりながら、細胞を正常に保ったり、体液の浸透圧を調整したりといった働きがあります。この他にも心臓や神経、筋肉の動きにも関係しています。

ポリフェノール

りんごには100種類以上のポリフェノールが含まれており、それらをまとめて「リンゴポリフェノール」と呼びます。

ポリフェノールはビタミンC以上に抗酸化能力が高く、犬の体内でも活躍してくれます。

特に血行改善やアレルギー抑制、高血圧の予防やがん細胞の生成を抑える効果などの病気の予防や老化防止に効果があると言われています。

ビタミン群

リンゴには、ビタミンA(βカロテン),ビタミンB1、B2、B6 、葉酸などのB群、ビタミンC、ビタミンEが含まれています。

ビタミンC 6mg

体の細胞と細胞の間を結ぶコラーゲンというたんぱく質をつくるのに不可欠で、犬の皮膚、皮膜や粘膜などの健康維持に役立ちます。また、抗酸化作用があるため、アンチエイジングや動脈硬化の予防、免疫機能のアップなども期待できます。

ビタミンE(トコフェロール) 0.4mg

紫外線などによる活性酸素による酸化ダメージから細胞を若々しく健康的に維持するのに役立ちます。

ビタミンEはビタミンCと一緒に摂ることで、より効率的にその作用を発揮するといわれています。

リンゴには、ビタミンCとEの両方が含まれているので、強い抗酸化作用を期待できます。

※りんごの可食部100g当たりの数値
※参照元:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=07_07107_6

犬へのりんごの与え方

犬へのりんごの与え方

犬にりんごを与える際は、喉に詰まらせないように薄くカットしてから与えましょう。

皮は与えてもOK。ただし、種や芯は与えてはダメ!

リンゴの皮は、与えても大丈夫です。また皮にはペクチンやポリフェノールが多く含まれているので一緒にあげたいと考える飼い主も多いはず。

ただ与える際は、皮は消化しにくいので細かく刻んであげること、また農薬などが付着していることもあるので、よく洗ってから与えるようにしましょう。

種や芯には、ごく微量ですが「アミグダリン」という有毒な成分が含まれており、中毒をおこす危険性があるので、種や芯は必ず取ってからあげましょう。

りんごは薄くカット、もしくはすりつぶす

リンゴは、喉に詰まりやすいので必ず薄くカットしましょう。

いちごやバナナのように柔らかくつぶれないので、もし喉につまらせてしまったら大変です。心配な方はすりおろして与えると良いでしょう。

犬にりんごを与えるときの適量(小型犬・中型犬・大型犬)

犬にりんごを与えるときの適量(小型犬・中型犬・大型犬)

りんごの与えすぎには注意しましょう。

りんごは、水分量が多いため、与えすぎは下痢や嘔吐の原因となる可能性があります。また、りんごに含まれる果糖を多く摂取し続けると肥満につながりますので、あくまでおやつやトッピングとして適量を与えるようにしましょう 。

そもそも犬に必要な栄養素は、総合栄養食と記載のあるドッグフードに十分含まれており、逆にいくら栄養素が豊富といってもりんごだけでは不十分です。そのためドッグフードを主食として、りんごはおやつ、またはご褒美として与えるようにしてください。おやつで与える際は、一日の必要カロリーの10~20%分が許容量です。

以下が犬にりんごを与える際の目安です。

ただし、あくまでもカロリー上の算出値であること、犬の年齢やお腹の健康状態や運動量によっても適量は異なるのであくまで目安として調整しましょう。

犬の体重目安 1日あたりの接種可能目安

  • 小型(体重2~5kg) 37.5g~112.5g(1/8個~3/8個)
  • 中型(体重6~15kg) 112.5g~225g(3/8個~3/4個)
  • 大型(体重20~50kg) 375g~937.5g(1個と1/4個~3個と1/8個)

※りんご1個(約300g)に含まれるエネルギーは、約159calとして算出
※数値は、1日の総摂取カロリー目安の10%として算出

犬にりんごを与える際の注意点

犬にりんごを与える際の注意点

りんごは、これまで見てきたように健康な犬には問題なく与えられる食品ですが、アレルギーの点から注意が必要なケースがあります。

りんごアレルギーに注意

アレルギーは、体内の免疫機能がタンパク質に対して異常に反応することで起こるものです。

りんごには少量ですがタンパク質が含まれているので、アレルギーを引き起こす可能性があります。アレルギーを起こすと下痢、嘔吐、痒みを伴う症状などが多く見られます。

初めて犬にりんごを与えるときには、少量にしておき、ほかに新しい食べ物を与えないようにしましょう。こうすると、万が一アレルギーを起こしたときの重症化を抑え、その原因を特定しやすくなります。

心臓や腎臓に問題がある犬には与えない

りんごに含まれるカリウムは、心臓、腎臓に持病のある犬には制限が必要な成分です。特に療法食を食べている犬の場合には、りんごをあげる前に必ず獣医師に相談してからにしましょう。

その他、りんごに関するQ&A

Q.りんごの加工食品は与えても大丈夫でしょうか?

A.一般的に人間用に加工された製品は、甘味料や油脂・小麦・乳製品などが含まれていることが多く、犬にとって有害となることがあるので与えないほうがよいとされています。原材料や製法によっては与えて大丈夫な場合もありますが、犬用に作られた加工品以外は避けたほうがよいでしょう。

Q.りんごジュースを与えても大丈夫でしょうか?

A.りんごだけしか使用していない砂糖無添加の100%すりおろしたジュースであれば犬が飲んでも問題はありません。

Q.犬にりんごを毎日与えても大丈夫でしょうか?

A.与えても問題ありませんが、あくまでおやつの範囲で与えるようにしましょう。

Q.りんごと一緒にヨーグルトを与えても大丈夫でしょうか?

A.プレーンなヨーグルトと一緒であれば与えても問題ありません。ただし、与えすぎには注意し、あくまでおやつの範囲で与えるようにしましょう。

詳しくは以下の記事にまとめていますので、参考にしてみてください。

Qりんごは子犬に与えても大丈夫でしょうか?

A通常、消化器官が十分に発達する生後2〜3か月ほど経った頃から与えることができます。 ただし、子犬によっては歯が乳歯から永久歯に生え変わる生後7~8か月までは消化機能が未発達なこともあるので、心配な方は歯が生え変わったことを確認してから与えるようにしましょう。

まとめ:りんごは、犬のおやつ程度に

犬の健康に役立つ栄養成分が豊富に含まれるりんご。ただし、いくら栄養価が高いからといってもりんごはあくまでおやつとして与えるようにしましょう。

与えるときは、アレルギーに注意し、必ず薄く切って喉に詰まらせないようにしましょう。

そして、与える量は、1日の必要摂取カロリーの10%程度にし、りんごを与えた分の主食を減らしてカロリーオーバーしないよう注意しましょう。

その他の果物については「犬に与えても大丈夫な果物とダメな果物は?与える際の注意点と合わせて解説」に詳しくまとめていますので合わせて参考にしてみてください。

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この記事を書いた人

パピ姉 セールス&マーケティング担当

ペットフード業界で働くこと9年目。中学生の頃よりビションフリーゼ(メス、毛が薄め)のパピの姉として育つ。それ以来、白くてふわふわな犬が好き。趣味はビショングッズ収集。図書館司書の資格をもち絵本の読み聞かせやお話し会なども行っていた。好きな絵本は「どろんこハリー」。将来は犬と一緒に心を開いて読書を楽しむ社会貢献もしたいと思っている。

監修獣医師

高橋 宏実 獣医師・ペット栄養管理士

麻布大学 獣医学部 獣医学科卒業。東京都内の動物病院で臨床医として勤務。
その後、獣医師として栄養学をより深く学ぶことで、犬猫の健康を臨床医時代とは違う視点からもサポートできるのではと考え現在に至る。毎日欠かさず動物関係のSNSをみることで日々癒されている。

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