ペットフード業界で働くこと9年目。中学生の頃よりビションフリーゼ(メス、毛が薄め)のパピの姉として育つ。それ以来、白くてふわふわな犬が好き。趣味はビショングッズ収集。図書館司書の資格をもち絵本の読み聞かせやお話し会なども行っていた。好きな絵本は「どろんこハリー」。将来は犬と一緒に心を開いて読書を楽しむ社会貢献もしたいと思っている。
2024/10/01
マメ科の植物の多くは、栄養が豊富で健康維持に役立ちます。また、栽培の過程で大気中の窒素を土壌に還元する働き(窒素固定)を持つため、持続可能な農業には欠かせない環境に優しい食料として、多くの消費者に受け入れられています。
また、グレインフリーのフードには「穀物由来ではない炭水化物源」として、豆類(エンドウ豆、大豆、ひよこ豆、レンズ豆)、タピオカ、ジャガイモ、サツマイモなどの食材が使われています。
そんな豆類の中でも、日本の食卓に欠かせない豆腐や納豆、醤油などの原材料になっており、節分豆としても親しまれている「大豆」は、犬に与えても大丈夫という声をよく聞きます。一方で、そもそも犬に大豆を与えて大丈夫なのかと不安に思っている飼い主も多いようです。
本記事では、犬に大豆を与えても大丈夫な理由から与え方、そして注意点までを解説します。さらに記事の後半では、大豆から作られている加工食品についても詳しくご紹介いたします。
【 目 次 】
結論から言うと、大豆には犬の体によくない有毒成分は含まれていませんので安心して与えることができます。
ただし、生の豆状のままでは消化酵素を阻害する成分が含まれていることもあり、おなかに優しくありません。また、消化に悪いものを与えすぎると消化管内にガスが溜まる原因にもなりますので注意が必要です。
生の大豆を与える際には、水を加えて加熱し煮た後に、ペースト状にしたり、大豆を小さく砕いたりしてから与えるようにしましょう。
そして、人間から見ると一口サイズでも、身体の小さな犬にとっては体重換算で計算するとかなりの量になることがあるのであくまで適量であることが大切です。
そもそも栄養面において総合栄養食の良質なドッグフードを食べている場合は、栄養面で不足することはありません。食欲が落ちていて、とにかく何か食べさせたい時や水分を摂らせたいとき、または食べる楽しみ、与える楽しみとして、適量の範囲内で与えることが大切です。
大豆は、「畑の肉」と呼ばれているほど、タンパク質が豊富で、五大栄養素がすべて含まれている身体に優しい食材です。
他にも、人間用の健康食品でもおなじみのポリフェノールの一種である「大豆イソフラボン」など犬の健康維持にも役立つ栄養素を含んでいます。
そうした栄養素によって期待できる効果には以下のようなことが挙げられます。
以下では、上記で示したような大豆100gあたりに含まれる代表的な栄養素と効果を紹介します。
大豆には、良質な植物性タンパク質が豊富に含まれています。肉や魚に含まれる動物性タンパク質とは異なるため、これらにアレルギーがある犬にとっては、大豆が貴重なタンパク源となります。
タンパク質は、犬の成長や発達、体の組織の修復に加え、酵素や免疫システムにも関わる非常に大切な栄養素です。また、エネルギーを供給する三大栄養素のひとつでもあり、20種類のアミノ酸が結びついて構成されています。
大豆にはミネラルのひとつであるカリウムが含まれています。カリウムにはナトリウムとバランスをとりながら、細胞を正常に保ったり、体液の浸透圧を調整したりといった働きがあります。この他にも心臓や神経、筋肉の動きにも関係しています。
ビタミン類をより効率的に吸収するのを助け、健康な骨の成長を促し、血圧や体温の調整、神経伝達や興奮を抑える働きがあります。また、体内の酵素の活性化を促す成分でもあり体内に吸収された糖質やタンパク質の代謝をスムーズにする働きもします。
カルシウムは骨と歯の構成成分の99%を占め、身体を支える骨格を強化する働きがあります。また、神経刺激の伝達・興奮、筋肉の収縮、ホルモンの分泌、血液凝固など、身体のバランスを整えることにも役立っています。
サポニンは、大豆に含まれる苦味や渋みの主成分のことです。「大豆サポニン」とも呼ばれています。大豆サポニンには強い抗酸化作用があり、細胞を酸化ストレスから保護するのに役立つ他、免疫力の向上、血流の改善などの効果があるといわれています。
大豆イソフラボンは、大豆に含まれるポリフェノールの一種です。強い抗酸化作用があり、細胞を酸化ストレスから保護するのに役立つ他、免疫力の向上、血流の改善、粗鬆症や循環器系の疾患を予防する効果が期待できます。
※大豆(黄大豆/国産/ゆで)の可食部100g当たりの数値
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=4_04024_7
これまで説明してきた通り、大豆には、さまざまな栄養素が含まれていますが、大豆を十分に消化・吸収できなければ、その栄養素はうまく役立ちません。
そのため、大豆を与える際には、薄皮を取り、ペースト状もしくは細かく砕いてから与えることが大切です。特に子犬や小型犬の場合は、食道が細いため、大豆をそのまま与えると喉に詰まる危険があります。十分に注意して与えましょう。
いくら栄養素が豊富な大豆だからといって、与えすぎには注意しましょう。1日の総摂取カロリー目安の10%が犬に大豆を与える際の目安です。
ただし、あくまでもカロリー上の算出値であること、犬の年齢やお腹の健康状態や運動量によっても適量は異なるのであくまで目安として調整しましょう。
※大豆100gに含まれるエネルギーは、163kcalとして算出
大豆は、これまで見てきたように健康な犬には問題なく与えられる食品ですが、心臓や腎臓に持病を持っている犬やアレルギーの点からも注意が必要なケースがあります。
大豆に含まれるリンやカリウムは、心臓、腎臓に持病のある犬には制限が必要な成分です。また、タンパク質もしっかり含まれているので食べすぎると肝臓や腎臓に負担がかかります。特に療法食を食べている犬の場合には、大豆をあげる前に必ず獣医師に相談してからにしましょう。
アレルギーは、体内の免疫機能がタンパク質に対して異常に反応することで起こるものです。大豆にはタンパク質がしっかり含まれているので、アレルギーを引き起こす可能性があります。アレルギーを起こすと下痢、嘔吐、痒みを伴う症状などが多く見られます。
初めて犬に大豆を与えるときには、少量にしておき、ほかに新しい食べ物を与えないようにしましょう。こうすると、万が一アレルギーを起こしたときの重症化を抑え、その原因を特定しやすくなります。
冒頭で触れたように、豆腐や納豆、そして豆乳など大豆から作られている加工食品の中には、犬が食べられるものがたくさんあります。
以下では、具体的にどの食品を食べることができるのか、その特徴とともに紹介します。
枝豆は未成熟な大豆のことで同じ植物です。色合いやサイズ感もよく、手作り食やカフェのドッグメニューなどでもよく使われる食材です。そんな枝豆は犬に与えても大丈夫な豆類です。
ただし、枝豆は生で食べることはできません。生で食べると消化不良を起こしますので、犬に枝豆を与える際は必ず火を通して与えてください。
茹でるとビタミンなどの栄養素が水に流れ出ますが、枝豆の場合は鞘に守られているので、そこまで大きく変わらないということも特徴です。気になるようであれば蒸し焼きなどにするのもおすすめです。
日本の食卓でおなじみの「豆腐」は、高タンパクで低カロリー、さらにカルシウムや大豆イソフラボンなどたくさんの健康に良い栄養素を含む食品です。
豆腐も犬の体によくない有毒成分は含まれていませんので安心して与えることができます。高タンパクで栄養価も高く、さらに低カロリーなので、肥満防止や栄養バランスを考えて手作り食を作るときにおすすめしたい食材とも言えます。
ただし、低カロリーといっても与えすぎには注意しましょう。特に豆腐は86%が水分ですので、下痢や嘔吐の原因となる可能性があります。
「納豆」は、スーパーフードといわれるのも納得なほどの栄養豊富な発酵食品です。
タンパク質、脂質、炭水化物、ミネラル、食物繊維といった五大栄養素の他、ナットウキナーゼと呼ばれる酵素や「大豆サポニン」といった健康効果をサポートするポリフェノールを含んでいます。
特にタンパク質やビタミンが豊富に含まれているので、筋力や体力をつけたいときにおすすめです。また、大豆サポニンによる抗酸化作用や免疫力向上の効果が期待できるため、免疫力が低下しているときにも与えると良いでしょう。
与える際は、人間用に市販されている納豆を、そのまま犬に与えて大丈夫ですが、納豆に付属している「タレ」「からし」、またネギなどの薬味を混ぜた納豆は犬に与えないように注意しましょう。
また、「粒状」「ひきわり」どちらの納豆でも犬に与えて問題ありません。ただし、納豆を丸飲みして喉に詰まらせないよう、小粒タイプを選ぶか、ひきわり納豆を与えるように配慮しましょう。
大豆が原料の「豆乳」は、牛乳と同じく高タンパクでありながら、低カロリー、さらにミネラル類や大豆イソフラボンなど、たくさんの健康に良い栄養素を含む食品として知られています。
人間用に市販されている「無調整豆乳」を、そのまま犬に与えても大丈夫です。ただし、豆乳の約90%は水分なので、たくさん与えてしまうとお腹の調子を崩すおそれがあるため、少しずつ与えましょう。
また、冷蔵庫で冷えたままの豆乳を与えてしまうとお腹を壊すことがあるので、お腹の健康に不安がある犬や、子犬、シニア犬には常温またはレンジで人肌程度に温めてから与えるように配慮してあげましょう。
Q 節分豆は犬に与えても大丈夫でしょうか?
A 多くの地域で、節分豆として使われている煎り大豆ですが、乾燥していて硬い豆なので、そのままの状態で飲み込んでしまった場合、喉や腸で詰まるリスクがあります。消化管も細い小型犬は詰まるリスクが特に高いので、注意しなければなりません。
与えても大丈夫ではあるものの床の上に落ちた節分豆を食べすぎたり、喉に詰まらせたりさせないよう、必ず犬から目を離さないようにして下さい。心配な方は、残念ですが安全のためにも別室などで待機させて、犬の前では豆まきをしないようにしましょう。
犬の健康に役立つ栄養成分が豊富に含まれる大豆。ただし、いくら栄養価が高いからといっても大豆はあくまでおやつとして与えるようにしましょう。
そして、大豆を与えた分の主食を減らしてカロリーオーバーしないよう注意しましょう。
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