【獣医師監修】犬にはちみつを与えても大丈夫?食べてもよい適量と注意点を解説

2024/07/29

犬 はちみつ

マヌカハニーをはじめ、その健康成分が注目を集める「はちみつ」。

そんなはちみつを見つめる犬の目は、いつも食べたそうな表情をしています。実際に、犬が美味しそうに食べるという声をよく聞く一方で、

  • 犬に人間の食べ物を与えていいのだろうか?
  • はちみつの成分は犬にとって安全なのか?
  • どのくらいの量を与えたらいいのだろう?

と疑問に思っている飼い主も多いようです。

結論から言うと、はちみつは犬に与えても大丈夫な食品です。ただし、糖質が多く、高カロリーなので、与える際は少量にする必要があったり、ボツリヌス菌についても注意が必要です。

本記事では、犬にはちみつを与えても大丈夫な理由から与え方、そして注意点まで解説します。

犬ははちみつを食べても大丈夫

犬ははちみつを食べても大丈夫

はちみつには、犬の体によくない有毒成分は含まれていませんので安心して与えることができます。

普段、水を飲みたがらない犬も、甘い香りのあるはちみつなら興味を示してくれるかもしれません。

与えすぎには要注意

ただし、与えすぎには要注意です。

はちみつは糖類が多く高カロリーなので、たくさん与えてしまうと肥満や糖尿病の原因になる可能性があります。あくまで適量であることが大切です。

そもそも栄養面において総合栄養食の良質なドッグフードを食べている場合は、栄養面で不足することはありません。食欲が落ちていて、とにかく何か食べさせたい時や水分を摂らせたいとき、または食べる楽しみ、与える楽しみとして、適量の範囲内で与えることが大切です。

はちみつに含まれる栄養素と効果

はちみつに含まれる栄養素と効果

はちみつには、主成分の糖質の他、ビタミンB群やアミノ酸、ミネラルといった犬の健康維持に役立つ栄養が含まれています。期待できる代表的な効果には以下のようなことが挙げられます。

  • 炭水化物の一部である糖質が、犬の生命活動に必要なエネルギー源として機能しています。
  • さまざまなビタミンB群は、犬のエネルギー源となる栄養を上手く代謝するのに役立ちます。
  • ミネラルはタンパク質・脂質・炭水化物がスムーズに体内でエネルギーになるよう、身体の機能を調節する働きがあります。

はちみつの可食部100gに含まれる栄養成分と効果

はちみつの可食部100g

以下では、上記で示したはちみつ100gあたりに含まれる代表的な栄養素と効果を紹介します。

糖質 約81.9g

はちみつの主成分は約80%が糖質です。その中でも果糖(フルクトース)とブドウ糖(グルコース)が大部分を占めています。これらの糖は消化が速く、胃腸に負担をかけずに、即座にエネルギーとして利用されます。疲労がたまり元気がない犬には、はちみつを与えることで迅速なエネルギー補給が期待できるでしょう。

ビタミンB群

ビタミンB2 0.01mg

皮膚と被毛の健康維持、質の向上を高めるために欠かせない栄養素です。

ビタミンB6 0.02mg

タンパク質・アミノ酸の代謝と細胞の合成をサポートします。

葉酸 7μg

葉酸は神経組織の発達やDNAの合成に関与しているとされ妊娠中の母犬などに特に役立ちます。また、貧血予防にも効果があります。

ポリフェノール

はちみつには、カフェ酸、p-クマル酸、フェルラ酸、ケンフェロール、クリシン、ケルセチン、p-ヒドロキシ安息香酸、バニリン酸など、10種類以上のポリフェノールが含まれています。これらのポリフェノールは、体内の細胞を酸化させる活性酸素を除去する抗酸化作用や殺菌・抗菌作用を持っており、病気の予防や老化防止に役立つとされています。

ミネラル類

はちみつには、ナトリウム、リン、鉄、カルシウム、カリウム、マグネシウムなどのミネラルが微量に含まれています。ミネラルは、タンパク質、脂質、炭水化物が体内でスムーズにエネルギーに変わるように、体の機能を調整する役割を果たしています。

例えば、カリウムは血流を改善し、マグネシウムは血圧を調整し、ビタミンの効率的な吸収を助け、健康な骨の成長を促進します。また、マグネシウムは血圧や体温の調整、神経伝達や興奮の抑制にも寄与します。

グルコン酸

はちみつには、殺菌作用や皮膚を守る保湿効果を持つグルコン酸が含まれています。さらにグルコン酸は、プレバイオティクスとして機能し、腸内の善玉菌であるビフィズス菌を増やす作用があり、美容効果として毛艶をよくし、便秘の解消にも期待が持てます。

※はちみつの可食部100g当たりの数値
※参照元:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=3_03022_7

犬にはちみつを与えるときの適量

犬にはちみつを与えるときの適量

犬がはちみつを喜んで食べているからといって、与えすぎないように注意しましょう。

一般的におやつで与える際は一日の必要カロリーの10~20%が許容量ですが、特にはちみつは、前述の通り約80%が糖分でできており、カロリーも高いため、たくさん与えてしまうと肥満になるリスクが高まり、お腹の調子を崩してしまうおそれがあります。

栄養素の観点も含めて考え、小さじ1~2杯を与える程度にとどめておくことを目安にしましょう。

はちみつを与える際の注意点

心臓や腎臓に問題がある犬には与えない

心臓や腎臓に問題がある犬には与えない

はちみつに含まれるカリウムは、心臓、腎臓に持病のある犬には制限が必要な成分です。また、消化機能や免疫力が低下している場合もありますので、後述するボツリヌス菌についても注意が必要となります。特に療法食を食べている犬の場合には、はちみつをあげる前に必ず獣医師に相談してからにしましょう。

アレルギーに注意

アレルギーに注意

はちみつは、ミツバチが草や木の花から集めた蜜を巣に持ち帰り、自らの酵素を使って作られたものです。その過程で花粉などの様々な物質が含まれることがあります。

アレルギー体質の犬の場合、花粉アレルギーなどを発症する可能性があり、下痢、嘔吐、痒みを伴う症状などが見られます。

初めて犬にはちみつを与えるときには、少量にしておき、他に新しい食べ物を与えないようにしましょう。こうすることで、万が一アレルギーを起こしたときの重症化を抑え、その原因を特定しやすくなります。

糖尿病や肥満の犬には与えない

糖尿病や肥満の犬

はちみつの栄養素は、前述の通り大半が糖質(ブドウ糖、果糖などの糖分)です。

糖質の摂取量に注意が必要な糖尿病の治療中の犬をはじめとして、疾患(糖尿病)や肥満が気になるときは与えないようにするか、まずは獣医師に相談したうえで判断しましょう。

はちみつに関するよくあるQ&A

はちみつ ボツリヌス菌

Qはちみつに含まれるボツリヌス菌は犬にとって危険ですか?

Aボツリヌス菌は、中毒の原因となるボツリヌス毒素を産生する細菌のことです。ボツリヌス菌の芽胞は加熱などでは完全に死滅しないことがあり、はちみつに含まれることがあります。

体内に入っても腸内環境が整っていれば摂取しても問題ないのですが、人の赤ちゃんの場合はボツリヌス菌が腸内で増えて毒素を出し、中毒を起こすことがあります。重い場合は全身にアレルギー症状を引き起こす可能性もあり、厚生労働省では、人間の乳幼児には、はちみつを与えないように注意喚起をしています。

一般的に、犬は人間よりもボツリヌス菌への抵抗性が高く、感染による毒性の影響を受けにくいといわれています。しかし、全く影響を受けないというわけでもなく、免疫力が低い子犬や老犬、毒素を排出しにくい腎不全の犬には感染のリスクが高いので、そうした犬にははちみつを与えないようにしましょう。

はちみつ 子犬 老犬

Qはちみつを子犬や老犬に与えても大丈夫でしょうか?

A前述の通り与えるのは控えたほうが良いでしょう。子犬によっては歯が乳歯から永久歯に生え変わる生後7~8ヶ月までは消化機能が未発達なこともあります。老犬も同様に、消化機能や免疫力が低下していることがあるため、ボツリヌス菌が含まれているはちみつを与えるのは避けましょう。

はちみつ 加工食品

Qはちみつのジュースやはちみつ入りのパンやクッキーなどの加工食品は与えても大丈夫でしょうか?

A犬用に販売されているものを除き、はちみつ入りの加工食品には、人工甘味料や着色料、防腐剤、香料などの添加物が含まれていることが多いため、与えないようにしましょう。

まとめ:はちみつは、犬のおやつ程度に

はちみつは、犬のおやつ程度

犬の健康に役立つ栄養成分が豊富に含まれるはちみつ。甘くて嗜好性が高いことから食いつきが悪くなったり、食欲が低下したりしている犬にも、少量のはちみつを混ぜると食べてくれることにつながることもあります。

ただし、糖質が多く、高カロリーのため与え過ぎると肥満や病気を引き起こすことがあるので、あくまでおやつとして与えるようにしましょう。

そして、与えるときはアレルギーにも注意しましょう。

はちみつ以外の食べ物については以下の記事にまとめていますので、併せてご覧ください。

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この記事を書いた人

パピ姉 セールス&マーケティング担当

ペットフード業界で働くこと9年目。中学生の頃よりビションフリーゼ(メス、毛が薄め)のパピの姉として育つ。それ以来、白くてふわふわな犬が好き。趣味はビショングッズ収集。図書館司書の資格をもち絵本の読み聞かせやお話し会なども行っていた。好きな絵本は「どろんこハリー」。将来は犬と一緒に心を開いて読書を楽しむ社会貢献もしたいと思っている。

監修獣医師

高橋 宏実 獣医師・ペット栄養管理士

麻布大学 獣医学部 獣医学科卒業。東京都内の動物病院で臨床医として勤務。
その後、獣医師として栄養学をより深く学ぶことで、犬猫の健康を臨床医時代とは違う視点からもサポートできるのではと考え現在に至る。毎日欠かさず動物関係のSNSをみることで日々癒されている。

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