【獣医師監修】犬にレモンを与えても大丈夫?食べてもよい適量と注意点を解説

2024/06/17

犬 レモン

爽やかな香りと強い酸味が特徴のレモンは、かんきつ類の中でもトップクラスのビタミンC含有量を誇ります。

そんなレモンを見つめる犬の目は、興味津々。実際に、犬がレモンを食べるという声をよく聞く一方で、

  • 犬に人間の食べ物を与えていいのだろうか?
  • レモンの成分は犬にとって安全なのか?
  • どのくらいの量を与えたらよいのだろう?

と疑問に思っている飼い主も多いようです。

結論から言うと、レモンは犬に与えても大丈夫な果物です。ただし、犬は酸味が得意ではないので、食べてもらいたくてもそもそも食べないこともあります。

本記事では、犬にレモンを与えても大丈夫な理由から与え方、そして注意点まで解説します。

犬はレモンを食べても大丈夫

犬はレモンを食べても大丈夫

レモンには、犬の体によくない有毒成分は含まれていませんので安心して与えることができます。

ただし、犬はレモンの強い酸味が得意ではないので、与えても食べないことがあります。特に、犬の健康のためにドッグフードにレモンやレモンを絞った汁をかけると、かえって食べなくなってしまう可能性があるので、避けたほうがよいでしょう。

そもそも、栄養面において、総合栄養食の良質なドッグフードを食べている場合は、栄養面で不足することはありません。食欲が落ちていて、とにかく何か食べさせたい時や水分を摂らせたいとき、または食べる楽しみ、与える楽しみとして、適量の範囲内で与えることが大切です。

総合栄養食については以下の記事に詳しくまとめているので参考にしてみてください。

レモンに含まれる栄養素と効果

レモンに含まれる栄養素と効果

レモンには、豊富なビタミンCやクエン酸の他、ビタミンAやビタミンB群、ビタミンEにミネラル類などの犬の健康維持に役立つ栄養が含まれています。期待できる代表的な効果には以下のようなことが挙げられます。

  • 豊富に含まれるビタミンCには抗酸化作用があり、アンチエイジングや動脈硬化の予防、免疫機能のアップなどが期待できます。
  • クエン酸は、体内の代謝を促し、体にたまった疲労物質の乳酸を分解する作用があります。
  • ビタミンB群は、犬のエネルギー源となる栄養を上手く代謝するのに役立ちます。また、粘膜や皮膚の健康維持に役立つナイアシンも含まれています。

レモンの可食部100g当たりに含まれる栄養成分と効果

レモン 栄養成分

ビタミンC 100mg

体の細胞と細胞の間を結ぶコラーゲンというタンパク質をつくるのに不可欠で、犬の皮膚、皮膜や粘膜などの健康維持に役立ちます。また、抗酸化作用があるため、アンチエイジングや動脈硬化の予防、免疫機能のアップなども期待できます。

クエン酸

クエン酸は、体内の代謝を促し、体にたまった疲労物質の乳酸を分解する作用があります。また、犬の尿中のカルシウムにくっつき、外へ排出するサポートをすることもわかっており、犬のシュウ酸カルシウム結石の予防にも効果があると言われています。

ビタミンB群

ビタミンB1 0.07mg

糖質の代謝をサポートするビタミンB1は、レモン自体が持っている糖質を速やかにエネルギーに換えてくれます。疲れにくい体をつくるために必要と言われています。

ビタミンB2 0.07mg

皮膚と被毛の健康維持、質の向上を高めるために欠かせない栄養素です。

ビタミンB5(パントテン酸)0.39mg

パントテン酸は、ビタミンB群に分類される水溶性のビタミンです。糖質や脂質をエネルギーに変換する際に必要な補酵素の材料となります。他のビタミンB群と協力して、皮膚のバリア機能を高め、乾燥から守る働きもあります。

ビタミンB6 0.08mg

タンパク質・アミノ酸の代謝と細胞の合成をサポートします。

ビタミンB7(ビオチン)1.2μg

ビオチンは、健康な皮膚と艶のある被毛に重要な役割を果たしています。他にも糖や脂肪・タンパク質を体内でエネルギーに変えるときに使われる重要な栄養素です。神経機能の維持にも役立ちます。

ビタミンB9(葉酸) 31μg

葉酸は神経組織の発達やDNAの合成に関与しているとされ妊娠中の母犬などに特に役立ちます。また、貧血予防にも効果があります。

ビタミンE 1.7mg

紫外線などによる活性酸素による酸化ダメージから細胞を若々しく健康的に維持するのに役立ちます。ビタミンEはビタミンCと一緒に摂ることで、より効率的にその作用を発揮するといわれています。

ミネラル類

レモンには、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルが含まれています。特にカリウムにはナトリウムとバランスをとりながら、細胞を正常に保ったり、体液の浸透圧を調整したりといった働きがあります。この他にも心臓や神経、筋肉の動きにも関係しています。

※レモンの可食部100g当たりの数値

※参照元:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=7_07155_7

レモンの与え方

レモンの与え方

犬にレモンを与える際は、種や外の皮は消化に悪いので避け、果肉部分だけにしましょう。彩りなどの飾りとしてトッピングする際にも、果肉部分のみ を使用し、種や外の皮は取り除くように気をつけた方が良いでしょう。

また、レモンの種は、犬の喉に詰まるだけでなく、飲み込んだとしても食道や腸に詰まらせたり傷つけたりするおそれがあるので危険です。

与える際は、先述したとおりレモンの酸味を嫌がる犬も多いため、酸味やかんきつ系の匂いが気にならない程度の少量の果肉から与えて様子をみましょう。

犬にレモンを与えるときの適量

犬にレモンを与えるときの適量

もし犬がレモンを喜んで食べているからといって与えすぎることのないように注意しましょう。

一般的におやつで与える際は一日の必要カロリーの10~20%分が許容量ですが、特にレモンは、犬にとって刺激が強く、胃で消化する際に負担をかけてしまいますので、たくさん与えてしまうとお腹の調子を崩してしまうおそれがあります。

特にもともと胃腸の弱い犬にとっては刺激となり、下痢や嘔吐に繋がる可能性もあるので、控えた方がよいでしょう。

栄養素の観点も含めて絞ったレモン汁を少々、与える程度にとどめておくことを目安にしましょう。

レモンを与える際の注意点

犬は酸味の強いものが嫌い

犬は酸味の強いものが嫌い

犬は、レモンのような強い酸の匂いがそもそも苦手です。レモンを初めて与えた際に、あまりの酸っぱさに驚いて、その後、二度とレモンを食べなくなってしまうこともあります。

つまり、飼い主さんがよかれと思ってドッグフードにレモンを絞って与えると、かえって食べなくなり、その後も同じフードに興味を示さなくなってしまうこともあります。

心臓や腎臓に問題がある犬には与えない

レモンに含まれるカリウムは、心臓、腎臓に持病のある犬には制限が必要な成分です。特に療法食を食べている犬の場合には、レモンをあげる前に必ず獣医師に相談してからにしましょう。

食物アレルギーに注意

食物アレルギー

アレルギーは、体内の免疫機能がタンパク質に対して異常に反応することで起こるものです。レモンには少量ですがタンパク質が含まれているので、アレルギーを引き起こす可能性があります。アレルギーを起こすと下痢、嘔吐、痒みを伴う症状などが多く見られます。

初めて犬にレモンを与えるときには、少量にしておき、ほかに新しい食べ物を与えないようにしましょう。こうすると、万が一アレルギーを起こしたときの重症化を抑え、その原因を特定しやすくなります。

レモンに関するよくあるQ&A

レモン 子犬 老犬

Qレモンを子犬や老犬に与えても大丈夫でしょうか?

A通常、消化器官が十分に発達する生後2〜3か月ほど経った頃から与えることができます。ただし、特に、子犬によっては歯が乳歯から永久歯に生え変わる生後7〜8か月までは消化機能が未発達なこともあり、刺激の強いレモンを与えると胃の不調を引き起こす可能性がありますので、まずは少量から与えるようにしましょう。

老犬も同様に、消化器機能が弱っていることがあることから、与える際は少量から始めましょう。

レモンティー

Qレモンティーやレモンアイス・ゼリーなどの加工食品は与えても大丈夫でしょうか?

Aレモンの加工食品には、人工甘味料や着色料、防腐剤、香料などの添加物が含まれていたり、糖質が多すぎたりすることが多いので与えないほうが良いでしょう。

まとめ:レモンは、与えても大丈夫だけど注意が必要

豊富なビタミンCなど犬の健康に役立つ栄養成分が豊富に含まれるレモン。ただし、レモンが持つ酸味が苦手な犬も多く、与えても食べてくれないこともあり、また与えすぎると下痢や嘔吐を引き起こすことがあるので、あくまでおやつとして与えるようにしましょう。

そして、与えるときはアレルギーに注意し、外の皮と種を取り除き、酸味やかんきつ系の匂いが気にならない程度の少量から与えて様子をみましょう。

レモン以外の果物については以下の記事にまとめていますので、合わせてご覧ください。

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この記事を書いた人

パピ姉 セールス&マーケティング担当

ペットフード業界で働くこと9年目。中学生の頃よりビションフリーゼ(メス、毛が薄め)のパピの姉として育つ。それ以来、白くてふわふわな犬が好き。趣味はビショングッズ収集。図書館司書の資格をもち絵本の読み聞かせやお話し会なども行っていた。好きな絵本は「どろんこハリー」。将来は犬と一緒に心を開いて読書を楽しむ社会貢献もしたいと思っている。

監修獣医師

高橋 宏実 獣医師・ペット栄養管理士

麻布大学 獣医学部 獣医学科卒業。東京都内の動物病院で臨床医として勤務。
その後、獣医師として栄養学をより深く学ぶことで、犬猫の健康を臨床医時代とは違う視点からもサポートできるのではと考え現在に至る。毎日欠かさず動物関係のSNSをみることで日々癒されている。

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