ペットフード業界で働くこと9年目。中学生の頃よりビションフリーゼ(メス、毛が薄め)のパピの姉として育つ。それ以来、白くてふわふわな犬が好き。趣味はビショングッズ収集。図書館司書の資格をもち絵本の読み聞かせやお話し会なども行っていた。好きな絵本は「どろんこハリー」。将来は犬と一緒に心を開いて読書を楽しむ社会貢献もしたいと思っている。
2024/11/06
今こそ見かける機会は少なくなりましたが、ドッグフードが今よりも普及する前は、ご飯の残りに味噌汁をかけたものを犬に食べさせるということが当たり前でした。昔の日本では、犬は家族と同じ食事を共有する存在であり、お米は犬の主食の一部でもありました。
そのような光景を目にしていない人、また犬種も増えた昨今において、
といった疑問を持つ飼い主さんも多いはずです。
結論から言うと、お米は犬に与えても問題ない食べ物ですが、適量や注意点を知っておくことが大切です。お米は炭水化物の供給源としてエネルギーを補給し、消化にも優れています。しかし、与えすぎると肥満の原因になるため、バランスが重要です。
本記事では、犬にお米を与えても大丈夫な理由から与え方、そして注意点まで解説します。
【 目 次 】
結論から言うと、お米には犬の体によくない有毒成分は含まれていませんので安心して与えることができます。実際、市販ドッグフードにもお米が含まれているものもあり、犬にとって適切なエネルギー源となっています。
お米は、特に犬のエネルギー源となるデンプン(炭水化物)が豊富に含まれており、ミネラルも豊富です。ただし、与えてもよいのは生米ではなく、「炊いたお米」限定の話です。
生米は人間だけでなく、犬も消化不良や下痢をおこす可能性があるので、生米は食べさせないようにしましょう。
また、与え過ぎは要注意です。お米はカロリーが高いため、過剰摂取は肥満や糖尿病のリスクを高めます。
人間から見ると一口サイズでも、身体の小さな犬にとっては体重換算で計算するとかなりの量になることがあるのであくまで適量であることが大切です。
そもそも栄養面において総合栄養食の良質なドッグフードを食べている場合は、栄養面で不足することはありません。食欲が落ちていて、とにかく何か食べさせたい時や水分を摂らせたいとき、または食べる楽しみ、与える楽しみとして、適量の範囲内で与えることが大切です。
総合栄養食については以下の記事に詳しくまとめているので参考にしてみてください。
お米には前述の炭水化物やミネラル類のほか、タンパク質やビタミンB1など犬の健康維持に役立つ栄養素も含んでいます。
そうした栄養素によって期待できる効果には以下のようなことが挙げられます。
以下では、上記で示したようなお米100gあたりに含まれる代表的な栄養素と効果を紹介します。
お米には、タンパク質・脂質と並ぶ3大栄養素のひとつ「炭水化物」が多く含まれています。またお米には、炭水化物の一部として良質なデンプンが豊富に含まれています。デンプンは体内でブドウ糖等の単糖類に分解されてエネルギーとして利用されます。
炭水化物というと糖質が多く、あまり良いイメージがないかもしれませんが、犬の生命活動に必要なエネルギー源となります。
タンパク質は犬の成長、発達、体組織の修復、酵素、免疫系のすべてにかかわっている非常に重要な栄養素です。タンパク質はエネルギーを供給する3大栄養素の一つで、20種類のアミノ酸が鎖のように結合してできています。
お米に含まれるタンパク質は、植物性たんぱく質です。動物性たんぱく質と比較するとエネルギーに変わる時間が早く、カラダを動かす原動力となります。
糖質の代謝をサポートするビタミンB1は、お米自体が持っている糖質を速やかにエネルギーに換えてくれます。疲れにくい体をつくるために必要と言われています。
カルシウムは骨と歯の構成成分の99%を占め、身体を支える骨格を強化する働きがあります。また、神経刺激の伝達・興奮、筋肉の収縮、ホルモンの分泌、血液凝固など、身体のバランスを整えることにも役立っています。
※水稲めし/精白米/うるち米の可食部100g当たりの数値 https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=1_01088_7
犬にお米を与える際は、しっかり炊いて柔らかくなった米を与えるようにしましょう。炊飯時に水を多めにし、柔らかく炊くことで消化吸収を助けます。
人間と同様に、生に近いお米を与えてしまうと、下痢や消化不良の原因になりやすいとされています。
心配な方はおかゆのように水分多めにすると、食べやすくなり、水分補給も一緒にできるのでおすすめです。特に体調不良時や高齢犬には、おかゆ状にすると胃腸への負担が軽減されます。
ただし、やけどしないように必ず、冷ましてから与えるようにしましょう。同様に炊きたてのお米を与えるのはやけどの原因になるので、注意が必要です。
犬は人肌くらいの40度程度の食べ物を美味しいと感じるので、冷ます際の目安とすると良いでしょう。
お米に調味料や食材を追加することなく、できる限りそのまま与えましょう。醤油や味噌、バターなどは塩分や脂質が高く、犬の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
人間と同じものを与えたいと思う気持ちはわかりますが、そもそも米は比較的糖質が多い食材なので、味付けしてしまうと、塩分や糖分過多になる可能性があります。塩分が多すぎると、腎臓や心臓に負担をかける可能性が高く、長期的に健康を害します。
また「ネギ」や「にんにく」などの食材は、絶対に犬に与えないように注意しましょう。これらは犬にとって有毒で、貧血や中毒症状を引き起こす可能性があります。
特に小型犬や体力が落ちている犬には、わずかな量でも深刻な中毒症状が現れる可能性があるため、絶対に避けましょう。
ネギやにんにくの中毒症状については以下の記事も参考にしてください。
犬のアレルギーは、免疫システムが特定のタンパク質に対して異常に反応することで引き起こされます。アレルギーを起こすと下痢、嘔吐、痒みを伴う症状などが多く見られます。
穀物アレルギーのなかでも、犬の米アレルギーは少ないとされていますが、稀にお米に対してアレルギーを持っている犬もいます。特定の犬種や遺伝的要因でアレルギーが出やすいケースもあります。
そのたため初めて犬にお米を与える際は、少量に留め、他の新しい食べ物を一緒に与えないようにしましょう。これにより、アレルギー反応が出た場合でも原因を特定しやすく、症状が軽度で済む可能性があります。アレルギー反応が疑われる場合は、すぐに獣医師に相談してください。
炭水化物など栄養素が豊富なお米ですが、与えすぎると犬に負担をかけることがあるため、適量を守ることが大切です。お米を与えすぎると、下痢や嘔吐、肥満の原因になる可能性があるので、注意しましょう。
以下が犬にお米(炊いたごはんの状態)を与える際の目安量です。
これはあくまで参考値であり、犬の年齢、体調、運動量、消化機能によって調整する必要があります。特に消化が弱い犬や高齢犬には、より慎重に量を決めましょう。
※ごはん100gに含まれるエネルギーは、156kcalとして算出
※数値は、1日の総摂取カロリー目安の10%として算出
白米だけではなく玄米や雑穀米なども犬にあげたいと思う飼い主もいるのではないでしょうか?基本的には犬に与えても問題はありませんが、白米より配慮が必要なケースがあります。
基本的に、玄米も白米と同じように愛犬に与えても問題はありません。しかし、玄米は食物繊維が豊富で消化に時間がかかるため、胃腸が敏感な犬や子犬には注意が必要です。
玄米は歯ごたえが白米よりもあるので、人間が美味しく食べられる硬さであれば、犬も食べられますが、しっかりと柔らかく炊いてから与えることをおすすめします。
玄米は、白米よりも栄養が豊富です。
例えば、玄米ごはん100g中には、白米ごはんの2倍以上のカリウムとマンガンが含まれています。カリウムはナトリウムとのバランスを保ち、細胞の機能を維持する役割があります。マンガンは酵素の活性化や骨の形成に関与します。また、リンも歯や骨の発達に重要な栄養素です。
これらのミネラルが不足している場合、玄米を適度に取り入れることで栄養サポートになるかもしれません。ただし、リンに関しては腎臓に問題がある犬では、摂取量の制限が必要な場合があります。
雑穀米も犬に与えても問題ありません。ただし、雑穀の種類によってはアレルギーを引き起こす可能性があるため、初めて与える際は少量から始めて様子を観察してください。
雑穀米は、その名前の通りベースとなる白米に雑穀(稲・小麦・トウモロコシ以外の穀物)を混ぜたものを指し、白米に比べてビタミンやミネラル類が豊富という特徴があります。
ただし、玄米同様、白米よりも長めに炊くことが大切で、芯が残らないよう十分注意してあげてください。消化が苦手な犬であればお粥ほどのやわらかさにすることをおすすめします。
Q お米は子犬に与えても大丈夫でしょうか?
A 通常、消化器官が十分に発達する生後2〜3か月ほど経った頃から与えることができます。 ただし、子犬によっては歯が乳歯から永久歯に生え変わる生後7~8か月までは消化機能が未発達なこともあるので、心配な方は歯が生え変わったことを確認してから与えるようにしましょう。
お米は、犬にとって栄養価が高いものの、主食としてではなくあくまで「おやつ」として与えるのが基本です。炭水化物が豊富なため、犬の健康に必要な栄養をサポートすることもありますが、適量を守ることが大切です。
与える際には、お米を主食の一部に置き換え、カロリーオーバーに注意しましょう。特に、肥満が気になる犬や運動量の少ない犬には、過剰な炭水化物を避ける工夫が必要です。例えば、お米を与える日には、主食やおやつの量を調整するなどのバランスが求められます。
お米以外にも、犬に与えて良い食品やその注意点については、以下の記事をご参照ください。
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