ペットフード業界で働くこと9年目。中学生の頃よりビションフリーゼ(メス、毛が薄め)のパピの姉として育つ。それ以来、白くてふわふわな犬が好き。趣味はビショングッズ収集。図書館司書の資格をもち絵本の読み聞かせやお話し会なども行っていた。好きな絵本は「どろんこハリー」。将来は犬と一緒に心を開いて読書を楽しむ社会貢献もしたいと思っている。
2023/04/05
人間にとってご馳走である刺身。人間がおいしそうに刺身を食べる姿を見た犬がテーブルの下で目を輝かせて待っていたとしたら、ついつい与えたい気持ちになってしまうこともあるのではないでしょうか。
フードやおやつの原材料として魚が使われることは多々ありますが、生の魚である刺身をそのまま与えたことのある方はまだ多くはないかもしれません。そもそも犬に刺身を与えて大丈夫なのかと不安に思っている飼い主も多いようです。
結論から言うと、人間用として処理された刺身は犬に与えても大丈夫です。ただし、一部の魚介類は消化しづらいものがあるので、注意が必要です。
本記事では、犬に刺身を与えても大丈夫な理由から与え方、そして注意点まで解説します。
結論から言うと、犬が一部の魚介類を除き人間用として処理された刺身を食べることは問題ありません。
ただしいくつか注意点があります。
人間にとっては生で食べる魚介類でも犬には食べさせない方が良いものがあります。
例えば生のタコ・イカ・アワビ・エビ・カニなどは、チアミナーゼという酵素を豊富に含んでいますが、これは犬にとって欠かせないビタミンB1を分解してしまうため、ビタミンB1欠乏症を引き起こす可能性があります。ビタミンB1欠乏症は食欲不振や嘔吐、痙攣、筋力の低下やふらつきといった症状が現れます。
チアミナーゼは加熱すると消えてしまいますので、火を通していれば与えることは可能です。
次に、生魚に付着している寄生虫や細菌にも注意してください。例えばサバやアジ・イワシなど青魚や鮭の内臓に寄生するアニサキスは、人間だけでなく犬でも食中毒を引き起こし、嘔吐や激しい胃腸の痛みを引き起こします。
さらに、与え過ぎは要注意です。人間から見ると一口サイズでも、身体の小さな犬にとっては体重換算で計算するとかなりの量になることがあるのであくまで適量であることが大切です。
そもそも栄養面において総合栄養食の良質なドッグフードを食べている場合は、それ以外の食事は基本的に必要ありません。
食欲が落ちていて、とにかく何か食べさせたい時、またはおやつや食事のトッピングとして検討するのが良いでしょう。
総合栄養食については「犬や猫の主食になる「総合栄養食」とは?選び方や注意すべきポイントなどを解説」に詳しくまとめているので参考にしてみてください。
最後に、魚介類にアレルギーのある犬の場合は、食べて下痢、嘔吐、痒みといったアレルギーを起こすこともあります。
アレルギーは、体内の免疫機能がタンパク質に対して異常に反応することで起こるものです。魚介類にアレルギーのある犬に刺身を与えるのはやめましょう。
魚には犬の健康維持に役立つ栄養を含んでいます。期待できる代表的な効果には以下のようなことが挙げられます。
以下では、人間が刺身でよく食べる代表的な魚とそれに含まれる栄養素と効果を紹介します。
日本人の好きな刺身の代表であるマグロ。
部位にもよりますが、赤身部分は脂質が少なく良質なタンパク質が豊富に含まれています。
また、赤身に多く含まれるセレンは筋肉に多く含まれ、抗酸化作用があり老化を遅らせたり、免疫力を高めたりする働きがあります。一方、中トロ・大トロなどはDHA/EPAは豊富ですが、脂肪分が多いので与えすぎには注意する必要があります。
近年注目されているのはサーモンのオレンジ色の元であるアスタキサンチンです。
強い抗酸化作用を持ち、健康面や美容面でも注目されています。
さらに、サーモンオイルに豊富に含まれるオメガ3脂肪酸のDHA/EPAはさまざまな健康をサポートする役割があるとされています。そのためサーモンオイルはドッグフードの原材料としてもよく使われ、嗜好性を高める役割も果たしています。
大昔から日本人にとって特別な魚である鯛。
タンパク質が多く脂肪分の少ないヘルシーな魚です。
白身魚でありながら前述のDHA/EPAやアスタキサンチンが比較的豊富に含まれています。また、アミノ酸の一種であるタウリンは心臓や血管の健康、胆汁の生成、目の網膜の健康などに欠かせない栄養素です。
冬の味覚に欠かせない、和食の定番食材であるブリ。
青魚の脂に多く含まれるDHA/EPAが豊富なことに加え、カルシウムとリンの吸収を助けるビタミンDも豊富です。
犬は体内でビタミンDを合成することはできないため、食事から摂取する必要があります。ただし、ブリは脂肪分の多い魚ですので、与えすぎには注意する必要があります。
高タンパク・低脂質で栄養満点なカツオ。
青魚の脂に多く含まれるDHA/EPAが豊富なことに加え、体内の酸素運搬に関わる栄養素である鉄分も豊富です。特に血合いの部分は鉄分だけでなくビタミン・ミネラルも豊富に含まれています。
その中でカリウムは、ナトリウムとバランスをとりながら、細胞を正常に保ったり、体液の浸透圧を調整したりといった働きがあります。他にも利尿作用や心臓・神経、筋肉の動きにも関係しています。
タンパク質については「犬に必要不可欠な栄養素!タンパク質とは?」の記事で詳しくまとめていますので、参考にしてみてください。
刺身の与えすぎには注意しましょう。
そもそも犬に必要な栄養素は、総合栄養食と記載のあるドッグフードに十分含まれており、逆にいくら栄養素が豊富といっても刺身だけでは不十分です。
そのためドッグフードを主食として、刺身はおやつ、またはご褒美として与えるようにしてください。 おやつで与える際は一日の必要カロリーの10~20%分が許容量にはなりますが、犬の年齢やお腹の健康状態や運動量によっても適量は異なります。
小型犬でお刺身を数切れ程度にしておくことをおすすめします。
犬が人間用として処理された刺身を食べることは問題ありませんが、一部犬に生で与えない方が良い魚介類があります。
また人間と同様、犬の場合でも魚の生食には細菌や寄生虫による食中毒の危険性があることを覚えておきましょう。
生のタコ・イカ・アワビ・エビ・カニなどは、チアミナーゼという酵素を豊富に含んでいますが、これは犬にとって欠かせないビタミンB1を分解してしまうため、ビタミンB1欠乏症を引き起こす可能性があります。
ビタミンB1は、多くの細胞の働きに関わる重要な栄養素で、正常な神経伝達を行います。ビタミンB1欠乏症は、いわゆる「脚気」の状態であり食欲不振や嘔吐、痙攣、筋力の低下やふらつきといった症状が現れます。 チアミナーゼは加熱すると消えてしまいますので、火を通していれば与えることは可能です。
生のエビについては、以下の記事に詳しくまとめているので参考にしてください。
サバやアジ・イワシなど青魚や鮭の内臓に寄生するアニサキスは、鮮度が落ちると内臓から身の部分に移動するため、気づかず食べてしまうと人間だけでなく犬でも食中毒を引き起こし、嘔吐や激しい胃腸の痛みを引き起こします。
アニサキスは熱に弱いため、しっかり加熱して食べることで防ぐことは可能です。
また、ヒスタミン食中毒にも注意が必要です。
魚に含まれる「ヒスチジン」というアミノ酸は細菌(ヒスタミン産生菌)の酵素の働きでヒスタミンとなりますが、ヒスチジンを多く含むマグロ・ブリ・サンマ・サバ・イワシなどの赤身魚などを常温で放置するなどするとヒスタミンが増え、食べてしまうと体内で炎症をおこし激しい消化器症状を引き起こすことがあります。
ヒスタミンは熱にも強いため、加熱しても減りません。少しでも常温で放置したり、鮮度が低下した魚は与えないようにしましょう。
アレルギーは、体内の免疫機能がタンパク質に対して異常に反応することで起こるものです。
刺身(魚)にはタンパク質が含まれているので、アレルギーを引き起こす可能性があります。アレルギーを起こすと下痢、嘔吐、痒みを伴う症状などが多く見られます。
初めて犬に刺身を与えるときには、少量にしておき、ほかに新しい食べ物を与えないようにしましょう。こうすると、万が一アレルギーを起こしたときの重症化を抑え、その原因を特定しやすくなります。
犬の健康に役立つ栄養成分が豊富に含まれる刺身。ただし、いくら栄養価が高いからといっても刺身はあくまでおやつとして与えるようにしましょう。
与えるときは、種類や鮮度に注意し、チアミナーゼの多い魚介類は生で与えないようにしましょう。
そして、与える量は、1日の必要摂取カロリーの10%程度にし、刺身を与えた分の主食を減らしてカロリーオーバーしないよう注意しましょう。
本記事では刺身について解説してきましたが、犬に与えても大丈夫な果物や野菜については下記のコラムにまとめていますので、是非併せてご覧ください
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