2018/02/25
クリル(Euphausia superba:和名:南極オキアミ)はエビに似た甲殻類のプランクトンです。南極に生息するクリルは、南極圏で暮らす動物たちの重要な食糧源ですが、近年では人間とペットの両方にとって重要な栄養源としても注目されています。
クリルには、オメガ3脂肪酸とアスタキサンチンが豊富に含まれていることから、「海のスーパーフード」と呼ばれています。また、海の食物連鎖の下位に属するクリルは、汚染物質や重金属の蓄積が少なく安心できる食材と言われています。
クリルの体内に含まれるオイルは、オメガ3脂肪酸であるエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)の供給源として、人間用としても人気の栄養補助食品となっています。
ほとんどの油脂はオメガ3脂肪酸よりもオメガ6脂肪酸の含有量が高くなっていますが、ペットには両方のバランスを取ることが重要であり、クリルオイルはこのバランスをとることにも役立ちます。また、一般的な青魚の魚油に含まれるEPA・DHAはトリグリセリド型という構造なのですが、クリルオイルを構成するEPA・DHAは、リン脂質に結合しているユニークな構造となっています。
リン脂質型のオイルは細胞膜に近い構造を持ち、速やかに体内に吸収されやすい特徴があります。吸収されたEPA・DHAは、特に心臓、肝臓および脳に運ばれ、健康維持に役立ちます。
アスタキサンチンは、クリルの体内に含まれる美しいオレンジ色のカロテノイドです。抗酸化作用・抗炎症作用を持つ栄養素として、人間では、肝臓、心臓、眼などの健康維持に役立つという報告があります。
クリルオイルに含まれるEPA・DHAなどのオメガ3脂肪酸とアスタキサンチンは、相乗作用を発揮し脳や関節の健康をサポートすることが期待できます。またアスタキサンチンは、天然の酸化防止剤としても機能します。
南極のクリル漁業は、南極の海洋生物資源の保存に関する委員会 (CCAMLR)によって管理されています。この組織は、より広範囲な生態系への影響を考慮しながら、持続可能なクリルの漁獲量を設定し、管理しています。
現在、年間のクリル漁獲量は約30万トン、予防的漁獲制限量は560万トン、クリルのバイオマス総量は6,030万トンとされています。現在のクリルの漁獲量は、大規模なバイオマスやCCAMLRで設定された漁獲量と比較すると少ないため、クリル漁業が南極周辺の海洋生態系に及ぼす影響は確認されていません。
※バイオマスとは:生物資源(bio)の量(mass)を表す概念
加えて、GATHERに配合しているクリルは、マリンスチュワードシップ協議会(MSC)認証を取得し、持続可能な漁業を行う責任を、より明確に示しています。
MSC認証は、独立した第三者機関の審査を経て与えられるもので、漁業および製造業者に、持続可能な方法を用いて魚介類を収穫し、サプライチェーン全体で追跡可能であることを求めています。また、周辺の生態系への悪影響を及ぼさないよう、漁法や漁獲量が厳しく取り決められています。漁船には最先端の機器が設備され、収穫日、時間、GPS座標まで、すべてのバッチを追跡することができます。
クリルは、栄養価値の高い、健康的で持続可能なドッグフード原材料であると言えます。クリルに含まれる主な栄養素には、オメガ3脂肪酸であるEPA・DHA、抗酸化作用があると言われるアスタキサンチンなどがあります。
南極のクリル資源は豊富にあり、その漁獲量は国際的な組織により管理されています。その資源の中でも特にMSC認証を得た責任ある水産物を選んで利用することで、人とペット両方の多くの世代が将来にわたり、クリルの恩恵を受けることができます。