ペットフード業界で働くこと9年目。中学生の頃よりビションフリーゼ(メス、毛が薄め)のパピの姉として育つ。それ以来、白くてふわふわな犬が好き。趣味はビショングッズ収集。図書館司書の資格をもち絵本の読み聞かせやお話し会なども行っていた。好きな絵本は「どろんこハリー」。将来は犬と一緒に心を開いて読書を楽しむ社会貢献もしたいと思っている。
2024/04/24
発酵、熟成の程度によって独特の風味や香り、食感を楽しめるチーズ。そのままで味わうほか、ピザ、グラタン、チーズケーキなど、世界各国の料理でチーズが活用されています。そんなチーズを見つめる犬の目は、いつも食べたそうな表情をしています。
実際に、犬が美味しそうに食べるという声をよく聞く一方で、
と疑問に思っている飼い主も多いようです。
結論から言うと、チーズは犬に与えても大丈夫な食べ物です。ただし、与え過ぎには注意が必要です。 本記事では、犬にチーズを与えても大丈夫な理由から与え方、そして注意点まで解説します。
【 目 次 】
チーズには犬の体によくない有毒成分は含まれていませんので安心して与えることができます。
ただし、与え過ぎには要注意です。
チーズは脂質が多く、カロリーが高いので、与え過ぎは肥満の原因になります。また塩分を多く含む種類のチーズを与えてしまうと食塩中毒などお腹の調子を崩すことがあります。あくまで適量であることが大切であり、チーズの種類によっては控えたほうがよいことも理解しておきましょう。
そもそも栄養面において総合栄養食の良質なドッグフードを食べている場合は、栄養面で不足することはありません。食欲が落ちていて、とにかく何か食べさせたい時や水分を摂らせたいとき、または食べる楽しみ、与える楽しみとして、適量の範囲内で与えることが大切です。
総合栄養食については以下の記事に詳しくまとめているので参考にしてみてください。
チーズは、5大栄養素のうち「タンパク質と脂質、ビタミン類、ミネラル(カルシウム・ナトリウム)」の4つがバランスよく含まれています。
それぞれが犬の健康維持も期待できる代表的な効果には以下のようなことが挙げられます。
以下では、上記で示したチーズ(プロセスチーズ)100gあたりに含まれる代表的な栄養素と効果を紹介します。
タンパク質と言えば肉や魚を思い浮かべますが、チーズにも多くのタンパク質が含まれています。
タンパク質はエネルギーを供給する3大栄養素の一つで、20種類のアミノ酸が鎖のように結合してできています。犬の成長、発達、体組織の修復、酵素、免疫系のすべてにかかわっている非常に重要な栄養素です。
脂質は、毛艶の改善やフケの軽減など、皮膚・被毛の健康には欠かせない成分です。また細胞膜や血液、神経組織や筋肉の成分となるといった大切な働きがあります。
チーズに多く含まれるビタミンAは、油に溶けやすい脂溶性ビタミンの一つで、「目のビタミン」とも言われ白内障の予防など目の機能の健康維持に役立ちます。また、皮膚や被毛を健康に保つ効果も期待できます。
皮膚と被毛の健康維持、質の向上を高めるために欠かせない栄養素です。
目の健康へ働きかけるほかにも、皮膚の表面の弾力性や水分量、脂質量の増加が期待できます。
ナトリウム(塩分)は犬の生命維持に欠かせない電解質です。体の中で神経の伝達、筋肉の動き、血液や体の中の水分量を一定に保つ働きや酸とアルカリのバランス維持など、様々な大切な働きをしています。しかし、過剰摂取は避け、適切な量を摂取することが健康維持に不可欠です。
※チーズ(プロセスチーズ)の可食部100g当たりの数値
※参照元:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=13_13040_7
チーズと一言に言っても、その加工方法の違いから、ナチュラルチーズとプロセスチーズの2種類に大別されます。
生乳を主原料として、発酵や熟成などの加工を施して作られたチーズ。
生きた乳酸菌や酵素が残っているため、時間とともに熟成が進み、味わいが変化します。
ナチュラルチーズを原料に、乳化剤などを加えて加熱して溶かし、再び成形したもの。
味わいが安定しており、賞味期限も長めです。
人間用のチーズを犬に与える時は、できるだけ塩分が少ないものを選びましょう。
具体的にはナチュラルチーズの中でも「フレッシュチーズ」と呼ばれる熟成させずに作られているチーズがおすすめです。水分量が多い分、塩分濃度が低くなっています。
マスカルポーネチーズ(フレッシュ) 塩分量:0.1g
モッツァレラチーズ(フレッシュ) 塩分量:0.2g
リコッタチーズ(フレッシュ) 塩分量:0.4g
クリームチーズ(フレッシュ) 塩分量:0.7g
カッテージチーズ(フレッシュ) 塩分量:1.0g
一方で、ナチュラルチーズの中でも熟成させるほど塩分が高くなります。
またプロセスチーズも製造過程で塩が多く加えられることから同じく塩分が多くなりがちです。 参考までに以下に代表的なチーズと塩分量を記載します。
カマンベールチーズ(熟成) 塩分量:2.0g
ゴーダチーズ(熟成) 塩分量:2.0g
プロセスチーズ 塩分量:2.8g
パルメザンチーズ(熟成) 塩分量:3.8g
ブルーチーズ(熟成) 塩分量:3.8g
食塩相当量(g)=100g中のナトリウム量(g)×2.54(出典:一般社団法人日本乳業協会)
見てわかるようにフレッシュチーズに比べてもかなり塩分量が多いので、与えるのは控えるほうがいいでしょう。
また、塩分が低くてもマスカルポーネやクリームチーズのように脂質が高いものもあるため、塩分が低くて脂質が高いものを与える際は半量にするなど、食べさせる量を調整してください。
犬が、チーズを喜んで食べているからといって与えすぎることのないように注意しましょう。
一般的におやつで与える際は一日の必要カロリーの10~20%分が許容量ですが、特にチーズは、カロリーが高く、また塩分も多く含まれているので、たくさん与えてしまうと体調を崩してしまうおそれがあります。
以下が犬にチーズを与える際の目安です。
※人用のプロセスチーズ100gあたり313kcalとして算出
※数値は、体重相応のおやつ(1日の総摂取カロリー目安の10%)として算出
ただし、チーズは種類によって脂質や塩分量が異なるため、上記はあくまで目安です。さらに犬の年齢やお腹の健康状態や運動量によっても適量は異なるので初めて愛犬にチーズを与える際は必ず少量にとどめ、体調に変化がないかよく様子をみるようにしましょう。
チーズの与え過ぎは肥満になる危険性があり注意が必要です。また前述の通り塩分の多いチーズの摂り過ぎは、高血圧になる可能性を高めます。
チーズに動物性の脂質が多く含まれており、カロリーが非常に高いため過剰に摂取すると肥満や生活習慣病のリスクが高まります。
犬にチーズを与えすぎると、塩分の過剰摂取により高血圧のリスクが高まる可能性があります。
特に前述の通り熟成したチーズやプロセスチーズには塩分が多く含まれていることから、与えるのは避けたほうが賢明です。
犬は牛乳に含まれる乳糖を分解する酵素「ラクターゼ」が不足しがちです。乳糖が十分に分解されずに大腸に到達すると、有害菌の増殖を招き、下痢などの消化器症状を引き起こす可能性があります。
ナチュラルチーズの多くは製造過程で乳糖がホエイに移行するため、乳糖はほとんど含まれていません。しかし、クリームチーズやマスカルポーネチーズなどは乳糖が比較的多く残っているので注意が必要です。
また、乳糖不耐症の程度には個体差あるので、必ず少量から様子をみてください。
アレルギーは、体内の免疫機能がタンパク質に対して異常に反応することで起こるものです。
チーズには少量ですがタンパク質が含まれているので、アレルギーを引き起こす可能性があります。アレルギーを起こすと下痢、嘔吐、痒みを伴う症状などが多く見られます。
初めて犬にチーズを与えるときには、少量にしておき、ほかに新しい食べ物を与えないようにしましょう。こうすると、万が一アレルギーを起こしたときの重症化を抑え、その原因を特定しやすくなります。
Q犬にチーズケーキを与えても大丈夫でしょうか?
A人間用に作られたチーズケーキは、糖分や塩分、アルコールなどが使用されていることが多いため犬に与えないほうが賢明です。どうしてもチーズケーキを食べさせてあげたい場合は、手作りにするか犬用のチーズケーキにしてください。
Q犬に「さけるチーズ」を与えても大丈夫でしょうか?
A犬に「さけるチーズ」を与えるのは避けた方が賢明です。プロセスチーズに分類される「さけるチーズ」は、塩分が多く含まれているため過剰に摂取すると、下痢や嘔吐、発作などの中毒症状(食塩中毒)を引き起こす可能性があります。
Q犬に薬を飲ませる際、チーズに包むと良いのは本当でしょうか?
Aはい、犬に薬を飲ませる際にチーズに包むのは有効な方法の一つです。チーズは犬の嗜好性が高く、発酵した香りが犬の好物なので、薬をチーズに包めば薬だけを残されずに飲ませやすくなります。ただし、この記事で紹介している通りチーズには塩分が多く含まれているので、与える量には注意はしましょう。
Q子犬や老犬にチーズを与えても大丈夫でしょうか?
A通常、消化器官が十分に発達する生後2〜3か月ほど経った頃から与えることができます。 ただし、子犬によっては歯が乳歯から永久歯に生え変わる生後7~8月までは消化機能が未発達なこともあるので、まずは少量から与えるようにしましょう。 老犬も同様に、消化器機能が弱っていることがあることから、与える際は少量から始めましょう。
犬の健康に役立つ栄養成分が豊富に含まれるチーズ。
ただし、与え過ぎると下痢や嘔吐を引き起こすことがあるので、あくまでおやつとして与えるようにしましょう。
そして、与えるときはアレルギーにも注意し、チーズを与えた分の主食を減らしてカロリーオーバーしないよう注意しましょう。
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