ペットフード業界で働くこと9年目。中学生の頃よりビションフリーゼ(メス、毛が薄め)のパピの姉として育つ。それ以来、白くてふわふわな犬が好き。趣味はビショングッズ収集。図書館司書の資格をもち絵本の読み聞かせやお話し会なども行っていた。好きな絵本は「どろんこハリー」。将来は犬と一緒に心を開いて読書を楽しむ社会貢献もしたいと思っている。
2023/09/06
栗は秋の味覚の代表格。
モンブランやマロンパイなど栗を使った料理も豊富で、秋を感じるスイーツを楽しみにしている人も多いのではないでしょうか。
そんな栗を犬が美味しそうに食べるという声をよく聞く一方で、そもそも犬に栗を与えて大丈夫なのかと不安に思っている飼い主も多いようです。
結論から言うと、栗は犬に与えても大丈夫な果物です。
本記事では、犬に栗を与えても大丈夫な理由から与え方、そして注意点まで解説します。
結論から言うと、栗には犬の体によくない有毒成分は含まれていませんので安心して与えることができます。
ただし、消化のために鬼皮と渋皮は必ず取り除き、生ではなく加熱して柔らかくなった栗を与えるようにしましょう。
また与え過ぎも要注意です。
炭水化物が豊富な栗は、食べ過ぎると肥満につながる恐れがあります。またたくさん与えてしまうと下痢などお腹の調子を崩す原因となりますので、あくまで適量であることが大切です。
そもそも栄養面において総合栄養食の良質なドッグフードを食べている場合は、栄養面で不足することはありません。食欲が落ちていて、とにかく何か食べさせたい時や水分を摂らせたいとき、または食べる楽しみ、与える楽しみとして、適量の範囲内で与えることが大切です。
総合栄養食については以下の記事に詳しくまとめているので参考にしてみてください。
栗は、エネルギー源になる炭水化物の他、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンAなどのビタミン類、カリウム、食物繊維など犬の健康維持に役立つ栄養を含んでいます。
期待できる代表的な効果には以下のようなことが挙げられます。
以下では、上記で示したような栗100gあたりに含まれる代表的な栄養素と効果を紹介します。
栗には、タンパク質・脂質と並ぶ3大栄養素のひとつ「炭水化物」が多く含まれています。炭水化物は、犬の生命活動に必要なエネルギー源となります。
体の細胞と細胞の間を結ぶコラーゲンというたんぱく質をつくるのに不可欠で、犬の皮膚、皮膜や粘膜などの健康維持に役立ちます。また、抗酸化作用があるため、アンチエイジングや動脈硬化の予防、免疫機能のアップなども期待できます。
糖質の代謝をサポートするビタミンB1は、栗自体が持っている糖質を速やかにエネルギーに換えてくれます。
栗に含まれるビタミンAは、油に溶けやすい脂溶性ビタミンの一つで、「目のビタミン」とも言われ白内障の予防など目の機能の健康維持に役立ちます。また、皮膚や被毛を健康に保つ効果も期待できます。
犬のお腹の調子を整えたり、便秘予防に効果的といわれています。
栗にはミネラルのひとつであるカリウムが含まれています。
カリウムにはナトリウムとバランスをとりながら、細胞を正常に保ったり、体液の浸透圧を調整したりといった働きがあります。利尿作用もあり体内の余分な塩分を排出し、血圧を下げる働きをします。この他にも心臓や神経、筋肉の動きにも関係しています。
※日本ぐり(生)の可食部100g当たりの数値
参照元:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=5_05010_7
犬に栗を与える際は、鬼皮はもちろん渋皮も取り除いてから与えるようにしましょう。
外側の硬い鬼皮は犬の胃腸を傷付ける可能性があり、渋皮は消化しにくいので食べさせるのは推奨されません。
また生の栗は、固いだけでなくそのままでは消化しにくいので、必ず茹でる・蒸すなど加熱して柔らかくなったことを確認してから与えてください。
与える際も、すりつぶす必要はないですが、食べやすいように犬の大きさや食べ方にあわせて小さくカットしてあげましょう。
犬が、栗を喜んで食べているからといって与えすぎることのないように注意しましょう。
一般的におやつで与える際は一日の必要カロリーの10~20%分が許容量ですが、特に栗は、高カロリーな食べ物ですので、たくさん与えてしまうと肥満に繋がりやすいだけでなく、お腹の調子を崩してしまうおそれがあります。
以下が犬に栗を与える際の目安です。ただし、あくまでもカロリー上の算出値であること、犬の年齢やお腹の健康状態や運動量によっても適量は異なるのであくまで目安として調整しましょう。
犬の体重目安 1日あたりの摂取可能目安
※栗100gに含まれるエネルギーは、約147 kcalとして算出
※数値は、1日の総摂取カロリー目安の10%として算出
栗は、これまで見てきたように健康な犬には問題なく与えられる食品ですが、皮を取り除く必要があるのと心臓や腎臓に持病を持っている犬やアレルギーの点からも注意が必要なケースがあります。
前述の通り鬼皮と渋皮は消化の面から食べさせるべきではなく、もし丸呑みしてしまうと硬い栗が喉につまり、呼吸ができなくなり窒息してしまう危険性があります。
自宅はもちろん散歩のときなど誤って食べてしまわないように十分に注意しましょう。
栗に含まれるカリウムは、心臓、腎臓に持病のある犬には制限が必要な成分です。
特に療法食を食べている犬の場合には、栗をあげる前に必ず獣医師に相談してからにしましょう。
アレルギーは、体内の免疫機能がタンパク質に対して異常に反応することで起こるものです。
栗には少量ですがタンパク質が含まれているので、アレルギーを引き起こす可能性があります。アレルギーを起こすと下痢、嘔吐、痒みを伴う症状などが多く見られます。
初めて犬に栗を与えるときには、少量にしておき、ほかに新しい食べ物を与えないようにしましょう。こうすると、万が一アレルギーを起こしたときの重症化を抑え、その原因を特定しやすくなります。
Q栗きんとんやモンブランなど栗を使ったお菓子などの加工食品は与えても大丈夫でしょうか?
A市販のお菓子は、砂糖や添加物が使われていることが多いため、与えないようにしましょう。ただし、原材料が甘栗のみでむいただけの商品であれば、スーパーやコンビニで販売されている甘栗でも与えても問題ありません。
Q有機栽培で収穫された甘栗は与えても大丈夫でしょうか?
A問題ありません。ただし、加工品の有機甘栗の場合は、必ず原材料が甘栗のみであることを確認してから与えるようにしましょう。
Q栗は子犬に与えても大丈夫でしょうか?
A通常、消化器官が十分に発達する生後2〜3か月ほど経った頃から与えることができます。 ただし、子犬によっては歯が乳歯から永久歯に生え変わる生後7~8か月までは消化機能が未発達なこともあるので、心配な方は歯が生え変わったことを確認してから与えるようにしましょう。
犬の健康に役立つ栄養成分が豊富に含まれる栗。
与えるときは、鬼皮だけでなく渋皮も取り除き、必ず加熱して柔らかく、そして、小さくカットして喉に詰まらせないようにしましょう。
与える量は、1日の必要摂取カロリーの1割程度にし、栗を与えた分の主食を減らしてカロリーオーバーしないよう注意しましょう。
栗以外の果物を犬に与えて大丈夫かについては以下の記事にまとめていますので、合わせてご覧ください。
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