ペットフード業界で働くこと9年目。中学生の頃よりビションフリーゼ(メス、毛が薄め)のパピの姉として育つ。それ以来、白くてふわふわな犬が好き。趣味はビショングッズ収集。図書館司書の資格をもち絵本の読み聞かせやお話し会なども行っていた。好きな絵本は「どろんこハリー」。将来は犬と一緒に心を開いて読書を楽しむ社会貢献もしたいと思っている。
2024/01/22
淡白な味わいの白菜は、鍋や炒め物、漬物などに使われ、冬になると食卓にのぼることも多いのではないでしょうか。
そんな白菜を犬が美味しそうに食べるという声をよく聞く一方で、
と疑問に思われる方も多いでしょう。
結論から言うと、白菜は犬に与えても大丈夫な野菜です。
本記事では、犬に白菜を与えても大丈夫な理由から与え方、そして注意点まで解説します。
白菜には犬の体によくない有毒成分は含まれていませんので安心して与えることができます。
噛みごたえもあり、具として存在感もありながらも低カロリーなので、肥満防止や栄養バランスを考えて手作り食を作るときにおすすめしたい食材とも言えます。
ただし与え過ぎには要注意です。
白菜は約95%が水分であり、さらに白菜に含まれる食物繊維を摂り過ぎれば、消化不良や下痢を引き起こすかもしれません。
そもそも栄養面において総合栄養食の良質なドッグフードを食べている場合は、栄養面で不足することはありません。食欲が落ちていて、とにかく何か食べさせたい時や水分を摂らせたいとき、または食べる楽しみ、与える楽しみとして、適量の範囲内で与えることが大切です。
総合栄養食については以下の記事に詳しくまとめているので参考にしてみてください。
白菜には、ビタミン類(βカロテン、ビタミンC、ビタミンK)や食物繊維、カリウムなど犬の健康維持に役立つ栄養を含んでいます。期待できる代表的な効果には以下のようなことが挙げられます。
以下では、上記で示した白菜100gあたりに含まれる代表的な栄養素と効果をより詳しく紹介します。
βカロテン 92μg
白菜には、βカロテンが豊富に含まれています。
βカロテンは犬の体内で「目のビタミン」とも言われるビタミンAに変換され、目や皮膚の粘膜を健康に保つ他、白内障の予防など目の機能の健康維持に役立ちます。さらに、抗酸化作用もあるため皮膚や被毛を健康に保つ効果も期待できます。
葉酸(ビタミンB9) 61μg
葉酸は神経組織の発達やDNAの合成に関与しているとされ妊娠中の母犬などに特に役立ちます。また、貧血予防にも効果があります。
ビタミンC 19mg
体の細胞と細胞の間を結ぶコラーゲンというタンパク質をつくるのに不可欠で、犬の皮膚、皮膜や粘膜などの健康維持に役立ちます。また、抗酸化作用があるため、アンチエイジングや動脈硬化の予防、免疫機能のアップなども期待できます。
ビタミンK 59μg
出血があった際に、血を止める凝固作用や骨の形成をサポートする役割があります。
犬のお腹の調子を整えたり、便秘予防に効果的といわれています。
白菜にはミネラルのひとつであるカリウムが含まれています。
カリウムにはナトリウムとバランスをとりながら、細胞を正常に保ったり、体液の浸透圧を調整したりといった働きがあります。この他にも心臓や神経、筋肉の動きにも関係しています。
カルシウムは骨と歯の構成成分の99%を占め、身体を支える骨格を強化する働きがあります。また、神経刺激の伝達・興奮、筋肉の収縮、ホルモンの分泌、血液凝固など、身体のバランスを整えることにも役立っています。
白菜に含まれる辛味成分「イソチオシアネート」は、殺菌効果や血液をサラサラにする効果があるといわれています。さらに近年、発ガン物質を無毒化する解毒酵素を誘導したりすることで、がんの予防効果に関する研究報告がなされ、注目を集めています。※1.※2
※白菜(生)の可食部100g当たりの数値
※参照元:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06233_7
※1.アブラナ科野菜漬物(カブ,ハクサイ)のイソチオシアネート生成に関する塩化ナトリウム (NaCl) およびアスコルビン酸の影響(https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience/49/2/49_138/_pdf)
※2.イソチオシアネートによるがん予防の可能性(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jems/26/3/26_3_253/_pdf/-char/ja)
白菜は、健康な犬には問題なく与えられる食品ですが、心臓や腎臓に持病を持っている犬やアレルギーの点からも注意が必要なケースがあります。
白菜に含まれるリンやカリウムは、心臓、腎臓に持病のある犬には制限が必要な成分です。特に療法食を食べている犬の場合には、白菜をあげる前に必ず獣医師に相談してからにしましょう。
白菜に含まれているマグネシウム、カルシウム、リンなどのミネラル分は、犬の尿結石のうちで一番多くみられるストルバイト結晶・結石の成分でもあります。 特に白菜はカリウムとカルシウムが豊富なので、尿検査で注意を受けるなど予防が必要な体質の場合は避けましょう。
白菜には、甲状腺ホルモンの分泌を阻害する『ゴイトロゲン(グルコシノレート)』という成分が含まれており、この成分の摂取が多量に続くと、甲状腺ホルモンの欠乏が引き起こされ、運動性の低下や無気力などの症状が現れる可能性があると考えられています。
すでに甲状腺機能の低下が認められる犬には、白菜を与えないほうが安心です。
アレルギーは、体内の免疫機能がタンパク質に対して異常に反応することで起こるものです。
白菜には少量ですがタンパク質が含まれているので、アレルギーを引き起こす可能性があります。アレルギーを起こすと下痢、嘔吐、痒みを伴う症状などが多く見られます。
初めて犬に白菜を与えるときには、少量にしておき、ほかに新しい食べ物を与えないようにしましょう。こうすると、万が一アレルギーを起こしたときの重症化を抑え、その原因を特定しやすくなります。
犬に白菜を与える際は、生のまま与えてしまうと消化不良を起こす可能性があるため、消化しやすいように加熱してから与えるようにしましょう。
また白菜の緑色の葉の部分だけでなく、白く固い芯の部分も犬が消化しやすいよう小さくカットすれば、犬に与えても大丈夫です。
100gあたりのカロリーがわずか13kcalの白菜ですが、与えすぎには注意しましょう。約95%が水分ですので、たくさん与えてしまうと下痢などお腹の調子を崩すことが考えられます。あくまで適量であることが大切です。
おやつで与える際は一日の必要カロリーの10~20%分が許容量になりますが、白菜のカロリーが非常に低いため、そのままの計算では与える量がかなり多くなってしまいます。
以下が犬に白菜を与える際の目安です。
ただし、犬の年齢やお腹の健康状態や運動量によっても適量は異なるのであくまで目安として調整しましょう。
犬の体重目安 1日あたりの摂取可能目安;
※白菜(生)100gに含まれるエネルギーは、13kcalとして算出
※白菜の葉1枚は100g前後を想定
Q白菜を老犬に与えても大丈夫でしょうか?
A与えても大丈夫です。白菜の約95%は水分なので、水分の摂取量が減りがちな老犬の水分補給にもなります。ドライフードのトッピングに使うのも良いでしょう。
Q白菜を子犬に与えても大丈夫でしょうか?
A通常、消化器官が十分に発達する生後2〜3か月ほど経った頃から与えることができます。 ただし、子犬によっては歯が乳歯から永久歯に生え変わる生後7~8月までは消化機能が未発達なこともあるので、心配な方は歯が生え変わったことを確認してから与えるようにしましょう。
犬の健康に役立つ栄養成分を含み、さらにカロリーの低い白菜は、フードのトッピングに加えてかさましにもおすすめの野菜です。
ただし、いくらカロリーが低く、栄養価が高いからといっても白菜はあくまでおやつとして与えるようにしましょう。
そして、白菜を与えた分の主食を減らしてカロリーオーバーしないよう注意しましょう。
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