ペットフード業界で働くこと9年目。中学生の頃よりビションフリーゼ(メス、毛が薄め)のパピの姉として育つ。それ以来、白くてふわふわな犬が好き。趣味はビショングッズ収集。図書館司書の資格をもち絵本の読み聞かせやお話し会なども行っていた。好きな絵本は「どろんこハリー」。将来は犬と一緒に心を開いて読書を楽しむ社会貢献もしたいと思っている。
2024/02/26
淡白な味わいで癖のない「えのき」は、特に晩秋から冬にかけて鍋料理の具材として人気の食材です。
今では栽培方法も進化し、年間を通して食べることができることから、食卓にのぼる機会も多いのではないでしょうか。
そんなえのきを犬が美味しそうに食べるという声をよく聞く一方で、
と疑問に思われる方も多いでしょう。
結論から言うと、加熱処理すれば「えのき」は犬に与えても大丈夫な食品です。
本記事では、犬にえのきを与えても大丈夫な理由から与え方、そして注意点まで解説します。
【 目 次 】
えのきは、加熱処理をすれば犬の体によくない有毒成分は含まれていませんので安心して与えることができます。
低カロリーなので、肥満防止や栄養バランスを考えて手作り食を作るときにおすすめしたい食材とも言えます。
ただし、与え過ぎには要注意です。
その理由は、えのきには食物繊維が多く含まれているからです。
えのきは、便のかさを増して便秘の解消に役立つ不溶性食物繊維を多く含みます。適量の不溶性食物繊維は犬の体にメリットをもらしますが、食べすぎは消化不良を起こし、かえって腸内環境を悪くしかねません。
そもそも栄養面において総合栄養食の良質なドッグフードを食べている場合は、栄養面で不足することはありません。食欲が落ちていて、とにかく何か食べさせたい時や水分を摂らせたいとき、または食べる楽しみ、与える楽しみとして、適量の範囲内で与えることが大切です。
総合栄養食については以下の記事に詳しくまとめているので参考にしてみてください。
えのきには、βグルカンを含む豊富な食物繊維の他、ビタミンB群、ビタミンDなどのビタミン類、カリウムなどの犬の健康維持に役立つ栄養を含んでいます。
期待できる代表的な効果には以下のようなことが挙げられます。
以下では、上記で示したえのき100gあたりに含まれる代表的な栄養素と効果を紹介します。
食物繊維は、犬のお腹の調子を整え、便秘予防に効果的といわれています。また、えのきには食物繊維の一種であるβグルカンが含まれています。
βグルカンは、キノコの仲間などに含まれる成分で、免疫系に役立つ働きのほか、マクロファージと呼ばれる細胞を活性化し、感染症や病気に対する抵抗力を高める効果があります。
ちなみにえのきに多く含まれるのは、腸内環境の改善や便のかさを増して便秘の解消に役立つ不溶性食物繊維です。前述の通り適量の不溶性食物繊維は犬の体にメリットをもらしますが、食べすぎは消化不良を起こし、かえって腸内環境が悪くなる可能性があるので注意が必要です。
糖質の代謝をサポートするビタミンB1は、えのき自体が持っている糖質を速やかにエネルギーに換えてくれます。疲れにくい体をつくるために必要と言われています。
皮膚と被毛の健康維持、質の向上を高めるために欠かせない栄養素です。
ビタミンDは、カルシウムやリンの吸収をサポートする栄養素です。
骨や歯の健康維持に必要で、ビタミンDが欠乏すると、骨粗しょう症やくる病などの病気になる可能性があります。
人がビタミンDを得るには食べ物から摂る方法と、日光を浴びて紫外線にビタミンDをつくってもらう2つの方法があります。ただし、犬の場合は日光を浴びてもほんの僅かして作ることができないため食事から摂る必要がある栄養素です。
カリウムにはナトリウムとバランスをとりながら、細胞を正常に保ったり、体液の浸透圧を調整したりといった働きがあります。この他にも心臓や神経、筋肉の動きにも関係しています。
えのきにはGABA(γ-アミノ酪酸)という神経伝達物質が含まれています。コンビニやスーパーなどでGABAと書かれたチョコレートのパッケージを見たことがある人も多いのではないでしょうか。GABAは脳内の興奮を抑え、神経を落ち着かせる働きがあります
※えのき(ゆで)の可食部100g当たりの数値
※参照元:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=8_08002_7
生のえのきには、フラムトキシンと呼ばれる毒素が含まれていると言われています。
犬がフラムトキシンを採ってしまうと、心臓の収縮力を強化する強心作用や赤血球が何らかの原因により本来の寿命より破壊される溶血作用を引き起こす可能性があります。
特に溶血作用では、貧血に似た症状を引き起こし、最悪の場合、命を落とす危険すらあります。そもそもフラムトキシンにはわかっていない部分が多いため、生のえのきは与えないようにしましょう。
前述のフラムトキシンという毒素を取り除くこと、また生のまま与えてしまうと消化不良を起こす可能性があるため、必ず加熱調理してから与えるようにしましょう。えのきは加熱しても栄養素が流れにくいので、栄養素の観点からも問題ありません。
与える際は犬の大きさや食べ方にあわせて細かくカットしましょう。
喉に詰まらせることを予防し、消化の手助けにもなります。 犬はえのきの石づき部を食べてしまっても問題はないと言われていますが、基本的には人が食べるのと同じように石づき部をカットし、おが屑を取り除いてから与えましょう。
100gあたりのカロリーは34kcalと野菜の中では平均的なカロリーのえのきですが、与えすぎには注意しましょう。
前述の通り不溶性食物繊維が多く含まれているので、たくさん与えてしまうと消化不良を起こすことが考えられます。特に腸の調子が良くない子、便秘気味の子は与えないようにしましょう。あくまで適量であることが大切です。
おやつで与える際は一日の必要カロリーの10~20%分が許容量になりますが、栄養素の観点も含めて考え、一口サイズに小さくカットしたものを、1~3欠片与える程度にとどめておくことを目安にしましょう。
えのきに含まれるカリウムは、心臓、腎臓に持病のある犬には制限が必要な成分です。
特に療法食を食べている犬の場合には、えのきをあげる前に必ず獣医師に相談してからにしましょう。
アレルギーは、体内の免疫機能がタンパク質に対して異常に反応することで起こるものです。
えのきには少量ですがタンパク質が含まれているので、アレルギーを引き起こす可能性があります。アレルギーを起こすと下痢、嘔吐、痒みを伴う症状などが多く見られます。
初めて犬にえのきを与えるときには、少量にしておき、ほかに新しい食べ物を与えないようにしましょう。こうすると、万が一アレルギーを起こしたときの重症化を抑え、その原因を特定しやすくなります。
Qえのきを子犬や老犬に与えても大丈夫でしょうか?
A通常、消化器官が十分に発達する生後2〜3か月ほど経った頃から与えることができます。 ただし、子犬によっては歯が乳歯から永久歯に生え変わる生後7~8月までは消化機能が未発達なこともあるので、それまでは食物繊維を多く含むえのきは与えないほうが良いでしょう。
老犬も同様に、消化器機能が弱っていることや喉に詰まらせるリスクがあることから与えないほうが無難です。
犬の健康に役立つ栄養成分が豊富に含まれるえのき。ただし、いくら栄養価が高いからといってもえのきはあくまでおやつとして与えるようにしましょう。
また毒素を取り除く、消化の観点からも必ず加熱処理をしてから与えるようにしましょう。
えのき以外のきのこ類である「しめじ」や「舞茸」、「たけのこ」などの野菜については、以下の記事にまとめていますので、合わせてご覧ください。
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