ペットフード業界で働くこと9年目。中学生の頃よりビションフリーゼ(メス、毛が薄め)のパピの姉として育つ。それ以来、白くてふわふわな犬が好き。趣味はビショングッズ収集。図書館司書の資格をもち絵本の読み聞かせやお話し会なども行っていた。好きな絵本は「どろんこハリー」。将来は犬と一緒に心を開いて読書を楽しむ社会貢献もしたいと思っている。
2023/09/04
「柿が赤くなると医者が青くなる」ということわざがあるように、古くは奈良時代から栄養価の高い果物として重宝されてきた柿。
そんな柿を犬が美味しそうに食べるという声をよく聞く一方で、そもそも犬に柿を与えて大丈夫なのかと不安に思っている飼い主も多いようです。
結論から言うと、柿は犬に与えても大丈夫な果物です。
本記事では、犬に柿を与えても大丈夫な理由から与え方、そして注意点まで解説します。
結論から言うと、スーパーなどで市販されている柿には犬の体によくない有毒成分は含まれていませんので安心して与えることができます。
ただし、「未成熟な柿」や「渋柿」には、嘔吐や下痢を引き起こす恐れのある「アルカロイド」という有害成分が含まれているので、柿の木の下など犬と一緒に散歩する際に落ちた実を誤ってかじってしまわないように気をつけましょう。
また与え過ぎも要注意です。
柿の約80%は水分ですので、たくさん与えてしまうと下痢などお腹の調子を崩すことが考えられます。あくまで適量であることが大切です。
そもそも栄養面において総合栄養食の良質なドッグフードを食べている場合は、栄養面で不足することはありません。食欲が落ちていて、とにかく何か食べさせたい時や水分を摂らせたいとき、または食べる楽しみ、与える楽しみとして、適量の範囲内で与えることが大切です。
総合栄養食については以下の記事に詳しくまとめているので参考にしてみてください。
柿は、抗酸化作用のあるビタミンCが豊富に含まれています。それ以外にもβカロテン、食物繊維やカリウムなど犬の健康維持に役立つ栄養を含んでいます。
期待できる代表的な効果には以下のようなことが挙げられます。
以下では、上記で示したような柿100gあたりに含まれる代表的な栄養素と効果を紹介します。
体の細胞と細胞の間を結ぶコラーゲンというたんぱく質をつくるのに不可欠で、犬の皮膚、皮膜や粘膜などの健康維持に役立ちます。また、抗酸化作用があるため、アンチエイジングや動脈硬化の予防、免疫機能のアップなども期待できます。
βカロテンは犬の体内で「目のビタミン」とも言われるビタミンAに変換され、目や皮膚の粘膜を健康に保つ他、白内障の予防など目の機能の健康維持に役立ちます。さらに、抗酸化作用もあるため皮膚や被毛を健康に保つ効果も期待できます。
犬のお腹の調子を整えたり、便秘予防に効果的といわれています。
また柿にはペクチンと呼ばれる可溶性の食物繊維が含まれています。ペクチンは腸の中で水分を吸収し、血糖値やコレステロールの急激な上昇を抑える作用があります。
免疫力に大きくかかわる腸内環境を整える効果も期待できます。ただし、過剰に摂取をすると消化不良の原因となります。
柿にはミネラルのひとつであるカリウムが比較的多く含まれています。
カリウムにはナトリウムとバランスをとりながら、細胞を正常に保ったり、体液の浸透圧を調整したりといった働きがあります。利尿作用もあり体内の余分な塩分を排出し、血圧を下げる働きをします。
この他にも心臓や神経、筋肉の動きにも関係しています。
タンニンは、柿の渋みとなる成分で、多くの植物に含まれるポリフェノールの一種です。
ポリフェノールは、犬の体内で抗酸化物質として働き、様々な健康メリットを付与してくれます。
※柿(生)の可食部100g当たりの数値
参照元:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=7_07049_7
犬に柿を与える際は、皮を剥き、必ずへたと種を取り除いてから与えるようにしましょう。
皮やへたは犬には消化しにくく、特に柿の種は大きく、誤って飲み込んだら食道に詰まらせる恐れがあります。
与える際も、すりつぶす必要はないですが、食べやすいように犬の大きさや食べ方にあわせて小さくカットしてあげましょう。
犬が、柿を喜んで食べているからといって与えすぎることのないように注意しましょう。
一般的におやつで与える際は一日の必要カロリーの10~20%分が許容量ですが、特に柿は、前述の通り約80%が水分ですので、たくさん与えてしまうとお腹の調子を崩してしまうおそれがあります。また、柿は果糖も多く含まれているため、与え過ぎは肥満の原因にもなりかねません。
以下が犬に柿を与える際の目安です。ただし、あくまでもカロリー上の算出値であること、犬の年齢やお腹の健康状態や運動量によっても適量は異なるのであくまで目安として調整しましょう。
犬の体重目安 1日あたりの摂取可能目安
※柿100gに含まれるエネルギーは、約63 kcalとして算出
※数値は、1日の総摂取カロリー目安の10%として算出
柿は、これまで見てきたように健康な犬には問題なく与えられる食品ですが、未成熟な柿や渋柿に含まれる成分や、心臓や腎臓に持病を持っている犬やアレルギーの点からも注意が必要なケースがあります。
前述の通り未成熟な柿や渋柿には、有毒物質「アルカロイド」が含まれています。
誤って食べてしまうと中毒症状を引き起こす可能性があるので、愛犬が誤ってかじったりしないか、十分に注意しましょう。
柿に含まれるカリウムは、心臓、腎臓に持病のある犬には制限が必要な成分です。特に療法食を食べている犬の場合には、柿をあげる前に必ず獣医師に相談してからにしましょう。
アレルギーは、体内の免疫機能がタンパク質に対して異常に反応することで起こるものです。
柿には少量ですがタンパク質が含まれているので、アレルギーを引き起こす可能性があります。アレルギーを起こすと下痢、嘔吐、痒みを伴う症状などが多く見られます。
初めて犬に柿を与えるときには、少量にしておき、ほかに新しい食べ物を与えないようにしましょう。こうすると、万が一アレルギーを起こしたときの重症化を抑え、その原因を特定しやすくなります。
Q柿を使ったジュースやお菓子などの加工食品は与えても大丈夫でしょうか?
A柿をミキサーにかける果汁100%のジュースは与えても問題ありません。ただし、市販のジュースやお菓子は、砂糖や添加物が使われていることが多いため、与えないようにしましょう。
Q干し柿は与えても大丈夫でしょうか?
A添加物などが入っていない原材料が柿だけの干し柿であれば問題ありません。ただし、生の柿に比べて水分がない分、成分が凝縮され、重量あたりの糖分やカロリーが非常に高くなっているので、犬に干し柿を食べさせる場合は、少量だけにしましょう。
Q柿は子犬に与えても大丈夫でしょうか?
A通常、消化器官が十分に発達する生後2〜3か月ほど経った頃から与えることができます。 ただし、子犬によっては歯が乳歯から永久歯に生え変わる生後7~8か月までは消化機能が未発達なこともあるので、心配な方は歯が生え変わったことを確認してから与えるようにしましょう。
犬の健康に役立つ栄養成分が豊富に含まれる柿。
与えるときは、皮をむき、必ずヘタと種を取り除き、小さくカットし、喉に詰まらせないようにしましょう。
与える量は、1日の必要摂取カロリーの1割程度にし、柿を与えた分の主食を減らしてカロリーオーバーしないよう注意しましょう。
柿以外の梨やいちごなどの果物を犬に与えて大丈夫か、また犬が食べてはいけない果物について以下の記事にまとめていますので、合わせてご覧ください。
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