ペットフード業界で働くこと9年目。中学生の頃よりビションフリーゼ(メス、毛が薄め)のパピの姉として育つ。それ以来、白くてふわふわな犬が好き。趣味はビショングッズ収集。図書館司書の資格をもち絵本の読み聞かせやお話し会なども行っていた。好きな絵本は「どろんこハリー」。将来は犬と一緒に心を開いて読書を楽しむ社会貢献もしたいと思っている。
2024/06/10
太陽の果実と呼ばれる「マンゴー」。甘くてトロピカルな風味が特徴で、贈答品としても人気の高いフルーツの一種です。
そんなマンゴーを見つめる犬の目は、いつも食べたそうな表情をしています。実際に、犬が美味しそうに食べるという声をよく聞く一方で、
と疑問に思っている飼い主も多いようです。
結論から言うと、マンゴーは犬に与えても大丈夫な果物です。ただし、与えすぎには注意が必要です。
本記事では、犬にマンゴーを与えても大丈夫な理由から与え方、そして注意点まで解説します。
【 目 次 】
マンゴーには、犬の体によくない有毒成分は含まれていませんので安心して与えることができます。
水分が豊富なので、暑い日や運動後の水分補給に与えるのもよいでしょう。水を飲みたがらない犬も、甘い香りのあるマンゴーなら興味を示してくれるかもしれません。
ただし与えすぎには要注意です。マンゴーは糖分が多く高カロリー、さらに約82%が水分ですので、水分補給を超えてたくさん与えてしまうと下痢などお腹の調子を崩すことが考えられます。あくまで適量であることが大切です。
そもそも栄養面において総合栄養食の良質なドッグフードを食べている場合は、栄養面で不足することはありません。食欲が落ちていて、とにかく何か食べさせたい時や水分を摂らせたいとき、または食べる楽しみ、与える楽しみとして、適量の範囲内で与えることが大切です。
総合栄養食については以下の記事に詳しくまとめているので参考にしてみてください。
マンゴーには、βカロテン、ビタミンC、ビタミンの他、カリウムや食物繊維といった犬の健康維持に役立つ栄養が含まれています。期待できる代表的な効果には以下のようなことが挙げられます。
マンゴーに含まれるβカロテンの量は、果物類の中では多く含まれています。
そんなβカロテンは犬の体内で「目のビタミン」とも言われるビタミンAに変換され、目や皮膚の粘膜を健康に保つ他、白内障の予防など目の機能の健康維持に役立ちます。さらに、抗酸化作用もあるため皮膚や被毛を健康に保つ効果も期待できます。
葉酸は神経組織の発達やDNAの合成に関与しているとされ妊娠中の母犬などに特に役立ちます。また、貧血予防にも効果があります。
体の細胞と細胞の間を結ぶコラーゲンというタンパク質をつくるのに不可欠で、犬の皮膚、皮膜や粘膜などの健康維持に役立ちます。また、抗酸化作用があるため、アンチエイジングや動脈硬化の予防、免疫機能のアップなども期待できます。
紫外線などによる活性酸素による酸化ダメージから細胞を若々しく健康的に維持するのに役立ちます。ビタミンEはビタミンCと一緒に摂ることで、より効率的にその作用を発揮するといわれています。
カリウムにはナトリウムとバランスをとりながら、細胞を正常に保ったり、体液の浸透圧を調整したりといった働きがあります。この他にも心臓や神経、筋肉の動きにも関係しています。
食物繊維には2種類あります。水に溶ける「水溶性食物繊維」と、水に溶けない「不溶性食物繊維」です。水溶性食物繊維は、血糖値の上昇をゆっくりにして、コレステロールを体外に出すのを助けます。不溶性食物繊維は、腸で水分を吸収して膨らみ、便の量を増やして便通を良くします。また、腸内の善玉菌のエサにもなり、腸内環境を整える働きがあります。
マンゴーは、「水溶性」と「不溶性」の2つの食物繊維がバランスよく含まれているため、犬のお腹の調子を整えたり、便秘予防にも効果的といわれています。
一方で、食物繊維の摂り過ぎは消化不良を起こし、かえって腸内環境が悪くなる可能性があるので注意が必要です。
※マンゴーの可食部100g当たりの数値※参照元:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=7_07132_7
犬にマンゴーを与える際は、種や外の皮は消化に悪いので避け、果肉部分だけにしましょう。
特にマンゴーの種は、犬の喉に詰まるだけでなく、飲み込んだとしても食道や腸に詰まらせたり傷つけたりするおそれがあるので危険です。誤って食べてしまうことがないように蓋付きのゴミ箱などに捨てるようにしましょう。
与える際は、すりつぶす必要はありませんが、食べやすいように犬の大きさや食べ方にあわせて小さくカットしてあげましょう。
犬がマンゴーを喜んで食べているからといって与えすぎることのないように注意しましょう。
一般的におやつで与える際は一日の必要カロリーの10~20%分が許容量ですが、特にマンゴーは、前述の通り約82%が水分であり、またカロリーも高く、糖分も多く含まれているので、たくさん与えてしまうとお腹の調子を崩してしまうおそれがあります。
栄養素の観点も含めて考え、一口サイズに小さくカットしたものを、1~2欠片与える程度にとどめておくことを目安にしましょう。
マンゴーに含まれるカリウムは、心臓、腎臓に持病のある犬には制限が必要な成分です。特に療法食を食べている犬の場合には、マンゴーをあげる前に必ず獣医師に相談してからにしましょう。
アレルギーは、体内の免疫機能がタンパク質に対して異常に反応することで起こるものです。マンゴーには少量ですがタンパク質が含まれているので、アレルギーを引き起こす可能性があります。アレルギーを起こすと下痢、嘔吐、痒みを伴う症状などが多く見られます。
初めて犬にマンゴーを与えるときには、少量にしておき、ほかに新しい食べ物を与えないようにしましょう。こうすると、万が一アレルギーを起こしたときの重症化を抑え、その原因を特定しやすくなります。
マンゴーはウルシ科の果物です。漆(ウルシ)で皮膚がかぶれることがあるのは有名ですよね。マンゴーにも、漆のかぶれ成分である「ウルシオール」に似た「マンゴール」と「カルドール」という成分が含まれています。そのため、マンゴーを触ることで人も犬も皮膚炎を引き起こす可能性があり、マンゴー皮膚炎と言われています。
特に皮の部分に「カルドール」が多く含まれていて、アレルギーのある犬は触れるだけで皮膚炎を起こすことがあるので注意が必要です。
Qマンゴーを子犬や老犬に与えても大丈夫でしょうか?
A通常、消化器官が十分に発達する生後2〜3か月ほど経った頃から与えることができます。ただし、子犬によっては歯が乳歯から永久歯に生え変わる生後7~8月までは消化機能が未発達なこともあるので、まずは少量から与えるようにしましょう。
老犬も同様に、消化器機能が弱っていることがあることから、与える際は少量から始めましょう。
Qドライマンゴーは与えても大丈夫でしょうか?
A生のマンゴーもドライマンゴーも、栄養素自体には大きな変化はありません。したがって、犬の体に有害な成分は含まれていませんが、人間用に砂糖を多く使用しているものもあり、犬にとっては過剰な糖分となってしまいます。また、ドライマンゴーはマンゴーの水分がなくなり濃縮された分、脂質は7倍、カロリーも5倍となっています。さらに、かなり固くなっているため、細かく切っても喉に詰まらせる危険がありますので、基本的には与えないほうが良いでしょう。
Qマンゴーのジュースやアイス・ゼリーなどの加工食品は与えても大丈夫でしょうか?
Aマンゴーの加工食品には、人工甘味料や着色料、防腐剤、香料などの添加物が含まれていることが多いため、果汁100%以外のジュースは与えないほうが良いでしょう。
豊富な水分とともに犬の健康に役立つ栄養成分が豊富に含まれるマンゴー。人間同様、暑さで失った水分を補うのにも最適な果物です。
ただし、与え過ぎると下痢や嘔吐を引き起こすことがあるので、あくまでおやつとして与えるようにしましょう。
そして、与えるときはアレルギーに注意し、外の皮と種を取り除き、犬が食べやすいように小さくカットして与えましょう。
マンゴー以外の果物については以下の記事にまとめていますので、合わせてご覧ください。
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