ペットフード業界で働くこと9年目。中学生の頃よりビションフリーゼ(メス、毛が薄め)のパピの姉として育つ。それ以来、白くてふわふわな犬が好き。趣味はビショングッズ収集。図書館司書の資格をもち絵本の読み聞かせやお話し会なども行っていた。好きな絵本は「どろんこハリー」。将来は犬と一緒に心を開いて読書を楽しむ社会貢献もしたいと思っている。
2024/08/23
牛乳は、カルシウムなどのミネラルや多くの栄養素を含み、私たち人間にとって良質な食品の一つです。しかし、犬にとっては下痢や嘔吐、アレルギーを引き起こす可能性があるため、人間用の牛乳を与える際には注意が必要です。
本記事では、犬が牛乳を飲んだときに起こり得る症状や対処方法について説明します。
【 目 次 】
結論として、犬に牛乳を与えることは多くのデメリットがあるため、推奨できません。
少量であれば問題が生じないこともありますが、過剰に与えると下痢や嘔吐を引き起こす可能性があります。
犬は牛乳に含まれる乳糖を分解する酵素「ラクターゼ」が不足しがちです。乳糖が十分に分解されずに大腸に到達すると、有害菌の増殖を招き、下痢などの消化器症状を引き起こす可能性があります。
人間でも牛乳を飲むとおなかがゴロゴロすることがありますが、これはラクターゼの働きが低下しているためであり、この症状は「乳糖不耐症」と呼ばれます。
さらに、アレルギーにも注意が必要です。牛乳に含まれるタンパク質に対して、体内の免疫機能が異常に反応し、下痢、嘔吐、痒みなどの症状を引き起こす可能性があります。
牛乳はあくまで栄養補助食品であり、総合栄養食として良質なドッグフードを食べている場合、栄養が不足することはありません。そのため、牛乳を与えるメリットは少ないため、少量であっても与えることはお勧めしません。
総合栄養食については以下の記事に詳しくまとめているので、参考にしてみてください。
牛乳は栄養価が高いですが、これまで述べてきたとおり、犬にとっては体に負担がかかる成分が含まれているため、特に目立ったメリットはありません。ただし、水を飲みたがらない犬が牛乳であれば飲むという場合は、水分補給の観点から牛乳を与えることに一定のメリットがあると言えるでしょう。
また、食欲が落ちている犬に何か食べさせたいとき、牛乳を摂取できれば不足している栄養素を補うことができます。ただし、与えすぎには変わらず注意が必要です。
前述のとおり、犬がもし牛乳を飲んでしまった場合には、以下のような症状が現れることがあります。
この中でも特に多いのが下痢です。水様便のようなひどい状態になったり、頻繁に下痢が続いたりする場合、脱水症状を引き起こし、犬がぐったりしてしまうことがあります。そのため、早めに動物病院で診てもらう必要があります。
アレルギーは、体内の免疫機能がタンパク質に対して異常に反応することで起こるものです。
牛乳にはタンパク質が含まれているため、アレルギーを引き起こす可能性があります。アレルギーが発生すると、下痢、嘔吐、痒みを伴う症状が多く見られます。特に、「アルファカゼイン」と呼ばれるタンパク質が主なアレルギー源であることが判明しています。
初めて犬に牛乳を与えるときは、少量に留め、他の新しい食べ物は与えないようにしましょう。こうすることで、万が一アレルギーが発生した場合、その症状の重症化を抑え、原因を特定しやすくなります。
どのくらいの量の牛乳を飲むと下痢などの症状が出るのかについて、正確にはわかっていませんが、犬の大きさや健康状態・年齢などが関係していると考えられています。
実際には少量飲んだり、スプーン一杯程度を舐めたりする程度であれば大丈夫なことも報告されています。しかし、飲んだ量が少なく、見る限り体調に影響がないといっても、1~2日たって症状が現れたり、何も症状があらわれなくても体に不要な負担をかけている可能性もあるので、いつまでも元気でいてほしいと願うのであれば、牛乳は無理に飲ませないようにするのが賢明です。
万が一、犬が牛乳をたくさん飲んでしまったらどうしたらいいのでしょうか。
その場合は飲んだ量にかかわらず、すぐにかかりつけの動物病院に連絡をしてください。その際、下記の情報もなるべく具体的に伝えるようにしましょう。
病院に行く際、もし飲んだものと同じ牛乳が残っていれば一緒に持っていくのがおすすめです。
ペット用牛乳(ミルク)は、生乳を原料としつつも製造する過程で乳糖を大幅にカット、または完全に分解して乳糖ゼロにしてあるものなので、乳糖不耐症の犬にも与えることができます。
ヤギミルクはA2ミルクと言われ、牛乳に比べて消化しやすく、栄養価が高く、アレルギーのリスクが低いとされています。
ヤギミルクと牛乳の違いのひとつとして、含まれるカゼインの種類があげられます。カゼインとは牛乳に含まれるタンパク質のうち約80%を占める成分です。このカゼインは大きく4種類に分類され、さらにそのうちのひとつであるβカゼインの構造によってもA1型とA2型などにわけられます。このβカゼインの構造の違いは遺伝子によって決まりますが、おなかに優しいと言われているA2ミルクは、このA2型のみを含むものであり、A1型 は含まれません。ヤギや一部の特定の牛からは、A2型のみでできたA2ミルクが産生されます。
A1型を含むものは、消化される際に胃腸の機能を変化させ腸内の炎症を増加させてしまう物質が生成されるため、腹痛やお腹の不快感に繋がってしまいますが、A2型ではそのようなことはありません。そのため、このA1型を含まないA2ミルクは消化に優しいとされています。
ただし、個体差があり、アレルギーを持つ犬もいるため、初めて犬にヤギミルクを与えるときは、少量にしておき、他に新しい食べ物を与えないようにしましょう。
アーモンドミルクは乳糖が含まれていないか、含まれていても少量なので与えることができます。また、牛乳や豆乳と比較してカロリーやコレステロール、糖質が低いのも理由です。ただし、脂質が多いので、与えすぎないように注意しましょう。
豆乳は牛乳に比べて消化しやすく、乳糖を含まないため、乳糖不耐症の犬にも適しているとされています。さらに、豆乳は植物由来のため、牛乳よりもアレルギーのリスクが低いと言われています。
ヨーグルトには犬の体に有害な成分は含まれていないので、安心して与えることができます。さらに、ヨーグルトを作る過程で牛乳に含まれる乳糖の約20~40%が分解されます。ただし、乳糖が含まれていることに変わりはないので、初めて犬にヨーグルトを与えるときは、少量にしておき、他に新しい食べ物を与えないようにしましょう。
ナチュラルチーズの多くは、製造過程で乳糖がホエイに移行するため、乳糖はほとんど含まれていません。ただし、ナチュラルチーズの中でもクリームチーズやマスカルポーネチーズは、比較的乳糖が多く残っているため、与えすぎには注意が必要です。
乳糖が多く含まれている加工品としては、生クリームやアイスクリーム、バターなどがあります。さらに、加工品の中には人工甘味料や着色料、防腐剤、香料などの添加物が含まれていることもあるので、与えないほうが良いでしょう。
プロセスチーズは、製造過程で塩が多く加えられることから、同じく塩分が多くなりがちです。過剰な塩分摂取は、特に小型犬や高齢犬において問題になることがあります。
犬にとって牛乳は、下痢や嘔吐を引き起こしかねない食品です。
飼い主としてしっかり注意をし、誤って犬が口にしないように気をつけましょう。万が一、犬が牛乳をたくさん飲んでしまったら、すぐにかかりつけの動物病院に連絡をして指示を仰ぎましょう。
どうしても牛乳を与えたいという飼い主の方には、乳糖が取り除かれたペット用牛乳(ミルク)として市販されているものを選ぶとよいでしょう。
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