ペットフード業界で働くこと9年目。中学生の頃よりビションフリーゼ(メス、毛が薄め)のパピの姉として育つ。それ以来、白くてふわふわな犬が好き。趣味はビショングッズ収集。図書館司書の資格をもち絵本の読み聞かせやお話し会なども行っていた。好きな絵本は「どろんこハリー」。将来は犬と一緒に心を開いて読書を楽しむ社会貢献もしたいと思っている。
2023/10/25
日本の食卓でおなじみの「納豆」は、スーパーフードといわれるのも納得なほどの栄養豊富な発酵食品です。
タンパク質、脂質、炭水化物、ミネラル、食物繊維といった五大栄養素の他、ナットウキナーゼと呼ばれる酵素に「大豆サポニン」といった健康効果をサポートするポリフェノールを含んでいます。
そんな納豆を犬が美味しそうに食べるという声をよく聞く一方で、
と疑問に思われる方も多いでしょう。
結論から言うと、納豆は犬に与えても大丈夫な食品です。
本記事では、犬に納豆を与えても大丈夫な理由から与え方、そして注意点まで解説します。
また、豆類をドッグフードに使う理由については以下の記事にまとめていますので、合わせてご覧ください。
【 目 次 】
結論から言うと、納豆には犬の体によくない有毒成分は含まれていませんので安心して与えることができます。
特にタンパク質やビタミンが豊富に含まれているので、筋力や体力をつけたい時や大豆サポニンによる抗酸化作用や免疫力向上の効果を期待し、免疫力が低下しているときに与えることをおすすめします。
ただし、与え過ぎは要注意です。
人間から見ると一口サイズでも、身体の小さな犬にとっては体重換算で計算するとかなりの量になることがあるのであくまで適量であることが大切です。
そもそも栄養面において総合栄養食の良質なドッグフードを食べている場合は、栄養面で不足することはありません。食欲が落ちていて、とにかく何か食べさせたい時や水分を摂らせたいとき、または食べる楽しみ、与える楽しみとして、適量の範囲内で与えることが大切です。
総合栄養食については以下の記事に詳しくまとめているので参考にしてみてください。
また納豆は大豆を煮る・蒸すなどして柔らかくし、納豆菌を加えて発酵させた食品です。そのため、大豆にアレルギーのある犬の場合は、食べて下痢、嘔吐、痒みといったアレルギーを起こすこともあります。
アレルギーは、体内の免疫機能がタンパク質に対して異常に反応することで起こるものです。納豆は重量の17%がタンパク質です。大豆にアレルギーのある犬に納豆を与えるのはやめましょう。
納豆は、前述の通りタンパク質や食物繊維、ビタミンKの他、ナットウキナーゼと呼ばれる酵素やポリフェノールの一種である「大豆サポニン」など犬の健康維持に役立つ栄養素を含んでいます。
そうした栄養素によって期待できる効果には以下のようなことが挙げられます。
以下では、上記で示したような納豆100gあたりに含まれる代表的な栄養素と効果を紹介します。
タンパク質は犬の成長、発達、体組織の修復、酵素、免疫系のすべてにかかわっている非常に重要な栄養素です。タンパク質はエネルギーを供給する3大栄養素の一つで、20種類のアミノ酸が鎖のように結合してできています。
犬のお腹の調子を整えたり、便秘予防に効果的といわれています。
出血があった際に、血を止める凝固作用や骨の形成をサポートする役割があります。
納豆にはミネラルのひとつであるカリウムが多く含まれています。
カリウムにはナトリウムとバランスをとりながら、細胞を正常に保ったり、体液の浸透圧を調整したりといった働きがあります。この他にも心臓や神経、筋肉の動きにも関係しています。
ナットウキナーゼは、納豆菌によって作られる納豆独自の酵素で、納豆のネバネバに含まれます。血管にできる血栓を溶かす働きが知られており、脳血栓や脳梗塞の予防が期待できます。
サポニンは、抗酸化作用が優れた栄養素で、とくに大豆には豊富に含まれることから、これを「大豆サポニン」と呼んでいます。
大豆サポニンには強い抗酸化作用があり、細胞を酸化ストレスから保護するのに役立つ他、免疫力の向上、血流の改善などの効果があるといわれています。
※糸引き納豆の可食部100g当たりの数値
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=4_04046_7
人間用に市販されている納豆を、そのまま犬に与えて大丈夫です。
その際、「粒状」「ひきわり」どちらの納豆でも犬に与えて問題ありませんが、納豆を丸飲みして喉に詰まらせないためにも小粒タイプを選ぶかひきわり納豆を与えるように配慮してあげましょう。
納豆に付属している「タレ」「からし」、またネギなどの薬味を混ぜた納豆は犬に与えないように注意しましょう。
「タレ」は犬にとっては塩分が多すぎることと、「からし」のような刺激物も犬の消化器に負担をかけ、胃の痙攣・嘔吐・下痢といった症状がみられることがあります。 またネギのような「薬味」は犬にとって有害な成分が入っていることがあるので絶対に与えないようにしてください。
栄養価がいくら高くても与えすぎには注意しましょう。下痢や嘔吐の原因となる可能性があります。
以下が犬に納豆を与える際の目安です。
ただし、あくまでもカロリー上の算出値であること、犬の年齢やお腹の健康状態や運動量によっても適量は異なるのであくまで目安として調整しましょう。
犬の体重目安 1日あたりの摂取可能目安;納豆1パックあたり50g程度を想定
※納豆100gに含まれるエネルギーは、184kcalとして算出
※数値は、1日の総摂取カロリー目安の10%として算出
納豆は、これまで見てきたように健康な犬には問題なく与えられる食品ですが、心臓や腎臓に持病を持っている犬やアレルギーの点からも注意が必要なケースがあります。
納豆に含まれる豊富なリンやカリウムは、心臓、腎臓に持病のある犬には制限が必要な成分です。また、タンパク質もしっかり含まれているので食べすぎると肝臓や腎臓に負担がかかります。
特に療法食を食べている犬の場合には、納豆をあげる前に必ず獣医師に相談してからにしましょう。
アレルギーは、体内の免疫機能がタンパク質に対して異常に反応することで起こるものです。
納豆は大豆の加工食品です。タンパク質がしっかり含まれているので、アレルギーを引き起こす可能性があります。
アレルギーを起こすと下痢、嘔吐、痒みを伴う症状などが多く見られます。一方、納豆は発酵食品なので大豆アレルギーであっても症状が出にくいというケースもあるようです。
いずれにしても、初めて犬に納豆を与えるときには、少量にしておき、ほかに新しい食べ物を与えないようにしましょう。こうすると、万が一アレルギーを起こしたときの重症化を抑え、その原因を特定しやすくなります。
Q納豆の加工食品は与えても大丈夫でしょうか?
A一般的に人間用に加工された製品は、犬にとって過剰な糖分・塩分や油分が含まれていることが多く、カロリーの過剰摂取など犬にとって有害となることがあるので与えないほうがよいとされています。
ただし、犬用のおやつとしてフリーズドライ製品が販売されており、これらを選ぶことで安心して与えることができます。納豆の「フリーズドライ」は、成分的に納豆そのものとほぼ同じであるため、納豆の栄養効果そのままに簡単に与えることが可能です。
Q納豆は子犬に与えても大丈夫でしょうか?
A通常、消化器官が十分に発達する生後2〜3か月ほど経った頃から与えることができます。 ただし、子犬によっては歯が乳歯から永久歯に生え変わる生後7~8か月までは消化機能が未発達なこともあるので、心配な方は歯が生え変わったことを確認してから与えるようにしましょう。
犬の健康に役立つ栄養成分が豊富に含まれる納豆。ただし、いくら栄養価が高いからといっても納豆はあくまでおやつとして与えるようにしましょう。
そして、納豆を与えた分の主食を減らしてカロリーオーバーしないよう注意しましょう。
納豆以外の犬に与えても良い食品については以下の記事にまとめていますので、併せてご覧ください。
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