「ペットに携わる仕事がしたい」の一心で、2年前に異業界からグローバルペットニュートリション㈱に転職。子供の頃に家にいたセキセイインコとは、友達のように喜怒哀楽を共有して一緒に育った。 学生時代の4年間をアメリカのイリノイ州で過ごす。趣味はテニスで、身体を動かすことが好き。 将来は、人間の家族と犬と一緒に朝活ランニングすることが小さな夢。
2022/10/28
私たち人間にとって、みかんといえばビタミンCが豊富に含まれていて、美容や健康に良い食べ物として知られていますよね。
そんなみかんを犬が美味しそうに食べるという声をよく聞く一方で、そもそも犬にみかんを与えて大丈夫なのかと不安に思っている飼い主も多いようです。
本記事では、そうした犬にみかんを与えることの疑問に対してお応えします。
結論から言うと、みかんには中毒成分を引き起こす物質は含まれていませんので犬に与えることができます。
さらに、みかんは犬の健康に役立つ栄養が多く含まれており、飼い主さんにとっても安心できるフルーツの一つです。また、水分が多いので、犬が水を飲みたがらない場合の水分補給にも役立ちます。
しかし、みかんを食べて下痢、嘔吐、痒みといったアレルギーを起こす犬は、稀ですが存在します。
また、与え過ぎも要注意です。みかんは食物繊維が豊富なので、与えすぎるとおなかを壊す原因となってしまいます。ご飯のトッピングやおやつ程度の量を与えるようにしましょう。
そもそも栄養面において総合栄養食の良質なドッグフードを食べている場合は、それ以外の食事は基本的に必要ありません。食欲が落ちていて、とにかく何か食べさせたい時やおやつ、食事のトッピングとして検討するのが良いでしょう。
総合栄養食については「犬や猫の主食になる「総合栄養食」とは?選び方や注意すべきポイントなどを解説」に詳しくまとめているので参考にしてみてください。
みかんには犬の健康維持に役立つ栄養を含んでいます。期待できる代表的な効果には以下のようなことが挙げられます。
以下では、みかん1個(約100g)に含まれる代表的な栄養素と効果を紹介します。
体の細胞と細胞の間を結ぶコラーゲンというたんぱく質をつくるのに不可欠で、犬の皮膚、皮膜や粘膜などの健康維持に役立ちます。また、抗酸化作用があるため、アンチエイジングや動脈硬化の予防、免疫機能のアップなども期待できます。
犬がβカロテンから合成できるビタミンAは、「目のビタミン」とも言われ、白内障の予防など目の機能の健康維持に役立ちます。また、皮膚や被毛を健康に保つ効果も期待できます。
特に温州みかんに多く含まれている天然の色素・カロテノイドです。犬の体内でビタミンAに変換され、皮膚被毛や粘膜の健康維持や、肝臓機能の向上、骨粗しょう症の予防にも効果があると言われています。
カリウムにはナトリウムとバランスをとりながら、細胞を正常に保ったり、体液の浸透圧を調整したりといった働きがあります。この他にも心臓や神経、筋肉の動きにも関係しています。
カルシウムは骨と歯の構成成分の99%を占め、身体を支える骨格を強化する働きがあります。また、神経刺激の伝達・興奮、筋肉の収縮、ホルモンの分泌、血液凝固など、身体のバランスを整えることにも役立っています。
※温州みかんの可食部100g当たりの数値
※出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
犬にみかんを与える際は、人間が食べるときと同じように、必ず外皮を剥いてから与えましょう。
種がある場合は消化の悪い種と外皮を避け、果肉部分だけを与えるようにしましょう。
種や外皮を大きなまま丸のみすると、犬の喉や胃腸で詰まってしまう可能性もあり危険です。
薄皮や薄皮に付いている白い筋は、食物繊維が豊富で、いわゆるみかんの可食部分である果肉・薄皮・白い筋の中では、食物繊維の約60%が薄皮と白い筋に含まれています。
食物繊維は、人間にとっては身体に良いとされていますが、犬にとっては消化しにくく、下痢や嘔吐の原因となる可能性がありますので、取り除いてから与えましょう。
犬は、食べ物を噛まずにそのまま飲み込んでしまうことがあります。
柔らかいみかんであればそのままあげてもいいのではと思われるかもしれませんが、場合によっては喉に詰まらせる可能性もあります。必ず小さくカットしてからあげましょう。
みかんの与えすぎには注意しましょう。
みかんは、水分量が多いため、与えすぎは下痢や嘔吐の原因となる可能性があります。
また、みかんに含まれる果糖を多く摂取し続けると肥満につながりますので、あくまでおやつやトッピングとして適量を与えるようにしましょう。
そもそも犬に必要な栄養素は、総合栄養食と記載のあるドッグフードに十分含まれており、逆にいくら栄養素が豊富といってもみかんだけでは不十分です。
そのためドッグフードを主食として、みかんはおやつ、トッピング、またはご褒美として与えるようにしてください。おやつで与える際は、一日の必要カロリーの10%分が許容量です。
以下が犬にみかんを与える際の目安です。ただし、あくまでもカロリー上の算出値であること、犬の年齢やお腹の健康状態や運動量によっても適量は異なるのであくまで目安として調整しましょう。
犬の体重目安 1日あたりの摂取可能目安
※みかん1個(約100g)に含まれるエネルギーは、約45kcalとして算出
※数値は、1日の総摂取カロリー目安の10%として算出
みかんは、これまで見てきたように健康な犬には問題なく与えられる食品ですが、糖質やビタミンが豊富な点から注意が必要なケースがあります。
人間の場合、一部の柑橘類に含まれている「フラノクマリン」という成分は、特定の薬の代謝を阻害し、薬の効果が増幅しすぎてしまったり、副作用のリスクを増大させる恐れがあります。
犬ではどのような影響がどれぐらい出るかは正確には分かっていませんが、投薬中の犬にみかんを与えたい場合は、今飲んでいる薬と柑橘系のフルーツとの相互作用がないか、動物病院で確認してから与えましょう。
みかんには多くの糖質が含まれています。そのため、糖尿病や心臓病など、糖質を控えなくてはいけない持病を持っている犬には、与えないほうがいいでしょう。また、肥満の犬にも与えないよう注意しましょう。
その他、みかんにはカリウムも多く含まれています。腎臓に障害がある場合はカリウムを十分に排泄できなくなるため、血中のカリウム濃度が上がり、不整脈を起こしたり、最悪の場合は心臓の動きが止まったりする可能性があります。
腎不全などでカリウム制限を行っている犬には、みかんは与えない方がよいでしょう。
アレルギーは、体内の免疫機能がタンパク質に対して異常に反応することで起こるものです。
犬がみかんに対して食物アレルギーの症状を引き起こすことはごく稀ですが、みかんには少量ですがタンパク質が含まれているので、アレルギーを引き起こす可能性はゼロとは限りません。
アレルギーを起こすと下痢、嘔吐、痒みを伴う症状などが見られます。
初めて犬にみかんを与えるときには、少量にしておき、ほかに新しい食べ物を与えないようにしましょう。こうすると、万が一アレルギーを起こしたときの重症化を抑え、その原因を特定しやすくなります。
Q.みかんの加工食品は与えても大丈夫でしょうか?
A.缶詰やゼリー、果汁100%以外のジュースには、人工甘味料や着色料、防腐剤、香料などの添加物が含まれていることが多いため、与えないほうが良いとされています。
たとえば、みかんの缶詰は人間用の糖分が多いシロップ漬けであり、犬のおやつとしては適切ではありません。その上、人工添加物の種類によっては、犬に有害なものもあります。
特に、みかんゼリーにはキシリトールが添加されているものもあり、キシリトールは犬に重い中毒症状を引き起こす恐れがありますので、避けたほうが良いでしょう。
Q.みかんジュースを与えても大丈夫でしょうか?
A.おうちで作る、ミキサーにかけたみかんジュースは、少量であれば与えても大丈夫です。また、果汁100%のオレンジジュースも少量与えるのは問題ありませんが、カロリー過多にならないように、与えすぎには注意しましょう。
Q.犬にみかん以外の柑橘類も与えても大丈夫でしょうか?
A.みかんを含む柑橘類には、中毒症状を起こす物質は含まれませんので基本的には与えても大丈夫です。与える際は、みかん同様に外皮を剥くこと、また与えすぎやアレルギー症状には注意しましょう。
犬の健康に役立つ栄養成分が豊富に含まれるみかん。ただし、みかんはあくまでおやつとして与えるようにしましょう。
与えるときは、必ず外皮と薄皮を取り除き、小さくカットし、喉に詰まらせないようにしましょう。
そして、与える量は、1日の必要摂取カロリーの1割程度にし、みかんを与えた分の主食を減らしてカロリーオーバーしないよう注意しましょう。
その他の果物については「犬に与えても大丈夫な果物とダメな果物は?与える際の注意点と合わせて解説」に詳しくまとめていますので合わせて参考にしてみてください。
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