犬に桃を与えても大丈夫?食べてもよい適量と注意点を解説

2023/07/10

犬 桃

甘くて美味しい桃は、中国原産の果物で、主に果肉が白い白桃系と、果肉が黄色の黄桃(おうとう)系に分かれます。

夏の7月~8月が旬な品種が多い桃は、体液の浸透圧の調整をするカリウムをはじめとするミネラルの他、ビタミンC、ビタミンEなどのビタミン類や食物繊維など健康に役立つ成分が豊富に含まれています。

そんな「桃」を犬が美味しそうに食べるという声をよく聞く一方で、そもそも犬に桃を与えて大丈夫なのかと不安に思っている飼い主も多いようです。

結論から言うと、桃は犬に与えても大丈夫な果物です!

本記事では、犬に桃を与えても大丈夫な理由から与え方、そして注意点まで解説します。

犬は桃を食べても大丈夫

犬 桃

結論から言うと、桃には犬の体によくない有毒成分は含まれていませんので安心して与えることができます。

甘みが強くみずみずしい桃は、脱水症状が心配な夏場の水分補給にも役立ちます。

ただし、与え過ぎは要注意です。桃は約90%が水分ですので、たくさん与えてしまうと下痢などお腹の調子を崩すことが考えられます。あくまで適量であることが大切です。

そもそも栄養面において総合栄養食の良質なドッグフードを食べている場合は、それ以外の食事は基本的に必要ありません。

食欲が落ちていて、とにかく何か食べさせたい時や水分を摂らせたいとき、おやつやドッグフードのトッピングとして検討するのが良いでしょう。

総合栄養食については「犬や猫の主食になる「総合栄養食」とは?選び方や注意すべきポイントなどを解説」に詳しくまとめているので参考にしてみてください。

桃に含まれる栄養素と効果

犬 桃

桃は、ビタミンC、ビタミンEなどのビタミン類からカリウム、食物繊維、カテキンなど犬の健康維持に役立つ栄養素を含んでいます。

そうした栄養素によって期待できる効果には以下のようなことが挙げられます。

  • 豊富に含まれるビタミンCには抗酸化作用があり、アンチエイジングや動脈硬化の予防、免疫機能のアップなどが期待できます。
  • カリウムには、体液の浸透圧を調整する作用があります。カリウムは体内で過剰になったナトリウムを排泄したり、酵素を活性化したりする役割を持ちます。
  • カテキンは、病気の予防や老化の抑止に役立つほか、血圧や血糖値が上がるのを抑制する作用があると言われています。

白桃100gに含まれる栄養成分と効果

以下では、白桃100gあたりに含まれる代表的な栄養素と効果を紹介します。

ビタミンC 8mg

ビタミンCは、体の細胞と細胞の間を結ぶコラーゲンというタンパク質をつくるのに不可欠で、犬の皮膚、皮膜や粘膜などの健康維持に役立ちます。また、抗酸化作用があるため、アンチエイジングや動脈硬化の予防、免疫機能のアップなども期待できます。

ビタミンE 0.7mg

紫外線などによる活性酸素による酸化ダメージから細胞を若々しく健康的に維持するのに役立ちます。ビタミンEはビタミンCと一緒に摂ることで、より効率的にその作用を発揮するといわれています。

カリウム 180mg

桃にはミネラルのひとつであるカリウムが多く含まれています。

カリウムにはナトリウムとバランスをとりながら、細胞を正常に保ったり、体液の浸透圧を調整したりといった働きがあります。この他にも心臓や神経、筋肉の動きにも関係しています。

食物繊維 1.3g

桃には「ペクチン」という水溶性食物繊維が含まれています。ペクチンは腸内で善玉菌のエサとなり、腸内環境を整える働きをします。腸内環境を改善することで、便秘や軟便の解消と免疫力アップの効果が期待できます。

カテキン

桃に含まれるカテキンは、植物の光合成によってできるポリフェノールの一種です。

緑茶由来の成分として馴染みがあるのではないでしょうか。

カテキンには強い抗菌作用があるといわれ、病気の予防や老化の抑止に役立つほか、血圧や血糖値が上がるのを抑制する作用があると言われています。

※白桃(生)の可食部100g当たりの数値
※参照元:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=7_07136_7

犬への桃の与え方

犬 桃

犬に桃を与える際は、種を必ず取り除いて与えるようにしましょう。

種には有毒物質「アミグダリン」が含まれているので中毒症状を引き起こす可能性があります。また葉、皮も消化不良の原因となることがあるので、与える際は果肉部分のみにしましょう。

与える際は、すりつぶす必要はないですが、食べやすいように犬の大きさや食べ方にあわせて小さくカットしてあげましょう。

犬に桃を与えるときの適量

犬 桃

犬が、桃を喜んで食べているからといって与えすぎることのないように注意しましょう。

一般的におやつで与える際は一日の必要カロリーの10~20%分が許容量ですが、特に桃は、前述の通り約90%が水分ですので、たくさん与えてしまうとお腹の調子を崩してしまうおそれがあります。

以下が犬に桃を与える際の目安です。ただし、あくまでもカロリー上の算出値であること、犬の年齢やお腹の健康状態や運動量によっても適量は異なるのであくまで目安として調整しましょう。

犬の体重目安 1日あたりの摂取可能目安:1切れ(約15g)換算

  • 小型(体重2~5kg)1切れ~2切れ
  • 中型(体重5~10kg)2切れ~5切れ
  • 大型(体重10~20kg)5切れ~10切れ

※桃100gに含まれるエネルギーは、約38kcalとして算出
※数値は、1日の総摂取カロリー目安の10%として算出

犬に桃を与える際の注意点

桃は、これまで見てきたように健康な犬には問題なく与えることのできる果物ですが、前述の通り有毒物質を含む種を取り除く必要があることやアレルギーの点からも注意が必要なケースがあります。

種は必ず取り除く

犬 桃

桃の種の内部には「アミグダリン」という成分が含まれています。こちらの成分が犬の体内に入ると、青酸ガスが発生し、「アミグダリン中毒」を引き起こす可能性があります。

犬の体型や体調にもよりますが、もし中毒が起こってしまうと、食後約30分から1時間程度で、痙攣、呼吸困難、下痢、嘔吐などの症状が現れます。 また桃の種をのどに詰まらせる可能性もありますので、必ず種を取り除いてから与えるようにしましょう。

心臓や腎臓に問題がある犬には与えない

桃に多く含まれるカリウムは、心臓、腎臓に持病のある犬には制限が必要な成分です。特に療法食を食べている犬の場合には、桃をあげる前に必ず獣医師に相談してからにしましょう。

アレルギーに注意

犬 桃

アレルギーは、体内の免疫機能がタンパク質に対して異常に反応することで起こるものです。

桃には少量ですがタンパク質が含まれているので、アレルギーを引き起こす可能性があります。アレルギーを起こすと下痢、嘔吐、痒みを伴う症状などが多く見られます。

初めて犬に桃を与えるときには、少量にしておき、ほかに新しい食べ物を与えないようにしましょう。こうすると、万が一アレルギーを起こしたときの重症化を抑え、その原因を特定しやすくなります。

桃に関するよくあるQ&A

犬 桃

Q桃のジュースやアイス、缶詰などの加工食品は与えても大丈夫でしょうか?

A桃をミキサーにかける果汁100%のジュースは与えても問題ありません。ただし、市販のジュース・アイスや缶詰は、砂糖が使われていることが多いため、与えないようにしましょう。

Q夏の散歩時などの水分補給に与えても大丈夫でしょうか?

A桃は水分が多く、体液の浸透圧の調整をするカリウムが含まれているので水分補給にも最適です。特に夏には食べやすいカットにした桃を凍らせておやつとして与えるのも良いでしょう。ただし、桃は糖質が多いのとお腹を冷やして下痢を起こしてしまう可能性が高まるので与えすぎないようには注意しましょう。

Q桃と一緒にヨーグルトを与えても大丈夫でしょうか?

Aプレーンなヨーグルトであれば一緒に与えても問題ありません。ヨーグルトにはカルシウムだけでなく生きた乳酸菌も含まれており、これが桃の中のオリゴ糖と組み合わさることで、大腸の活動を活発にしてくれます。ただし、与えすぎには注意し、あくまでおやつの範囲で与えるようにしましょう。
詳しくは以下の記事にまとめていますので、参考にしてみてください。

まとめ:桃は、犬のおやつ程度に

犬 桃

犬の健康に役立つ栄養成分が豊富に含まれる桃。人間同様、夏の暑さで失った水分を補うのにも最適な果物です。

ただし、与え過ぎると下痢や嘔吐を引き起こすことがあるので、あくまでおやつとして与えるようにしましょう。そして、桃を与えた分の主食を減らしてカロリーオーバーしないよう注意しましょう。

そして、与えるときはアレルギーに注意し、必ず中毒成分の含まれる種を取り除き、犬が食べやすいように小さくカットして与えましょう。

などの桃以外の果物と野菜については以下の記事にまとめていますので、合わせてご覧ください。

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この記事を書いた人

パピ姉 セールス&マーケティング担当

ペットフード業界で働くこと9年目。中学生の頃よりビションフリーゼ(メス、毛が薄め)のパピの姉として育つ。それ以来、白くてふわふわな犬が好き。趣味はビショングッズ収集。図書館司書の資格をもち絵本の読み聞かせやお話し会なども行っていた。好きな絵本は「どろんこハリー」。将来は犬と一緒に心を開いて読書を楽しむ社会貢献もしたいと思っている。

監修獣医師

高橋 宏実 獣医師・ペット栄養管理士

麻布大学 獣医学部 獣医学科卒業。東京都内の動物病院で臨床医として勤務。
その後、獣医師として栄養学をより深く学ぶことで、犬猫の健康を臨床医時代とは違う視点からもサポートできるのではと考え現在に至る。毎日欠かさず動物関係のSNSをみることで日々癒されている。

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