ペットフード業界で働くこと9年目。中学生の頃よりビションフリーゼ(メス、毛が薄め)のパピの姉として育つ。それ以来、白くてふわふわな犬が好き。趣味はビショングッズ収集。図書館司書の資格をもち絵本の読み聞かせやお話し会なども行っていた。好きな絵本は「どろんこハリー」。将来は犬と一緒に心を開いて読書を楽しむ社会貢献もしたいと思っている。
2024/07/29
おつまみやお菓子としてよく食べられているピーナッツ。抗酸化作用を持つ栄養素を含み、アンチエイジングや老化抑止などの健康効果が期待できる他、血糖値の上昇が緩やかで、太りにくいと言われている低GI食品です。
そんなピーナッツを見つめる犬の目は、興味津々。実際に、飼い主が目を離したすきにピーナッツを食べてしまったという声を聞く一方で、
と疑問に思っている飼い主も多いようです。
結論から言うと、ピーナッツは犬に与えても大丈夫な豆類です。ただし、食べ過ぎてしまうと肥満につながりやすいので、注意が必要です。
本記事では、犬にピーナッツを与えても大丈夫な理由から与える際の注意点、そして与え方まで解説します。
【 目 次 】
ピーナッツには、犬の体によくない有毒成分は含まれていませんのでその点は安心してください。ただし、後述するデメリットも多いため、積極的に与えることは推奨できません。
特に、与えすぎには注意が必要です。
ピーナッツは、脂質とカロリーが高く、不溶性食物繊維も豊富なため、与え過ぎは犬の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、適量を適した形で与えるように心がける必要があります。
そもそも、栄養面において、総合栄養食の良質なドッグフードを食べている場合は、栄養面で不足することはありません。食欲が落ちていて、とにかく何か食べさせたい時、または食べる楽しみ、与える楽しみとして、適量の範囲内で与えることが大切です。
総合栄養食については以下の記事に詳しくまとめているので参考にしてみて下さい。
ピーナッツには、3大栄養素(体が大量に必要とする栄養素)である脂質やタンパク質の他、ビタミンEなどの犬の健康維持に役立つ栄養が含まれています。期待できる代表的な効果には以下のようなことが挙げられます。
以下では、上記で示したピーナッツ100g当たりに含まれる代表的な栄養素と効果を紹介します。
脂質は、タンパク質や炭水化物に比べて2倍以上のカロリーを供給するエネルギー源です。
多くの健康な犬にとって、健康維持のためには約12~18%の脂質を含む食事が最適と言われていますが、ピーナッツの栄養素の約半分近くが脂質で占められているため、ピーナッツは脂肪分がとても多い食べ物と言えます。
また、エネルギー源であること以外には、脂溶性ビタミン(A、D、E、K)の吸収を助け、皮膚や被毛の健康を促進し、細胞膜や血液、神経組織や筋肉の成分となるといった大切な働きがあります。
さらに脂質は、ペットの健康面だけでなく、食べ物の味や香りを良くするという役割も担っています。一般的に、食品の味・香り・食感といった嗜好性は、脂質の量や質に影響されるからです。
タンパク質は脂質、炭水化物とともにペットフードを構成する3大栄養素(体が大量に必要とする栄養素)の一つです。
タンパク質はアミノ酸と呼ばれる構成要素からできており、筋肉の健康な発達や回復など、体内の機能にとって重要な働きをします。それは、健康な筋肉を構築するために不可欠なアミノ酸がタンパク質に含まれているからです。アミノ酸は他の栄養素では代替できません。
犬の体に必要なアミノ酸は合計22種類です。
その中の12種類は体内の栄養素から合成が可能で、非必須アミノ酸と呼ばれます。しかし、必須アミノ酸と呼ばれる10種類のアミノ酸は、体内で合成することができないので、食物からしっかり補給することが大切です。
紫外線などによる活性酸素による酸化ダメージから細胞を若々しく健康的に維持するのに役立ちます。ピーナッツは、ビタミンEの中でも強力な抗酸化物質であるα−トコフェロールを多く含んでいます。
さらにビタミンEはビタミンCと一緒に摂ることで、より効率的にその作用を発揮するといわれています。
※ピーナッツの可食部100g当たりの数値
※参照元:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=5_05034_7
前述の通り、 ピーナッツは栄養素の約半分を脂質が占めているほど高脂質で高カロリーな食べ物です。
十分な運動をせず脂質を摂りすぎると簡単にカロリーオーバーになってしまい、使われなかった分が体内に蓄積され、肥満の原因になります。
さらに糖尿病や高脂血症などの病気の可能性も出てきます。他にも脂質の消化に関わっている膵臓の負担にも繋がるため、持病のある犬はもちろんですが、持病がないとしても飼い主として与え過ぎには注意が必要です。
ピーナッツの栄養素には食物繊維が含まれます。一般的に、食物繊維を摂取することは、腸内環境を正常に保ち、便秘の予防や改善に役立つと理解している人も多いのではないでしょうか。
ただし、過剰に摂取すると逆に消化不良や下痢の原因になることがあります。
特にピーナッツは、水溶性食物繊維に比べて、不溶性食物繊維が水溶性0.5g、不溶性7gなので14倍と非常に多くなっています。不溶性食物繊維は水に溶けない食物繊維のことで、便のかさを増やし、腸の運動を促進してくれますが、必要以上にたくさん摂ると便が大きくなり過ぎて排便が困難になることがあります。
あくまで適量を守ることが大切です。
ピーナッツに含まれるカリウムやリンは、心臓や腎臓に持病のある犬には制限が必要な成分です。特に療法食を食べている犬の場合には、ピーナッツを与える前に必ず獣医師に相談してください。
アレルギーは、体内の免疫機能がタンパク質に対して異常に反応することで起こるものです。
ピーナッツにはタンパク質が含まれており、大豆と同じマメ科のため、大豆アレルギーのある犬は同様の症状を引き起こす可能性があります。
アレルギーを起こすと下痢、嘔吐、痒みを伴う症状などが多く見られます。
初めて犬にピーナッツを与えるときには、少量にしておき、他に新しい食べ物を与えないようにしましょう。こうすることで、万が一アレルギーを起こしたときの重症化を抑え、その原因を特定しやすくなります。
犬にピーナッツを与える際は、殻はもちろん薄皮も取り除いてから与えるようにしましょう。殻は犬の胃腸を傷付ける可能性があり、薄皮は消化しにくいので食べさせるのは推奨されません。
また、ピーナッツ自体が消化しづらい食べ物なので、できればすり潰してペースト状にしたものを与えましょう。少なくとも細かく砕いてから与えることが望ましいです。特に小型犬の場合、丸飲みしてしまうと喉に詰まるだけでなく、飲み込んだとしても食道や腸に詰まらせたり傷つけたりする恐れがあるので危険です。
与える際の注意点で記載している通り、犬がピーナッツを喜んで食べているからといって与え過ぎないように注意しましょう。
一般的におやつで与える際は一日の必要カロリーの10~20%が許容量ですが、特にピーナッツは高脂質・高カロリーなので、たくさん与えてしまうと肥満や病気の原因となる恐れがあります。
栄養素の観点も含めて考え、数粒与える程度にとどめておくことを目安にしましょう。
Qピーナッツを子犬や老犬に与えても大丈夫でしょうか?
A通常、消化器官が十分に発達する生後2~3か月ほど経った頃から与えることができます。ただし、特に子犬は歯が乳歯から永久歯に生え変わる生後7~8か月までは消化機能が未発達なこともあり、高脂質で不溶性食物繊維の多いピーナッツを与えると胃の不調を引き起こす可能性がありますので、積極的に与えるのは控えるようにしましょう。
老犬も同様に、消化器機能が弱っていることがあるため与えるのは控えましょう。
Qピーナッツの加工食品は与えても大丈夫でしょうか?
A与える際には、必ず生のピーナッツのみにしてください。あらかじめ塩味が付いているものやピーナッツの加工食品には、人工甘味料や着色料、防腐剤、香料などの添加物が含まれていたり、塩分や油分が多すぎたりすることが多いので与えないほうが良いでしょう。
Qピーナッツは、他のナッツ類と異なり豆類の食べ物と聞いたのですが、本当ですか?
Aはい、本当です。そもそもナッツ類は、ほとんどが種実類と呼ばれるもので、名前の通り木の実や種の一部を食用としています。一方で、ピーナッツ(落花生)は、種実類ではなく、大豆などと同じ豆類です。
それでもピーナッツがナッツの仲間として扱われる理由は、その栄養素にあります。一般的に豆類の多くは炭水化物が半分以上を占めますが、ピーナッツは20%程度で、代わりに半分近くを脂質が占めています。さらに脂質の中でも不飽和脂肪酸がその大半を占めていることもあり、ナッツ類の栄養素と似ているため、栄養素の観点からもナッツ類として扱われることが多いのです。
Q他のナッツ類も犬に与えても大丈夫でしょうか?
A次に挙げるナッツ類については、犬が中毒を引き起こしたという報告はなく、犬が食べても大きな問題はないとされています。
ただし、これらのナッツ類もピーナッツ同様に高脂質・高カロリーであり、食物繊維も多く含まれています。与えすぎると病気につながる恐れがあるので注意しましょう。
一方、ナッツ類の中で与えてはいけないものはマカダミアナッツです。嘔吐や腹痛などの中毒を引き起こす食べ物として報告されています。万が一、犬がマカダミアナッツを食べてしまった場合は、速やかに動物病院を受診して適切な処置をしてもらうようにしましょう。
ピーナッツには毒性はなく、犬に与えても大丈夫な食べ物ですが、高脂質・高カロリーなため与えすぎると肥満や病気の原因となるため、あくまでおやつとして少量を与えるに留めましょう。
そして、与えるときはアレルギーに注意し、殻と薄皮を取り除き、少量から与えて様子を見ましょう。
ピーナッツ以外の与えても良い食べ物については以下の記事にまとめていますので、合わせてご覧ください。
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