ペットフード業界で働くこと9年目。中学生の頃よりビションフリーゼ(メス、毛が薄め)のパピの姉として育つ。それ以来、白くてふわふわな犬が好き。趣味はビショングッズ収集。図書館司書の資格をもち絵本の読み聞かせやお話し会なども行っていた。好きな絵本は「どろんこハリー」。将来は犬と一緒に心を開いて読書を楽しむ社会貢献もしたいと思っている。
2023/08/08
夏から秋にかけて収穫される梨は、様々な品種があり、酸味があるものや甘味のあるものなどさまざまバリエーションを楽しめる果物です。
そんな梨を犬が美味しそうに食べるという声をよく聞く一方で、そもそも犬に梨を与えて大丈夫なのかと不安に思っている飼い主も多いようです。
結論から言うと、梨は犬に与えても大丈夫な果物です。
本記事では、犬に梨を与えても大丈夫な理由から与え方、そして注意点まで解説します。
結論から言うと、市販されている梨には犬の体によくない有毒成分は含まれていませんので安心して与えることができます。
ただし、未成熟の梨の実には「アミグダリン」という有毒物質が含まれているので、梨狩りや梨園の近くなどを犬と一緒に散歩する際に落ちた実を誤って食べてしまわないように気をつけましょう。
また与え過ぎも要注意です。梨の約90%は水分ですので、たくさん与えてしまうと下痢などお腹の調子を崩すことが考えられます。あくまで適量であることが大切です。
そもそも栄養面において総合栄養食の良質なドッグフードを食べている場合は、栄養面で不足することはありません。食欲が落ちていて、とにかく何か食べさせたい時や水分を摂らせたいとき、または食べる楽しみ、与える楽しみとして、適量の範囲内で与えることが大切です。
総合栄養食については以下の記事に詳しくまとめているので参考にしてみてください。
梨のほとんどは水分ということもあり、全体の栄養価はそこまで高くはありませんが、カリウムや食物繊維、アスパラギン酸、ソルビトールにプロテアーゼなど犬の健康維持に役立つ栄養を含んでいます。
期待できる代表的な効果には以下のようなことが挙げられます。
以下では、上記で示したような梨100gあたりに含まれる代表的な栄養素と効果を紹介します。
梨にはミネラルのひとつであるカリウムが比較的多く含まれています。
カリウムにはナトリウムとバランスをとりながら、細胞を正常に保ったり、体液の浸透圧を調整したりといった働きがあります。利尿作用もあり体内の余分な塩分を排出し、血圧を下げる働きをします。この他にも心臓や神経、筋肉の動きにも関係しています。
梨は水に溶ける食物繊維(水溶性食物繊維)を含みます。
この水溶性食物繊維は、腸内環境を改善させ、犬のお腹の調子を整えたり、便秘予防にも効果的といわれています。
梨に豊富に含まれるアミノ酸の一種のアスパラギン酸は、体の疲労によって生じた乳酸を分解してエネルギーに変換する作用があるため、疲労回復効果が期待できます。
ソルビトールは天然の甘味料として使われます。似たようなものに犬には有毒として知られるキシリトールがありますが、ソルビトールは極端に多く摂取しすぎなければ健康に害はありません。また、ソルビトールは合成保存料として知られるソルビン酸とも異なる物質です。
梨には、タンパク質の消化を助けるプロテアーゼという酵素が含まれているため、胃腸が弱っているときなど消化の促進に役立ちます。
※梨(生)の可食部100g当たりの数値
※参照元:
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=7_07088_7
犬に梨を与える際は、必ず皮を剥き、種と芯を取り除いて与えるようにしましょう。
皮や芯は犬には消化しにくく、梨の種にはごく少量ですが中毒を引き起こすアミグダリンが含まれているので、誤って食べてしまわないよう注意が必要です。
与える際は、喉に詰まらせる心配がないよう犬の大きさや食べ方にあわせて小さくカットしたりすりおろすなどしてからあげましょう。
犬が、梨を喜んで食べているからといって与えすぎることのないように注意しましょう。
一般的におやつで与える際は一日の必要カロリーの10~20%分が許容量ですが、特に梨は、前述の通り約90%が水分ですので、たくさん与えてしまうとお腹の調子を崩してしまうおそれがあります。
そもそも犬に必要な栄養素は、総合栄養食と記載のあるドッグフードに十分含まれており、逆にいくら栄養素が豊富といっても梨だけでは不十分です。そのためドッグフードを主食として、梨はおやつ、またはご褒美として与えるようにしてください。 以下が犬に梨を与える際の目安です。ただし、あくまでもカロリー上の算出値であること、犬の年齢やお腹の健康状態や運動量によっても適量は異なるのであくまで目安として調整しましょう。
犬の体重目安 1日あたりの摂取可能目安
※梨100gに含まれるエネルギーは、約38 kcalとして算出
※数値は、1日の総摂取カロリー目安の10%として算出
梨は、これまで見てきたように健康な犬には問題なく与えられる食品ですが、未成熟な梨に含まれる成分や、心臓や腎臓に持病を持っている犬やアレルギーの点からも注意が必要なケースがあります。
前述の通り未成熟な梨の実には、有毒物質「アミグダリン」が含まれています。
誤って食べてしまうと中毒症状を引き起こす可能性があるので、愛犬が誤ってかじったりしないか、十分に注意しましょう。
梨に含まれるカリウムは、心臓、腎臓に持病のある犬には制限が必要な成分です。特に療法食を食べている犬の場合には、梨をあげる前に必ず獣医師に相談してからにしましょう。
アレルギーは、体内の免疫機能がタンパク質に対して異常に反応することで起こるものです。
梨には少量ですがタンパク質が含まれているので、アレルギーを引き起こす可能性があります。アレルギーを起こすと下痢、嘔吐、痒みを伴う症状などが多く見られます。
初めて犬に梨を与えるときには、少量にしておき、ほかに新しい食べ物を与えないようにしましょう。こうすると、万が一アレルギーを起こしたときの重症化を抑え、その原因を特定しやすくなります。
Q梨のジュースやアイス、缶詰などの加工食品は与えても大丈夫でしょうか?
A梨をミキサーにかける果汁100%のジュースは与えても問題ありません。ただし、市販のジュース・アイスや缶詰は、砂糖が使われていることが多いため、与えないようにしましょう。
Q梨は子犬に与えても大丈夫でしょうか?
A通常、消化器官が十分に発達する生後2〜3か月ほど経った頃から与えることができます。 ただし、子犬によっては歯が乳歯から永久歯に生え変わる生後7~8か月までは消化機能が未発達なこともあるので、心配な方は歯が生え変わったことを確認してから与えるようにしましょう。
豊富な水分とともに犬の健康に役立つ栄養成分が豊富に含まれる梨。人間同様、夏から秋の暑さで失った水分を補うのにも最適な果物です。
ただし、与え過ぎると下痢や嘔吐を引き起こすことがあるので、あくまでおやつとして与えるようにしましょう。そして、梨を与えた分の主食を減らしてカロリーオーバーしないよう注意しましょう。
そして、与えるときはアレルギーに注意し、必ず中毒成分の含まれる種を取り除き、犬が食べやすいように小さくカットして与えましょう。
梨以外のスイカや桃、いちごやメロンなどの果物を犬に与えて大丈夫かについて、また犬が食べてはいけない果物についても以下の記事にまとめていますので、合わせてご覧ください。
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