ペットフード業界で働くこと9年目。中学生の頃よりビションフリーゼ(メス、毛が薄め)のパピの姉として育つ。それ以来、白くてふわふわな犬が好き。趣味はビショングッズ収集。図書館司書の資格をもち絵本の読み聞かせやお話し会なども行っていた。好きな絵本は「どろんこハリー」。将来は犬と一緒に心を開いて読書を楽しむ社会貢献もしたいと思っている。
2023/06/14
国産のパイナップルをスーパーで見かけるようになると夏を感じる人も多いのではないでしょうか。
パイナップルは、汗と共に体外へ出て行ってしまうカリウムをはじめとするミネラルやクエン酸、ビタミンB1・B2やビタミンCなどのビタミン類に食物繊維など健康に役立つ成分が豊富に含まれています。またタンパク質を分解する酵素「ブロメライン(ブロメリン)」が含まれているのも特徴です。
そんな「パイナップル」を犬が美味しそうに食べるという声をよく聞く一方で、そもそも犬にパイナップルを与えて大丈夫なのかと不安に思っている飼い主も多いようです。
結論から言うと、パイナップルは犬に与えても大丈夫な果物です!
本記事では、犬にパイナップルを与えても大丈夫な理由から与え方、そして注意点まで解説します。
犬にパイナップルは与えることができる。汗と共に体外へ出て行ってしまうカリウムをはじめとするミネラルが豊富なので夏場の暑い日や運動後の水分補給に最適
パイナップルの約85%は水分。与え過ぎると下痢や嘔吐を引き起こすことがあるので、あくまでおやつやご褒美に
パイナップルを与えるときは、葉・芯・皮は避け、果肉部分だけにして犬が食べやすいように小さくカットして与える
【 目 次 】
結論から言うと、パイナップルには犬の体によくない有毒成分は含まれていませんので安心して与えることができます。
ただし与え過ぎは要注意です。パイナップルは約85%が水分ですので、たくさん与えてしまうと下痢などお腹の調子を崩すことが考えられます。あくまで適量であることが大切です。
そもそも栄養面において総合栄養食の良質なドッグフードを食べている場合は、それ以外の食事は基本的に必要ありません。
食欲が落ちていて、とにかく何か食べさせたい時や水分を摂らせたいとき、おやつやドッグフードのトッピングとして検討するのが良いでしょう。 総合栄養食については「犬や猫の主食になる「総合栄養食」とは?選び方や注意すべきポイントなどを解説」に詳しくまとめているので参考にしてみてください。
パイナップルは、ビタミンB1・B2やビタミンCなどのビタミン類からβカロテン、クエン酸、食物繊維、ブロメライン(ブロメリン)など犬の健康維持に役立つ栄養素を含んでいます。
そうした栄養素によって期待できる効果には以下のようなことが挙げられます。
以下では、パイナップル100gあたりに含まれる代表的な栄養素と効果を紹介します。
糖質の代謝をサポートするビタミンB1は、パイナップル自体が持っている糖質を速やかにエネルギーに換えてくれます。
ビタミンCは、体の細胞と細胞の間を結ぶコラーゲンというタンパク質をつくるのに不可欠で、犬の皮膚、皮膜や粘膜などの健康維持に役立ちます。また、抗酸化作用があるため、アンチエイジングや動脈硬化の予防、免疫機能のアップなども期待できます。
βカロテンは犬の体内で「目のビタミン」とも言われるビタミンAに変換され、目や皮膚の粘膜を健康に保つ他、白内障の予防など目の機能の健康維持に役立ちます。さらに、抗酸化作用もあるため皮膚や被毛を健康に保つ効果も期待できます。
パイナップルにはミネラルのひとつであるカリウムが多く含まれています。
カリウムにはナトリウムとバランスをとりながら、細胞を正常に保ったり、体液の浸透圧を調整したりといった働きがあります。この他にも心臓や神経、筋肉の動きにも関係しています。
パイナップルの甘酸っぱい味を作り出す有機酸であるクエン酸は、体内の代謝を促し、体に溜まった疲労物質の乳酸を分解する作用があります。また犬の尿中でカルシウムがシュウ酸と結合するのを妨げ、犬のシュウ酸カルシウム結石の予防にも効果があるとわれています。
犬のお腹の調子を整えたり、便秘予防に効果的といわれています。
ブロメラインは、タンパク質を分解する働きのある酵素です。
そのため肉や魚などのタンパク質にパイナップルを加えるとブロメラインが柔らかく分解して、犬が消化しやすくなる効果が期待できます。
ただし、ブロメラインは熱に弱いという特徴があります。一番効果的なのはすりおろした生のパイナップルに加熱する前の肉や魚をしばらく漬け込んでおくことです。肉や魚が柔らかくなり、消化の負担が軽減できるでしょう。
※パイナップル(生)の可食部100g当たりの数値
※参照元:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=7_07097_7
犬にパイナップルを与える際は、葉、芯、皮は避け、果肉部分だけにしましょう。
なぜなら葉や芯は硬く、誤飲してしまうと消化不良の原因となることがあり、皮にはトゲがあるため消化器官を傷つけてしまう可能性が高いからです。
また油や調味料を加えなければ調理して犬に与えても問題ありません。ただし、加熱する場合、ブロメライン(ブロメリン)や一部の熱に弱い栄養素の効果が失われる可能性があります。
与える際は、すりつぶす必要はないですが、食べやすいように犬の大きさや食べ方にあわせて小さくカットしてあげましょう。
犬が、パイナップルを喜んで食べているからといって与えすぎることのないように注意しましょう。
一般的におやつで与える際は一日の必要カロリーの10~20%分が許容量ですが、特にパイナップルは、前述の通り約85%が水分ですので、たくさん与えてしまうとお腹の調子を崩してしまうおそれがあります。
以下が犬にパイナップルを与える際の目安です。ただし、あくまでもカロリー上の算出値であること、犬の年齢やお腹の健康状態や運動量によっても適量は異なるのであくまで目安として調整しましょう。
犬の体重目安 1日あたりの摂取可能目安:1切れ(約15g)換算
※パイナップル1個(約100g)に含まれるエネルギーは、約54kcalとして算出
※数値は、1日の総摂取カロリー目安の10%として算出
パイナップルは、これまで見てきたように健康な犬には問題なく与えることのできる果物ですが、アレルギーの点から注意が必要なケースがあります。
アレルギーは、体内の免疫機能がタンパク質に対して異常に反応することで起こるものです。
パイナップルには少量ですがタンパク質が含まれているので、アレルギーを引き起こす可能性があります。アレルギーを起こすと下痢、嘔吐、痒みを伴う症状などが多く見られます。
初めて犬にパイナップルを与えるときには、少量にしておき、ほかに新しい食べ物を与えないようにしましょう。こうすると、万が一アレルギーを起こしたときの重症化を抑え、その原因を特定しやすくなります。
Qパイナップルのジュースや缶詰などの加工食品は与えても大丈夫でしょうか?
Aパイナップルをミキサーにかける果汁100%のジュースは与えても問題ありません。ただし、市販のジュースや缶詰は、人工甘味料や着色料、防腐剤、香料などの添加物が含まれていることが多いため、与えないようにしましょう。また加工食品は加熱処理してあるため、添加物が使われていなくてもパイナップルの酵素の働きは期待できません。
Q夏の散歩時などの水分補給に与えても大丈夫でしょうか?
Aパイナップルは水分が多く、疲労回復につながるクエン酸が含まれているので水分補給にも最適です。特に夏には食べやすいカットにしたパイナップルを凍らせておやつとして与えるのも良いでしょう。ただし、お腹を冷やして下痢を起こしてしまう可能性が高まるのでお腹が弱い子には与えすぎないように注意が必要です。
犬の健康に役立つ栄養成分が豊富に含まれるパイナップル。人間同様、夏の暑さで失った水分を補うのにも最適な果物です。
ただし、与え過ぎると下痢や嘔吐を引き起こすことがあるので、あくまでおやつとして与えるようにしましょう。そして、パイナップルを与えた分の主食を減らしてカロリーオーバーしないよう注意しましょう。
そして、与えるときはアレルギーに注意し、葉と皮・芯を取り除き、犬が食べやすいように小さくカットして与えましょう。
パイナップル以外の果物と野菜については以下の記事にまとめていますので、合わせてご覧ください。
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