ペットフード業界で働くこと9年目。中学生の頃よりビションフリーゼ(メス、毛が薄め)のパピの姉として育つ。それ以来、白くてふわふわな犬が好き。趣味はビショングッズ収集。図書館司書の資格をもち絵本の読み聞かせやお話し会なども行っていた。好きな絵本は「どろんこハリー」。将来は犬と一緒に心を開いて読書を楽しむ社会貢献もしたいと思っている。
2023/06/20
犬に生肉を与えても大丈夫なのでしょうか?
フードやおやつの原材料として肉が使われることは多々ありますが、生肉をそのまま与えたことのある方はまだ多くはないかもしれません。そもそも犬に生肉を与えて大丈夫なのかと不安に思っている飼い主も多いようです。また、人間用の食事の調理中に誤って犬が生肉を食べてしまったということもあるかもしれません。
この記事では、犬が生肉を食べることについて知っておくべきことをお伝えします。
結論から言うと犬に生肉を与えることはできますが、肉の種類や加工方法によってはリスクもあります。
犬のためにも飼い主として生肉を与えることのメリット・デメリットと正しい与え方を理解し、犬とのハッピーな毎日に活かしてください。
【 目 次 】
生食用に処理された肉を犬が食べることは問題ありません。ただし、ほとんどの獣医師と公衆衛生協会(AAHA、AVMA、CDC、FDA、CVMA、FEDIAF)は、犬のために生肉を与えるに際して、慎重に行うことを強調しています。
それでも犬に生肉を与えることについて、賛否両論あるものの、かなり以前から存在しています。
その背景には、オオカミを祖先に持つ犬は、元々「肉食」傾向が強く、野生動物本来の食事を与えたほうが良いという考え方があります。実際に犬の消化器官は、人に比べて生肉の消化吸収を効率よく行うようにできています。
つまり生肉を食べることは犬本来の食事に近く、素材が持っている活きた栄養素を手軽に摂ることができる食事と考えられているからです。
実際に生食で健康状態が改善したという事例もあるようです。 しかしながら現代の栄養学ではその裏付けができるだけの科学的根拠を示せないため、慎重な意見も多いと言えるでしょう。
そもそも犬に食べ物を与える際に気をつけるべきことがあります。
1.犬(または飼い主)を病気にする有害な病原菌がいなくて安全であること
2.犬が必要とする栄養素をすべて摂取できる食事であること
生肉はこの2点においてリスクが高いことから注意が必要です。以下で詳しく見ていきましょう。
生肉は、サルモネラ菌や大腸菌などの病原菌に汚染されるリスクが高く、人間と同じように犬も生肉から食中毒や胃腸炎を起こす危険性があります。特にサルモネラ菌は人間にも感染する可能性があるため、人間と犬の双方にとってリスクとなります。
さらに生肉には寄生虫が含まれることがあります。これらの寄生虫は犬の体内で増殖し、様々な健康問題を引き起こす可能性があります。
栄養学的に適切な食事とは、その食事と水を犬に与えるだけで、健康を維持できるすべての栄養素が適切な量だけ含まれていることを差します。
生肉を与えることで素材が持っている活きた栄養素を摂ることができても、生肉だけでは栄養が偏ってしまいます。そのため生肉を使った手作り食を与える際は、栄養バランスの取れた食事計画を考える必要があります。
そもそも栄養面において総合栄養食の良質なドッグフードを食べている場合は、それ以外の食事は基本的に必要ありません。
どうしても生肉を与えたい場合は、おやつや食事のトッピングとして検討するのが良いでしょう。
総合栄養食については「犬や猫の主食になる「総合栄養食」とは?選び方や注意すべきポイントなどを解説」に詳しくまとめているので参考にしてみてください。
生肉を与えることは、素材が持っている活きた栄養素を摂取できる一方で、前述の通り人間と同様、犬の場合でも生肉には細菌や寄生虫による食中毒の危険性があります。
生肉に潜む「カンピロバクター菌」や「サルモネラ菌」、「腸管出血性大腸菌」といった細菌に感染すると食中毒を引き起こし、下痢や嘔吐、場合によっては重篤な事態に陥ることもあります。
また生肉に含まれる「トキソプラズマ感染」「有鉤条虫」といった寄生虫の感染によって発熱や元気がなくなる・食欲不振が引き起こされることがあります。たとえ、犬自身が体調不良を起こさなくても犬の便などを通じて人に感染する場合もあるので注意が必要です。
どうしても犬に生肉を与えたいという場合は、人が食べても問題のない新鮮かつ安全なものを選ぶことが大切です。または超高圧処理(非加熱殺菌)など生食用として加工・販売しているものを選びましょう。そして、生の肉類は菌が増えないためにも使用するまで冷凍しておきましょう。
ちなみにスーパーなどで販売されているほとんどの生肉が「加熱用」です。加熱用の生肉をそのまま食べるのは、細菌・寄生虫・ウイルスなどの感染リスクを伴う危険性があるので、犬に与えないようにしてください。
生肉は適切な取り扱いと衛生管理が重要です。以下に、生肉のペットフードを安全に取り扱うためのガイドラインをまとめました。
これらのガイドラインは、犬だけでなく家族全員の健康を守るために重要です。
生肉の中でも寄生虫感染や食中毒を引き起こす可能性が高い豚肉、鶏肉、ジビエなど与えてはいけないものもあります。誤って犬が食べてしまうことがないよう気をつけましょう。
馬肉は生食用であれば犬に与えても大丈夫です。例えば、人間が食べる馬刺しを少し与えてもよいでしょう。
馬肉は、肉類の中でも低カロリーでありながら良質なタンパク質源として知られているので、犬の食事におすすめの食材の一つです。
ただし、しっかりと処理されたものでないと細菌に感染していることがあるので注意しましょう。
生の豚肉は、以下の細菌や寄生虫が含まれている可能性が高いので犬に食べさせてはいけません。
生の鶏肉は、以下の細菌が含まれている可能性が高いので犬に食べさせてはいけません。
特にカンピロバクターは健康な鳥の消化管にも存在し、生の鶏肉を食べてしまうと高確率で感染すると言われ、感染すると下痢をひきおこします。
ジビエは、鹿肉、イノシシ、熊、うさぎ、野鴨などの天然の野生鳥獣の肉のことを差します。
生のジビエには、様々な寄生虫や細菌が含まれている可能性があり、人でも、生のイノシシや鹿肉を食べることによってE型肝炎にかかることが報告されているので犬には与えないようにしましょう。
アレルギーは、体内の免疫機能がタンパク質に対して異常に反応することで起こるものです。
生肉にはタンパク質が含まれているので、アレルギーを引き起こす可能性があります。アレルギーを起こすと下痢、嘔吐、痒みを伴う症状などが多く見られます。
初めて犬に生肉を与えるときには、少量にしておき、ほかに新しい食べ物を与えないようにしましょう。こうすると、万が一アレルギーを起こしたときの重症化を抑え、その原因を特定しやすくなります。
生肉は、加熱など調理した肉に比べて消化されづらい傾向があります。
子犬やシニア期の犬では、腸の消化機能が整っておらず生肉を食べることによって下痢や嘔吐をしてしまうかもしれません。お腹の弱い子には与えないほうが良いでしょう。
生肉の与えすぎには注意しましょう。また与える際もはじめのうちは少量ずつ与えるように心がけてください。
そもそも犬に必要な栄養素は、総合栄養食と記載のあるドッグフードに十分含まれており、逆にいくら栄養素が豊富といっても生肉だけでは不十分です。
与える際は一日の必要カロリーの10~20%分が許容量にはなりますが、犬の年齢やお腹の健康状態や運動量によっても適量は異なります。小型犬で生肉を1切れ程度にしておくことをおすすめします。
生肉を食べて体調を崩してしまったらどうしたら良いのでしょうか。また食べてはいけない生の豚肉や鶏肉・調理中の肉を誤って食べてしまうこともあるかもしれません。
その場合は食べた量にかかわらず、すぐにかかりつけの動物病院に連絡をしてください。その際、下記の情報もなるべく具体的に伝えるようにしましょう。
病院に行く際、もし食べた生肉と同じものが残っていれば一緒に持っていくのがおすすめです。
自己判断で応急処置をすることは危険ですので絶対にやめましょう。
ここまで生肉を与えることについて見てきました。
犬のためを思って生肉を与えたいと思うのは飼い主として素晴らしいことです。一方で、人間と同じで生肉だからこその危険もあることはしっかり理解しなくてはいけません。
また偏りのない栄養バランスの取れた食事として与えることも大切です。
そのためにペットフードメーカーは、各栄養素が適切な量で含まれていることを確認するために、原材料や製品の検査を行っています。高い食品安全性と品質基準(病原菌検査など)を設け、有資格の栄養士のいる企業が作るバランスのとれたドライフード、ウェットフードは、大切なペットに安心して与えることができます。
例えば、生肉とこうしたバランスの取れた総合栄養食を組み合わせていつもと違う食感を楽しむ、旬の食材を取り入れて犬とともに季節感を味わうなど、新しい組み合わせを探求していくと、犬も飼い主さんも新鮮な気持ちになれます。
食事の選択肢はたくさんあるので、飼い主さんのライフスタイルに合わせて、いろんな種類の食事を楽しみながら、犬とハッピーに毎日を過ごしてください。
NOW FRESH (ナウフレッシュ)は、市場に並んだ新鮮な原材料で作った手作り食のイメージをドライフードで実現させた、総合栄養食のプレミアムドッグフードです。
食材の鮮度にこだわり、100%フレッシュな生肉・鮮魚や新鮮な野菜・フルーツをたっぷり使用しています。
また、これらの素材の美味しさと栄養をできるだけ損なわない工夫として、低温(90℃)でゆっくり丁寧に調理する製法(SCSB製法)を採用しています。
タンパク質源として、レンダリングミートミールや肉副産物を一切使用していません。100%フレッシュな生肉・鮮魚+グレインフリー+豊富な野菜・フルーツを使ったほどよいタンパク質バランスのレシピで体調のコントロールがしやすいプレミアムドッグフードです。
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