【獣医師監修】犬に餅を与える時は細心の注意を!つまらせてしまった場合の対処法や予防策を解説

2024/11/07

犬 餅

日本の伝統食である餅は、そのもちもちとした食感と豊かな風味で多くの人々に愛されています。平安時代になると、餅は宮中や貴族の行事や儀礼で、お供え物やお祝い料理として作られるようになり、その後、室町時代から江戸時代にかけて武士や庶民の間にも広まったとされています。

このような餅を犬と一緒に楽しみたいと考える飼い主もいるかもしれませんが、犬にとって餅は安全なのでしょうか?

結論から言うと、餅を大きなまま犬に与えるのは控えた方が良いでしょう。

本記事では、犬と餅に関する注意点や食べてしまった際の対処方法などについて詳しく解説します。

犬に餅を与えるのは注意が必要!のどに詰まらせると窒息死も

に餅を与えるのは注意が必要!

栄養面で犬にとって毒性のある成分は餅に入っていません。しかし、栄養的に問題がなくても、のどに詰まらせると命を落とす可能性もありますので、与えるのには注意が必要です。

犬は、咀嚼(そしゃく)が苦手で、人間のように口の中でも餅を小さく切り分けてから飲み込むことができません。また犬の歯は肉を噛み切るための構造になっており、食べ物を細かくすり潰すことが得意ではありません。人間でも餅を丸呑みに近い状態で食事をすることを想像すると良いかもしれません。

犬が餅を丸呑みすると喉(のど)につまらせる恐れがあり、最悪の場合、窒息死につながることもありますので、大きいまま餅を与えるのは控えましょう。特に高齢の犬や子犬は、喉の通りが良くなかったり、飲み込む力が弱かったりするため、より危険性が高まります。

詰まらせる以外の餅を与える危険性

餅を犬に与えることは、喉に詰まらせる以外にもさまざまなリスクがあります。

消化管に詰まる恐れがある

消化管に詰まる恐れ

たとえ喉や食道で詰まらずに飲み込めたとしても、餅が消化管内で詰まる可能性があります。

特に小型犬の小腸は直径が約1cmと非常に細いため、小さな物でも詰まるリスクが高く、注意が必要です。

消化管に詰まると、腸閉塞や激しい腹痛、嘔吐などの症状を引き起こし、緊急手術が必要になる場合もあります。

アレルギーを発症する恐れがある

アレルギーを発症する恐れ

犬のアレルギーは、免疫システムが特定のタンパク質に対して異常に反応することで引き起こされます。アレルギーを起こすと下痢、嘔吐、痒みを伴う症状などが多く見られます。

穀物アレルギーのなかでも、犬の米アレルギーは少ないとされていますが、稀にお米に対してアレルギーを持っている犬もいます。特定の犬種や遺伝的要因でアレルギーが出やすいケースもあります。

消化不良を引き起こす可能性がある

餅はもち米をしっかりとつぶして固めたもので、その特性上、消化に時間がかかります。

また、先述の通り、犬は咀嚼が得意ではないため、餅は犬にとって消化しづらい食べ物です。そのため、犬が餅を食べると消化不良を起こし、食欲不振や嘔吐、下痢などの症状が現れることがあります。

犬が餅を食べてしまった場合の対処方法

犬が餅を食べてしまった場合の対処方法

犬が餅を食べてしまったらどうしたらいいのでしょうか。

喉に詰まらせず飲み込んだのであれば、特に問題はありません。消化が苦手な犬は、一時的に食欲がなくなるなどの消化不良を起こすことがありますが、通常は一時的なものです。ただし、嘔吐や下痢などの症状が続く場合は、念のため動物病院で診察を受けると安心です。

しかし、のどに詰まらせてしまった場合は、ただちに処置が必要です!

息ができなくなっているかどうかは次の症状で判断できます。

  • 犬が苦しそうにもがいている
  • 舌の色が青紫になっている
  • 胸が上下しない

これらの症状が出ていると、息ができなくなっている可能性があります。また、呼吸が浅くなったり、咳き込んだりする場合も注意が必要です。また、息はできているが口からよだれを多量に垂らす場合は食道に詰まっている可能性があります。

いずれの場合もすぐに動物病院を受診してください。

緊急時には、事前にかかりつけの動物病院の連絡先を把握しておくとスムーズに対応できます。また、移動中は犬の状態を観察しつつ、安全に配慮して速やかに病院へ向かいましょう。

自己判断での応急処置は、避けて!

餅がのどにつまっているのが見えているようなら、取り出してもいいですが、押し込んでしまう危険性もあるので、無理に取ろうとは決してしないでください。また、指を入れる際に犬が驚いて噛まれる恐れもあります。

もし詰まった餅が取れれば、その後は特に病院に行く必要はありません。

自己判断で応急処置を行うことは危険ですので、絶対に行わないようにしましょう。専門的な知識や技術がない状態での処置は、状況を悪化させる可能性があります。必ず獣医師に任せるようにしてください。

犬が餅を誤って食べないようにするための予防策

犬が餅を誤って食べないようにするための予防策

いつまでも元気でいてほしいと願うのであれば、どんな犬であっても餅を大きなまま食べさせないようにするのが賢明です。餅は犬にとって危険な食べ物になる可能性があることを家族全員が認識しましょう。

食事中はもちろん、台所に犬が入れるようにしている場合は調理中や保管時も、犬が誤って大きなまま口にしないように、細心の注意を払うようにしましょう。

家族や同居人にも留意を促すなどなによりも飼い主が責任を持って環境を整えてあげることが大切です。特に小さなお子さんがいる場合は、犬に餅を与えないようしっかりと教えましょう。また、来客時にも犬が餅を口にしないよう注意を促すことが必要です。

餅に関するよくあるQ&A

餅に関するよくあるQ&A

Q 餅の原材料となっているもち米自体も犬に与えては行けないのでしょうか?

A はい、餅の原材料となっているもち米自体も、犬に与えるのは避けた方が良いでしょう。

もち米自体には、犬の体によくない有毒成分は含まれていませんので与えても問題はありません。ただ粘り気が強く、消化しにくい特性があります。そのため、犬がもち米を食べると、消化不良や胃腸の不調を引き起こす可能性があります。さらに、もち米は炊いた後も粘りが残るため、喉や消化管に詰まらせる危険性が餅と同様に存在します。

一方で、犬に与えるお米としては、粘り気の少ないうるち米(一般的な白米)を柔らかく炊いて与えることが推奨されます。うるち米は消化しやすく、適切なエネルギー源となりますが、与える量や頻度には注意が必要です。

白米について詳しくは、以下の記事を参考にしてください。

まとめ:栄養面での問題はないが、リスクもある。与えるなら細心の注意を!

犬にとって、餅は喉に詰まらせる危険性の高い食べ物です。さらに、消化不良や腸閉塞などの深刻な健康被害を引き起こす可能性もあります。

飼い主として、しっかりと注意を払い、絶対に犬が誤って摂取しないようにしましょう。もしも犬が餅を大きなまま食べてしまい、喉につまらせているようなら、焦らずに、直ちにかかりつけの動物病院に連絡し、指示を仰ぎましょう。

犬の健康を最優先に考えることが重要です。日頃から危険な食材について理解を深め、適切な管理と予防策を講じることで、犬との安心で楽しい生活を送りましょう。

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この記事を書いた人

パピ姉 セールス&マーケティング担当

ペットフード業界で働くこと9年目。中学生の頃よりビションフリーゼ(メス、毛が薄め)のパピの姉として育つ。それ以来、白くてふわふわな犬が好き。趣味はビショングッズ収集。図書館司書の資格をもち絵本の読み聞かせやお話し会なども行っていた。好きな絵本は「どろんこハリー」。将来は犬と一緒に心を開いて読書を楽しむ社会貢献もしたいと思っている。

監修獣医師

高橋 宏実 獣医師・ペット栄養管理士

麻布大学 獣医学部 獣医学科卒業。東京都内の動物病院で臨床医として勤務。
その後、獣医師として栄養学をより深く学ぶことで、犬猫の健康を臨床医時代とは違う視点からもサポートできるのではと考え現在に至る。毎日欠かさず動物関係のSNSをみることで日々癒されている。

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