ペットフード業界で働くこと9年目。中学生の頃よりビションフリーゼ(メス、毛が薄め)のパピの姉として育つ。それ以来、白くてふわふわな犬が好き。趣味はビショングッズ収集。図書館司書の資格をもち絵本の読み聞かせやお話し会なども行っていた。好きな絵本は「どろんこハリー」。将来は犬と一緒に心を開いて読書を楽しむ社会貢献もしたいと思っている。
2024/05/24
しいたけは、秋から春にかけて旬を迎える風味豊かなきのこです。
今ではハウス栽培も行われており、一年を通して流通している他、乾燥しいたけも一年中購入可能です。その独特の香りと食感が料理に深みを加えるため食卓にのぼることも多いのではないでしょうか。
そんなしいたけを犬が美味しそうに食べるという声をよく聞く一方で、
と疑問に思われる方も多いでしょう。
結論から言うと、「しいたけ」は犬に与えても大丈夫な食品です。
本記事では、犬にしいたけを与えても大丈夫な理由から与え方、そして注意点まで解説します。
【 目 次 】
しいたけは、犬の体によくない有毒成分は含まれていませんので安心して与えることができます。さらに低カロリーで高栄養素なので、肥満防止や栄養バランスを考えて手作り食を作るときにおすすめしたい食材とも言えます。
ただし、与え過ぎには要注意です。
その理由は、しいたけには食物繊維が多く含まれているからです。
しいたけは、便のかさを増して便秘の解消に役立つ不溶性食物繊維を多く含みます。適量の不溶性食物繊維は犬の体にメリットをもらしますが、食べすぎたり、細かくせずに与えたりすると消化不良を起こし、かえって腸内環境を悪くしかねません。
そもそも栄養面において総合栄養食の良質なドッグフードを食べている場合は、栄養面で不足することはありません。食欲が落ちていて、とにかく何か食べさせたい時や水分を摂らせたいとき、または食べる楽しみ、与える楽しみとして、適量の範囲内で与えることが大切です。
総合栄養食については以下の記事に詳しくまとめているので参考にしてみてください。
しいたけには、βグルカンを含む豊富な食物繊維の他、悪玉コレステロールを下げるエリタデニン、ビタミン、カリウムなどの犬の健康維持に役立つ栄養を含んでいます。
期待できる代表的な効果には以下のようなことが挙げられます。
以下では、上記で示したしいたけ100gあたりに含まれる代表的な栄養素と効果を紹介します。
食物繊維は、犬のお腹の調子を整え、便秘予防に効果的といわれています。また、しいたけには食物繊維の一種であるβグルカンが含まれています。
βグルカンは、きのこの仲間などに含まれる成分で、免疫系に役立つ働きのほか、マクロファージと呼ばれる細胞を活性化し、感染症や病気に対する抵抗力を高める効果があります。
ちなみにしいたけに多く含まれるのは、腸内環境の改善や便のかさを増して便秘の解消に役立つ不溶性食物繊維です。前述の通り適量の不溶性食物繊維は犬の体にメリットをもらしますが、食べすぎは消化不良を起こし、かえって腸内環境が悪くなる可能性があるので注意が必要です。
しいたけには、きのこ類の中でもしいたけとマッシュルームにしか含まれないエリタデニンという成分が含まれています。
エリタデニンは肝臓のコレステロール代謝を促進するため、犬においてもコレステロール値を低下させる可能性があります。特に高血圧や肥満の予防に役立つ効果が期待されます。
ビタミンDは、カルシウムやリンの吸収をサポートする栄養素です。
骨や歯の健康維持に必要で、ビタミンDが欠乏すると、骨粗しょう症やくる病などの病気になる可能性があります。 人がビタミンDを得るには食べ物から摂る方法と、日光を浴びて紫外線にビタミンDをつくってもらう2つの方法があります。ただし、犬の場合は日光を浴びてもほんの僅かして作ることができないため食事から摂る必要がある栄養素です。
カリウムにはナトリウムとバランスをとりながら、細胞を正常に保ったり、体液の浸透圧を調整したりといった働きがあります。この他にも心臓や神経、筋肉の動きにも関係しています。
※生しいたけ/菌床栽培の可食部100g当たりの数値
※参照元:
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=8_08039_7
生のしいたけも干ししいたけも、「軸」と「石づき」の部分は固いので取り除いたほうが安心です。
食物繊維が豊富な生のしいたけは、消化しにくいため生のまま与えるのは控え、必ず加熱し、細かく刻んでから与えましょう。
干ししいたけの場合は、そのままでは固いため、細かく刻んでも犬の口や喉を傷つける可能性があります。必ず水で戻して柔らかくし、傘の部分を刻んで与えましょう。
戻し汁には、しいたけの栄養が含まれているので、ドライフードをふやかす際に使用すると良いでしょう。しいたけの良い香りが、愛犬の食欲を刺激する効果も期待できます。
100gあたりのカロリーは25kcalと低カロリーのしいたけですが、与えすぎには注意しましょう。
前述の通り不溶性食物繊維が多く含まれているので、たくさん与えたり、細かくせずに与えたりすると消化不良を起こすことが考えられます。特に腸の調子が良くない子、便秘気味の子は過剰に与えないようにしましょう。あくまで適量であることが大切です。
おやつで与える際は一日の必要カロリーの10~20%分が許容量になりますが、栄養素の観点も含めて考え、一口サイズに小さくカットしたものを、1~3欠片与える程度にとどめておくことを目安にしましょう。
しいたけに含まれるカリウムは、心臓、腎臓に持病のある犬には制限が必要な成分です。
特に療法食を食べている犬の場合には、しいたけをあげる前に必ず獣医師に相談してからにしましょう。
アレルギーは、体内の免疫機能がタンパク質に対して異常に反応することで起こるものです。
しいたけには少量ですがタンパク質が含まれているので、アレルギーを引き起こす可能性があります。アレルギーを起こすと下痢、嘔吐、痒みを伴う症状などが多く見られます。
初めて犬にしいたけを与えるときには、少量にしておき、ほかに新しい食べ物を与えないようにしましょう。こうすると、万が一アレルギーを起こしたときの重症化を抑え、その原因を特定しやすくなります。
Qしいたけを子犬や老犬に与えても大丈夫でしょうか?
A通常、消化器官が十分に発達する生後2〜3か月ほど経った頃から与えることができます。 ただし、子犬によっては歯が乳歯から永久歯に生え変わる生後7~8月までは消化機能が未発達なこともあるので、それまでは食物繊維を多く含むしいたけは与えないほうが良いでしょう。
老犬も同様に、消化器機能が弱っていることや喉に詰まらせるリスクがあることから与えないほうが無難です。
Q油で炒めたしいたけを与えても大丈夫でしょうか?
Aしいたけは、油を吸収しやすい性質があります。油で炒めたしいたけには過剰な油分が含まれているので、犬に与えるのは控えたほうが良いでしょう。またバターや醤油など人間が食べるように味付けしたものを与えることも同様に控えましょう。人間にとっては薄いと感じるくらいでも犬にとっては塩分やカロリーが多く、下痢などの消化不良の原因になることがあります。
犬の健康に役立つ栄養成分が豊富に含まれるしいたけ。ただし、いくら低カロリーで栄養価が高いからといってもしいたけはあくまでおやつとして与えるようにしましょう。
また消化の観点からも必ず加熱処理をしてから与えるようにしましょう。
しいたけ以外のきのこ類である「しめじ」や「舞茸」、「たけのこ」などの野菜については、以下の記事にまとめていますので、合わせてご覧ください。
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