【獣医師監修】犬に蕎麦を与えても大丈夫?食べてもよい適量と注意点を解説

2024/12/11

犬 蕎麦

日本における蕎麦の栽培の歴史は古く、長い間多くの家庭で親しまれてきた食材です。現在では「一年の厄災や苦労を断ち切って翌年に持ち越さない」という願いを込めて年越しそばを食べる風習も根付いており、犬と一緒にそばを食べたいと考えている方も多いのではないでしょうか?

また蕎麦は、タンパク質や食物繊維など栄養も豊富で、犬が美味しそうに食べるという声もよく聞かれる一方で、

  • 犬に人間の食べ物を与えていいのだろうか?
  • 蕎麦の成分は犬にとって安全なのか?
  • どのくらいの量を与えたらいいのだろう?

このような疑問を持つ飼い主さんも多いと思います。

結論から言うと、蕎麦は犬に与えても問題ない食べ物ですが、適量やアレルギー、体調に注意が必要です。本記事では、犬に蕎麦を与えても大丈夫な理由から与え方、そして注意点まで解説します。

犬は蕎麦を食べても大丈夫

犬は蕎麦を食べても大丈夫

結論から言うと、蕎麦には犬の体によくない有毒成分は含まれていませんので安心して与えることができます。

蕎麦は、原材料の一つである「そばの実」に必須アミノ酸のロイシンとリジンや、消化を助けるビタミンB1が豊富に含まれています。他の主食に比べて低炭水化物・高タンパク質な成分であり、低カロリーであることも特徴です。

そばの実

ただし、与えすぎには注意が必要です。

人間から見ると一口サイズでも、身体の小さな犬にとっては、体重換算で計算するとかなりの量になることがあるため、あくまで適量を守ることが大切です。

そもそも総合栄養食の良質なドッグフードを食べている場合は、栄養面で不足することはありません。食欲が落ちていて、とにかく何か食べさせたい時や水分を摂らせたいとき、または食べる楽しみ、与える楽しみとして、適量の範囲内で与えることが大切です。

総合栄養食については以下の記事に詳しくまとめているので参考にしてみてください。

麦の主原料はそばの実

また、蕎麦の主原料はそばの実を粉にしたそば粉ですが、つなぎに小麦粉が使われていることが多いため、アレルギーのリスクを考慮する必要があります。

小麦アレルギーを持つ犬には、下痢や嘔吐、皮膚のかゆみなどの症状が出ることがあるため、注意が必要です。初めて与える際には、少量から始め、アレルギー反応がないか確認することをおすすめします。

蕎麦に含まれる栄養素と効果

蕎麦に含まれる栄養素と効果

蕎麦は前述のとおりタンパク質や食物繊維が豊富に含まれるほか、ビタミンB1、B2やルチンなど犬の健康維持に役立つ栄養素も含んでいます。

そうした栄養素によって期待できる効果には以下のようなことが挙げられます。

  • タンパク質は犬の成長、発達、体組織の修復、酵素、免疫系のすべてにかかわっている重要な栄養素です
  • さまざまなビタミンB群は、犬のエネルギー源となる栄養をうまく代謝するのに役立ちます。
  • 食物繊維により腸内環境が整うことで、免疫力アップの効果や便秘の解消が期待できます。

蕎麦100gに含まれる栄養成分と効果

以下では、上記で示したような蕎麦100gあたりに含まれる代表的な栄養素と効果を紹介します。

タンパク質  4.8g

タンパク質は犬の成長、発達、体組織の修復、酵素、免疫系にもかかわる非常に重要な栄養素です。タンパク質はエネルギーを供給する3大栄養素のひとつで、20種類のアミノ酸が鎖のように結合してできています。

蕎麦の原材料の一つである「そばの実」には、10種類ある犬の必須アミノ酸の中のロイシンとリジンが多く含まれています。

ビタミンB1 0.05mg

糖質の代謝をサポートするビタミンB1は、蕎麦自体が持っている糖質を速やかにエネルギーに換えてくれます。疲れにくい体をつくるために必要と言われています。

ビタミンB2 0.02mg

皮膚と被毛の健康維持、質の向上を高めるために欠かせない栄養素です。

ルチン

蕎麦にはポリフェノールの一種であるルチンが多く含まれています。そばの実や花、葉のすべてにルチンが含まれていることから、蕎麦はルチンの宝庫とまで言われています。

ルチンは抗酸化や毛細血管を強化する作用が期待されます。そのほか、抗炎症作用も期待できる栄養素です。

※そば(ゆで)の可食部100g当たりの数値
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=1_01128_7

犬への蕎麦の与え方

犬への蕎麦の与え方

犬に蕎麦を与える際は、消化に負担をかけないために人間が食べるよりも長めに茹で、柔らかく仕上げましょう。また火傷しないために茹でた蕎麦をしっかりと冷ましてから与えることも大切です。

また与える際は喉に詰まらせないためにも小さくカットして与えるように配慮してあげましょう。特に大型犬でも、細長い蕎麦をそのまま与えると窒息のリスクがあるため、短く切ったうえで与えるとより安全です。

蕎麦のつゆとネギは与えない

蕎麦のつゆとネギは与えない

蕎麦のつゆとネギなどの薬味は、必ず犬に与えないように注意しましょう。

「つゆ」は犬にとって塩分が多すぎるため、腎臓や心臓に負担をかける可能性が高く、塩分過多は長期的に健康を害します。また、「ネギ」のような薬味は犬にとって有害な成分が入っていることがあるので与えないようにしてください。特に小型犬や体力が落ちている犬には、わずかな量でも深刻な中毒症状が現れる可能性があるため、絶対に避けましょう。

ネギの中毒症状については以下の記事も参考にしてください。

犬に蕎麦を与えるときの適量

低炭水化物・高タンパク質の蕎麦ですが、与えすぎると犬に負担をかけることがあるため、適量を守ることが大切です。与えすぎると、下痢や嘔吐、肥満の原因になる可能性があるので、注意しましょう。

以下が犬に蕎麦を与える際の目安量です。

これはあくまで参考値であり、犬の年齢、体調、運動量、消化機能によって調整する必要があります。特に消化が弱い犬や高齢犬には、より慎重に量を決めましょう。

  • 小型(体重2~5kg)15~35g
  • 中型(体重5~10kg)35g~55g
  • 大型(体重10~20kg)55g~90g

※蕎麦100gに含まれるエネルギーは、130kcalとして算出
※数値は、1日の総摂取カロリー目安の10%として算出

犬に蕎麦を与える際の注意点

蕎麦は、これまで述べたように健康な犬には比較的安全に与えられる食品ですが、いくつかの注意点があります。特にアレルギーのリスクや、心臓や腎臓に持病を持つ犬に対しては慎重に対応する必要があります。

小麦アレルギーに注意

小麦アレルギーに注意

犬のアレルギーは、免疫システムが特定のタンパク質に対して異常に反応することで引き起こされます。

蕎麦のつなぎに小麦粉が使われていることが多く、小麦にはタンパク質が含まれており、小麦アレルギーのある犬にとっては問題となる可能性があります。アレルギーを起こすと下痢、嘔吐、痒みを伴う症状などが多く見られます。

あまり多くはないですが、蕎麦アレルギーの可能性もあるため、初めて犬に蕎麦を与える際は、少量に留め、他の新しい食べ物を一緒に与えないようにしましょう。これにより、アレルギー反応が出た場合でも原因を特定しやすく、症状が軽度で済む可能性があります。アレルギー反応が疑われる場合は、すぐに獣医師に相談してください。

また、グレインフリーやグルテンフリーのドッグフードが注目されています。これらのフードは、小麦や他の穀物を含まないため、アレルギーリスクを減らしたい飼い主にとって良い選択肢となることが多いです。

詳しくは以下の記事を参考にしてください

心臓や腎臓に問題がある犬には与えない

心臓や腎臓に問題がある犬には与えない

蕎麦には、リンやカリウムなどの成分が含まれています。

これらのミネラルは、心臓や腎臓に持病を抱えている犬には制限が必要な場合があります。特に腎臓病の犬にとっては、リンの過剰摂取が病状を悪化させることがあります。また、蕎麦に含まれるタンパク質は、肝臓や腎臓への負担が大きくなるため、過剰摂取を避けることが重要です。

療法食を与えている犬や持病のある犬には、蕎麦を与える前に必ず獣医師に相談してください。

蕎麦以外に与えてもいい麺類は?

犬に与えても問題のない麺類はいくつかありますが、どれも適切な調理と配慮が必要です。蕎麦以外にも選択肢がありますが、犬の健康状態やアレルギーリスクに十分気を付けてください。

うどん

うどん

うどんには犬の体によくない有毒成分は含まれていませんので安心して与えることができます。ただし、茹でたうどんをしっかりと水で洗い流してから与えるようにしましょう。

うどんの表面には塩分がついているので、その塩分を落とすことが重要です。特に市販のうどんには多くの塩分が含まれていることがあるため、充分に水で洗い流し、余分な塩分を取り除くことが大切です。

うどんについては以下の記事に詳しくまとめていますので、参考にしてください。

そうめん・ひやむぎ

そうめん・ひやむぎ

そうめん・ひやむぎは、うどんと同じく犬に与えても安全な麺類です。与え方や注意点はうどんと同じで、茹でた後に塩分をしっかり洗い流し、小さくカットしてから与えるのが基本です。

これらの麺は、小麦を主原料とし、違いは麺の太さにあります。農林水産省が定めるJAS規格(日本農林規格)によると、機械で製麺する「干しめん」のうち、直径1.3mm未満が「そうめん」、1.3mm以上1.7mm未満が「ひやむぎ」、1.7mm以上は「うどん」とされています。サイズの違いだけで栄養成分はほぼ同じです。

パスタ

パスタ

パスタも犬に与えて問題ありませんが、茹でる際には必ず塩を使わないように注意が必要です。人間用に調理されたパスタは塩分が高くなるため、犬には適していません。無塩のお湯でしっかり茹でた後、小さくカットして与えるようにしましょう。

また、これら麺類の主原料も小麦なので、小麦アレルギーを持つ犬には慎重に与えるか、避けることが必要です。

蕎麦に関するよくあるQ&A

Q 蕎麦は子犬に与えても大丈夫でしょうか?

A 通常、消化器官が十分に発達する生後2〜3か月ほど経った頃から与えることができます。 ただし、子犬によっては歯が乳歯から永久歯に生え変わる生後7~8か月までは消化機能が未発達なこともあるので、心配な方は歯が生え変わったことを確認してから与えるようにしましょう。

まとめ:蕎麦は、犬のおやつ程度に

蕎麦は、犬にとって栄養価が高いものの、主食としてではなくあくまでおやつとして与えるようにしましょう。犬の健康に必要な栄養をサポートすることもありますが、適量を守ることが大切です。

与える際には、蕎麦を主食の一部に置き換え、カロリーオーバーに注意しましょう。例えば、蕎麦を与える日には、主食やおやつの量を調整するなどのバランスが求められます。

蕎麦以外にも、犬に与えて良い食品やその注意点については、以下の記事をご参照ください。

グレインフリーのプレミアムドッグフード
グレインフリーのプレミアムドッグフード

ミールフリー・グレインフリーのドッグフード
「NOW FRESH™(ナウフレッシュ)」

グレインフリーのプレミアムドッグフード

タンパク質源として、レンダリングミートミールや肉副産物を一切使用していません。100%フレッシュな生肉・鮮魚+グレインフリー+豊富な野菜・フルーツを使ったほどよいタンパク質バランスのレシピで体調のコントロールがしやすいプレミアムドッグフードです。

NOW FRESH 詳細 グレインフリーのプレミアムドッグフード

この記事を書いた人

パピ姉 セールス&マーケティング担当

ペットフード業界で働くこと9年目。中学生の頃よりビションフリーゼ(メス、毛が薄め)のパピの姉として育つ。それ以来、白くてふわふわな犬が好き。趣味はビショングッズ収集。図書館司書の資格をもち絵本の読み聞かせやお話し会なども行っていた。好きな絵本は「どろんこハリー」。将来は犬と一緒に心を開いて読書を楽しむ社会貢献もしたいと思っている。

監修獣医師

高橋 宏実 獣医師・ペット栄養管理士

麻布大学 獣医学部 獣医学科卒業。東京都内の動物病院で臨床医として勤務。
その後、獣医師として栄養学をより深く学ぶことで、犬猫の健康を臨床医時代とは違う視点からもサポートできるのではと考え現在に至る。毎日欠かさず動物関係のSNSをみることで日々癒されている。

関連記事

小型犬 お試しセット
小型犬 お試しセット