【獣医師監修】犬に豆乳を与えても大丈夫?食べてもよい適量と注意点を解説

2024/09/26

犬 豆乳

今ではスーパーで牛乳の隣で見かけることも多くなった豆乳。

大豆が原料の「豆乳」は、牛乳と同じく高タンパクでありながら、低カロリー、さらにミネラル類や大豆イソフラボンなど、たくさんの健康に良い栄養素を含む食品として知られています。

そんな豆乳を犬が美味しそうに飲むという声をよく聞く一方で、

  • 犬に人間の食べ物を与えていいのだろうか?
  • 豆乳の成分は犬にとって安全なのか?
  • どのくらいの量を与えたらいいのだろう?

と疑問に思われる方も多いでしょう。

結論から言うと、豆乳は犬に与えても大丈夫な飲み物です。

本記事では、犬に豆乳を与えても大丈夫な理由から与え方、そして注意点まで解説します。

犬は豆乳を飲んでも大丈夫

犬は豆乳を飲んでも大丈夫

結論から言うと、豆乳には犬の体によくない有毒成分は含まれていませんので、安心して与えることができます。

高タンパクで栄養価も高く、さらに低カロリーなので、肥満防止や栄養バランスを考えて手作りの食事やおやつに混ぜてみる際にもおすすめです。

ただし、与え過ぎは要注意です。

人間から見ると少量でも、身体の小さな犬にとっては体重換算で計算するとかなりの量になることがあるので、あくまで適量であることが大切です。 そもそも、総合栄養食の良質なドッグフードを食べている場合は、栄養面で不足することはありません。食欲が落ちていて、とにかく何か食べさせたい時や水分を摂らせたい時、または食べる楽しみ、与える楽しみとして、適量の範囲内で与えることが大切です。

総合栄養食については、以下の記事に詳しくまとめているので参考にしてみてください。

(無調整)豆乳

なお、与えても良い豆乳は「(無調整)豆乳」なので注意してください。

市販されている豆乳類商品は、日本農林規格(JAS規格)によって、以下の「(無調整)豆乳」「調製豆乳」「豆乳飲料」の3種類に分けられています。

  • 無調整豆乳(豆乳):大豆固形分8%以上(大豆たんぱく質換算3.5%以上)
  • 調製豆乳:大豆固形分6%以上(大豆たんぱく質換算2.8%以上)
  • 豆乳飲料
    【A】果汁入り:大豆固形分2%以上(大豆たんぱく質換算0.9%以上)
    【B】その他:大豆固形分4%以上(大豆たんぱく質換算1.7%以上)

よりわかりやすく説明すると、何も味付けされていないそのままのものが「(無調整)豆乳」です。それに塩や砂糖などを少し加えて飲みやすくしたものが「調製豆乳」、さらに果汁などで味付けしたものが「豆乳飲料」となります。

「調製豆乳」と「豆乳飲料」は塩分が高く、カロリーも高めなので、与えないようにしましょう。

豆乳に含まれる栄養素と効果

豆乳に含まれる栄養素と効果

豆乳は、植物性タンパク質が豊富な食べ物です。

その他にもミネラル類や、抗酸化作用を持つ「サポニン」、ポリフェノールの一種である「大豆イソフラボン」など、犬の健康維持に役立つ栄養素を含んでいます。

そうした栄養素によって期待できる効果には、以下のようなものが挙げられます。

  • タンパク質は、犬の成長、発達、体組織の修復、酵素の生成、免疫系の維持など、さまざまな機能に関わる重要な栄養素です。
  • カリウムは、神経や筋肉の正常な機能をサポートし、血圧を正常に保つ働きがあります。カルシウムは、骨格を強化し、歯や骨の健康を維持します。マグネシウムは、エネルギー代謝や筋肉・神経の機能、血圧の調整に役立ちます。
  • 大豆イソフラボンは、強い抗酸化作用があり、細胞を酸化ストレスから保護するのに役立ちます。

豆乳100gに含まれる栄養成分と効果

タンパク質  3.6g

タンパク質は犬の成長、発達、体組織の修復、酵素、免疫系のすべてにかかわっている非常に重要な栄養素です。タンパク質はエネルギーを供給する3大栄養素の一つで、20種類のアミノ酸が鎖のように結合してできています。

サポニン

サポニンは、抗酸化作用が優れた栄養素で、とくに大豆には豊富に含まれることから、これを「大豆サポニン」と呼んでいます。

大豆サポニンには強い抗酸化作用があり、細胞を酸化ストレスから保護するのに役立つ他、免疫力の向上、血流の改善などの効果があるといわれています。

カリウム 190mg

豆乳にはミネラルのひとつであるカリウムが含まれています。

カリウムにはナトリウムとバランスをとりながら、細胞を正常に保ったり、体液の浸透圧を調整したりといった働きがあります。この他にも心臓や神経、筋肉の動きにも関係しています。

カルシウム 15mg

カルシウムは骨と歯の構成成分の99%を占め、身体を支える骨格を強化する働きがあります。また、神経刺激の伝達・興奮、筋肉の収縮、ホルモンの分泌、血液凝固など、身体のバランスを整えることにも役立っています。

マグネシウム 25mg

ビタミン類をより効率的に吸収するのを助け、健康な骨の成長を促し、血圧や体温の調整、神経伝達や興奮を抑える働きがあります。また、体内の酵素の活性化を促す成分でもあり体内に吸収された糖質やタンパク質の代謝をスムーズにする働きもします。

大豆イソフラボン

大豆イソフラボンは、大豆に含まれるポリフェノールの一種です。

強い抗酸化作用があり、細胞を酸化ストレスから保護するのに役立つ他、免疫力の向上、血流の改善、粗鬆症や循環器系の疾患を予防する効果が期待できます。

※豆乳100g当たりの数値詳細はこちら

犬への豆乳の与え方

犬への豆乳の与え方

人間用に市販されている「無調整豆乳(豆乳)」を、そのまま犬に与えても大丈夫です。

ただし、豆乳の約90%は水分なので、たくさん与えてしまうとお腹の調子を崩すおそれがあるため、少しずつ与えましょう。

また、冷蔵庫で冷えたままの豆乳を与えてしまうとお腹を壊すことがあるので、お腹の健康に不安がある犬や、子犬、シニア犬には常温またはレンジで人肌程度に温めてから与えるように配慮してあげましょう。

犬に豆乳を与えるときの適量

犬に豆乳を与えるときの適量

低カロリーの豆乳ではありますが、与えすぎには注意しましょう。

以下が犬に豆乳を与える際の目安です。

ただし、あくまでもカロリー上の算出値であること、犬の年齢やお腹の健康状態、運動量によっても適量は異なるので、あくまで目安として調整し、与える際も一気に与えるのではなく、2~3回に分けて与えるようにしましょう。

  • 小型犬(体重2~5kg):44ml~86ml
  • 中型犬(体重5~10kg):86ml~146ml
  • 大型犬(体重10~20kg):146ml~244ml

※豆乳100gに含まれるエネルギーは、43kcalとして算出
※数値は、1日の総摂取カロリー目安の10%として算出

犬に豆乳を与える際の注意点

心臓や腎臓に問題がある犬には与えない

心臓や腎臓に問題がある犬には与えない

豆乳に含まれるリンやカリウムは、心臓や腎臓に持病のある犬には制限が必要な成分です。また、タンパク質もしっかり含まれているので、食べすぎると肝臓や腎臓に負担がかかります。

特に療法食を食べている犬の場合には、豆乳を与える前に必ず獣医師に相談しましょう。

大豆アレルギーに注意

大豆アレルギーに注意

アレルギーは、体内の免疫機能が特定のタンパク質に対して異常に反応することで起こります。

豆乳の原材料は大豆です。

大豆タンパク質が含まれているため、アレルギーを引き起こす可能性があります。アレルギーを起こすと下痢、嘔吐、痒みなどの症状が見られます。

初めて犬に豆乳を与えるときには、少量にしておき、他に新しい食べ物を与えないようにしましょう。こうすることで、万が一アレルギーを起こしたときの重症化を抑え、その原因を特定しやすくなります。

ストルバイト結石症にも注意

ストルバイト結石症にも注意

豆乳に含まれているマグネシウム、カルシウム、リンなどのミネラル分は、犬の尿結石の一種であるストルバイト結晶・結石の形成に関与することがあります。特に豆乳はマグネシウムが豊富なので、尿検査で注意を受けている場合や、結石の予防が必要な体質の犬には避けたほうが良いでしょう。

豆乳に関するよくあるQ&A

Q豆乳クッキーは犬に与えても大丈夫でしょうか?

A 犬用に作られた市販の豆乳クッキーであれば、犬が食べても問題ありません。しかし、人間用の豆乳クッキーには、砂糖やバターなどが使用されていることがあります。これらは糖尿病などの健康問題につながる可能性があるため、人間用の豆乳クッキーは犬に与えないようにしてください。

まとめ

豆乳は、犬の健康に役立つ栄養成分が豊富に含まれています。ただし、いくら栄養価が高いからといっても、与えすぎには注意し、豆乳を与えた分の主食を減らしてカロリーオーバーにならないようにしましょう。

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この記事を書いた人

パピ姉 セールス&マーケティング担当

ペットフード業界で働くこと9年目。中学生の頃よりビションフリーゼ(メス、毛が薄め)のパピの姉として育つ。それ以来、白くてふわふわな犬が好き。趣味はビショングッズ収集。図書館司書の資格をもち絵本の読み聞かせやお話し会なども行っていた。好きな絵本は「どろんこハリー」。将来は犬と一緒に心を開いて読書を楽しむ社会貢献もしたいと思っている。

監修獣医師

高橋 宏実 獣医師・ペット栄養管理士

麻布大学 獣医学部 獣医学科卒業。東京都内の動物病院で臨床医として勤務。
その後、獣医師として栄養学をより深く学ぶことで、犬猫の健康を臨床医時代とは違う視点からもサポートできるのではと考え現在に至る。毎日欠かさず動物関係のSNSをみることで日々癒されている。

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