ペットフード業界で働くこと9年目。中学生の頃よりビションフリーゼ(メス、毛が薄め)のパピの姉として育つ。それ以来、白くてふわふわな犬が好き。趣味はビショングッズ収集。図書館司書の資格をもち絵本の読み聞かせやお話し会なども行っていた。好きな絵本は「どろんこハリー」。将来は犬と一緒に心を開いて読書を楽しむ社会貢献もしたいと思っている。
2023/11/14
日本の食卓でおなじみの「豆腐」は、高タンパクで低カロリー、さらにカルシウムや大豆イソフラボンなどたくさんの健康に良い栄養素を含む食品です。
そんな豆腐を犬が美味しそうに食べるという声をよく聞く一方で、
と疑問に思われる方も多いでしょう。
結論から言うと、豆腐は犬に与えても大丈夫な食品です。
本記事では、犬に豆腐を与えても大丈夫な理由から与え方、そして注意点まで解説します。
また、豆腐の原材料の大豆など豆類をドッグフードに使う理由については以下の記事にまとめていますので、合わせてご覧ください。
【 目 次 】
結論から言うと、豆腐には犬の体によくない有毒成分は含まれていませんので安心して与えることができます。
高タンパクで栄養価も高く、さらに低カロリーなので、肥満防止や栄養バランスを考えて手作り食を作るときにおすすめしたい食材とも言えます。
ただし、与え過ぎは要注意です。
人間から見ると一口サイズでも、身体の小さな犬にとっては体重換算で計算するとかなりの量になることがあるのであくまで適量であることが大切です。
そもそも栄養面において総合栄養食の良質なドッグフードを食べている場合は、栄養面で不足することはありません。食欲が落ちていて、とにかく何か食べさせたい時や水分を摂らせたいとき、または食べる楽しみ、与える楽しみとして、適量の範囲内で与えることが大切です。
総合栄養食については以下の記事に詳しくまとめているので参考にしてみてください。
豆腐にも種類がありますが、与えて良いのは豆乳を凝固剤(にがり)で固めて作られる「木綿豆腐」か「絹ごし豆腐」です。どちらも含まれる栄養素は同じですが、含まれる栄養は木綿豆腐の方が豊富という違いがあります。
ちなみに胡麻豆腐、杏仁豆腐、ピーナッツ豆腐、アーモンド豆腐などは、名前に豆腐とついていますが、原材料が異なり、味がついているケースがあるため犬に与えるのは避けたほうが良いでしょう。
豆腐は、前述の通り植物性タンパク質が豊富な食べ物です。
その他にもミネラル類や抗酸化作用を持つ「サポニン」、犬の必須脂肪酸であるオメガ6脂肪酸の一種「リノール酸」やポリフェノールの一種である「大豆イソフラボン」など犬の健康維持に役立つ栄養素を含んでいます。
そうした栄養素によって期待できる効果には以下のようなことが挙げられます。
以下では、上記で示したような豆腐100gあたりに含まれる代表的な栄養素と効果を紹介します。
タンパク質は犬の成長、発達、体組織の修復、酵素、免疫系のすべてにかかわっている非常に重要な栄養素です。タンパク質はエネルギーを供給する3大栄養素の一つで、20種類のアミノ酸が鎖のように結合してできています。
豆腐にはミネラルのひとつであるカリウムが含まれています。
カリウムにはナトリウムとバランスをとりながら、細胞を正常に保ったり、体液の浸透圧を調整したりといった働きがあります。この他にも心臓や神経、筋肉の動きにも関係しています。
ビタミン類をより効率的に吸収するのを助け、健康な骨の成長を促し、血圧や体温の調整、神経伝達や興奮を抑える働きがあります。
また、体内の酵素の活性化を促す成分でもあり体内に吸収された糖質やタンパク質の代謝をスムーズにする働きもします。
カルシウムは骨と歯の構成成分の99%を占め、身体を支える骨格を強化する働きがあります。
また、神経刺激の伝達・興奮、筋肉の収縮、ホルモンの分泌、血液凝固など、身体のバランスを整えることにも役立っています。
サポニンは、抗酸化作用が優れた栄養素で、とくに大豆には豊富に含まれることから、これを「大豆サポニン」と呼んでいます。
大豆サポニンには強い抗酸化作用があり、細胞を酸化ストレスから保護するのに役立つ他、免疫力の向上、血流の改善などの効果があるといわれています。
オメガ6脂肪酸であるリノール酸は、毛艶の改善やフケの軽減など、皮膚・被毛の健康には欠かせない成分です。
体内で作ることができず、食品から摂取しなければならない必須脂肪酸の1つです。
大豆イソフラボンは、大豆に含まれるポリフェノールの一種です。
強い抗酸化作用があり、細胞を酸化ストレスから保護するのに役立つ他、免疫力の向上、血流の改善、粗鬆症や循環器系の疾患を予防する効果が期待できます。
※木綿豆腐の可食部100g当たりの数値
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=4_04032_7
人間用に市販されている「木綿豆腐」か「絹ごし豆腐」を、そのまま犬に与えて大丈夫です。
ただし、冷蔵庫で冷えたままの豆腐を与えるとお腹を壊すことがあるので、お腹の健康に不安がある犬や、パピーやシニア犬には常温またはレンジで人肌程度に温めてから与えるように配慮してあげましょう。
人間が食べるときに使う調味料や薬味は犬には与えないでください。薬味が乗っていたものから「豆腐」だけを取り出して与えるのもNGです。
特にネギは犬に深刻な中毒の原因になる可能性が高く、絶対に薬味を混ぜた豆腐は犬に絶対に与えないようにしてください。
低カロリーの豆腐ではありますが、与えすぎには注意しましょう。特に豆腐は86%が水分ですので、下痢や嘔吐の原因となる可能性があります。
以下が犬に豆腐を与える際の目安です。
ただし、あくまでもカロリー上の算出値であること、犬の年齢やお腹の健康状態や運動量によっても適量は異なるのであくまで目安として調整しましょう。
犬の体重目安 1日あたりの摂取可能目安;木綿豆腐一丁300g~400gを想定
※木綿豆腐100gに含まれるエネルギーは、73kcalとして算出
※数値は、1日の総摂取カロリー目安の10%として算出
豆腐は、これまで見てきたように健康な犬には問題なく与えられる食品ですが、心臓や腎臓に持病を持っている犬やアレルギーの点からも注意が必要なケースがあります。
豆腐に含まれるリンやカリウムは、心臓、腎臓に持病のある犬には制限が必要な成分です。また、タンパク質もしっかり含まれているので食べすぎると肝臓や腎臓に負担がかかります。
特に療法食を食べている犬の場合には、豆腐をあげる前に必ず獣医師に相談してからにしましょう。
アレルギーは、体内の免疫機能がタンパク質に対して異常に反応することで起こるものです。
豆腐は大豆の加工食品です。タンパク質がしっかり含まれているので、アレルギーを引き起こす可能性があります。アレルギーを起こすと下痢、嘔吐、痒みを伴う症状などが多く見られます。
初めて犬に豆腐を与えるときには、少量にしておき、ほかに新しい食べ物を与えないようにしましょう。こうすると、万が一アレルギーを起こしたときの重症化を抑え、その原因を特定しやすくなります。
豆腐に含まれているマグネシウム、カルシウム、リンなどのミネラル分は、犬の尿結石のうちで一番多くみられるストルバイト結晶・結石の成分でもあります。
特に豆腐はマグネシウムが豊富なので、尿検査で注意を受けるなど予防が必要な体質の場合は避けましょう。
Q高野豆腐は犬に与えても大丈夫でしょうか?
A高野豆腐は、木綿豆腐や絹ごし豆腐と同じ原材料の大豆でできているため与えることができます。ただし、高野豆腐に使われる大豆の量は木綿豆腐や絹ごし豆腐と比べると約6倍と多く、栄養素に違いがあるので与えすぎないよう注意が必要です。
また犬に高野豆腐を与えるときは、やわらかくなるようにしっかりと戻して、喉に詰まらせないように小さくカットしてから与えるようにしましょう。
Q豆腐は子犬に与えても大丈夫でしょうか?
A通常、消化器官が十分に発達する生後2〜3か月ほど経った頃から与えることができます。 ただし、子犬によっては歯が乳歯から永久歯に生え変わる生後7~8か月までは消化機能が未発達なこともあるので、心配な方は歯が生え変わったことを確認してから与えるようにしましょう。
犬の健康に役立つ栄養成分が豊富に含まれる豆腐。ただし、いくら栄養価が高いからといっても豆腐はあくまでおやつとして与えるようにしましょう。
そして、豆腐を与えた分の主食を減らしてカロリーオーバーしないよう注意しましょう。
豆腐以外の犬に与えても良い食品については以下の記事にまとめていますので、合わせてご覧ください。
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