犬にヨーグルトを与えても大丈夫?食べてもよい適量と注意点を解説

2023/05/30

犬 ヨーグルト

栄養価の高い牛乳を乳酸菌や酵母で発酵させたヨーグルトは、健康に良いというイメージで、毎日食べる人も多い食材です。

近年では味や形状も様々で、料理や飲料として日常的に利用されています。そんなヨーグルトをおやつや手作り食で使って犬に与えてもいいものなのか不安に思っている飼い主も多いようです。

結論から言うと、ヨーグルトは犬に与えても大丈夫な食材です。

本記事では、犬にヨーグルトを与えても大丈夫な理由から与え方、そして注意点まで解説します。

犬はヨーグルトを食べても大丈夫

犬 ヨーグルト

結論から言うと、ヨーグルトには犬の体によくない有毒成分は含まれていませんので安心して与えることができます。

ただし与え過ぎは要注意です。人間から見ると一口サイズでも、身体の小さな犬にとっては体重換算で計算するとかなりの量になることがあるのであくまで適量であることが大切です。

そもそも栄養面において総合栄養食の良質なドッグフードを食べている場合は、それ以外の食事は基本的に必要ありません。

食欲が落ちていて、とにかく何か食べさせたい時、水分補給またはおやつや食事のトッピングとして検討するのが良いでしょう。

総合栄養食については「犬や猫の主食になる「総合栄養食」とは?選び方や注意すべきポイントなどを解説」に詳しくまとめているので参考にしてみてください。

犬 ヨーグルト

また、牛乳にアレルギーのある犬の場合は、食べて下痢、嘔吐、痒みといったアレルギーを起こすこともあります。

アレルギーは、体内の免疫機能がタンパク質に対して異常に反応することで起こるものです。ヨーグルトは牛乳で作られていますので、牛乳アレルギーのある犬にヨーグルトを与えるのはやめましょう。

なお、犬は牛乳に含まれる乳糖を分解できず、下痢や消化不良をひき起こす可能性があるため与えることができないと言われていますが、ヨーグルトは作る工程で乳糖の約20~40%が分解されています。そのため、比較的お腹を壊しづらいと言えますが、牛乳アレルギーや乳糖不耐症でなかったとしても少量ずつ与えることをおすすめします。

ヨーグルトに含まれる栄養素と効果

犬 ヨーグルト

ヨーグルトには犬の健康維持に役立つ栄養を含んでいます。期待できる代表的な効果には以下のようなことが挙げられます。

  • 乳酸菌は腸内で悪玉菌の繁殖を抑え、腸内環境を整えるいわゆる「善玉菌」です。おなかの調子を整える働きに加え、近年では菌の種類によって歯周病予防の効果なども期待されています。
  • 犬の成長、発達、体組織の修復、酵素、免疫系のすべてにかかわっているタンパク質。タンパク質は体内に入るとアミノ酸に分解されますが、ヨーグルトはアミノ酸の栄養価を示す指標であるアミノ酸スコアが100の良質なタンパク源です。
  • 犬にとって貴重なエネルギー源である脂質には、脂溶性ビタミン(A、D、E、K)の吸収を助け、皮膚や被毛の健康を促進し、細胞膜や血液、神経組織や筋肉の成分となるといった大切な働きもあります。
  • 健全な骨の発育と維持に必要なカルシウムも豊富に含まれています。カルシウムは他にも細胞間の情報伝達および神経刺激の伝達に関与する重要な栄養素ですが、犬は体内でカルシウムを合成することができないので、必ず食べ物から摂取する必要があります。

ヨーグルト100gに含まれる栄養成分と効果

以下では、上記で示したようなヨーグルト100gあたりに含まれる代表的な栄養素と効果を紹介します。

乳酸菌

乳酸菌とは、発酵によって糖から乳酸をつくる微生物の総称で、腸内で悪玉菌の繁殖を抑え、腸内環境を整える「善玉菌」です。

人間用に売られているヨーグルトでよく知られた「ビフィズス菌」などがこれにあたります。おなかの調子を整える働きに加え、近年では菌の種類によって歯周病予防や免疫力向上の効果なども期待されています。なお、生きて腸に到達できる有用な微生物を特にプロバイオティクスといいます。またオリゴ糖などその栄養源となりプロバイオティクスの増殖を助けるものをプレバイオティクスといいます。

タンパク質 3.6g

タンパク質は犬の成長、発達、体組織の修復、酵素、免疫系のすべてにかかわっている非常に重要な栄養素です。タンパク質はエネルギーを供給する3大栄養素の一つで、20種類のアミノ酸が鎖のように結合してできています。ヨーグルトは犬が必要とするアミノ酸のうち、体内で合成できない必須アミノ酸10種類をすべて含んでおり、良質なタンパク源と言えます。

脂質 3.0g

毛艶の改善やフケの軽減など、皮膚・被毛の健康には欠かせない成分である脂質ですが、発酵させたヨーグルトはより消化されやすくなっています。また細胞膜や血液、神経組織や筋肉の成分となるといった大切な働きがあります。

カルシウム 120mg

健全な骨の発育と維持に必要なカルシウムですが、他にも細胞間や神経刺激の情報伝達に関与する重要な栄養素です。

犬は体内でカルシウムを合成することができないので、必ず食べ物から摂取する必要があります。またヨーグルトは乳酸とカルシウムがくっついて、乳酸カルシウムになり、さらに腸から吸収されやすくなっています。

※ヨーグルト/全脂無糖100g当たりの数値
※参照元:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=13_13025_7

犬へのヨーグルトの与え方

犬 ヨーグルト

犬にヨーグルトを与える際は、人間用に販売しているものを使うことができますが、カロリーオーバーしないように砂糖や果物・果物のソース等を加えていないプレーンヨーグルトを選びましょう。特に果物や果物のソースは犬が食べてはいけないぶどうなどが入っている可能性もあるので注意が必要です。また脂質が多いため、気になる人は低脂肪タイプを選ぶのもおすすめです。

また、ヨーグルトの上に出ている透明の水のようなものは乳清(ホエイ)と言いますが、こちらも与えて問題ありません。これは振動をうけたり、発酵が進むことによってでてくるもので、水溶性のタンパク質、ミネラル、ビタミンなどの栄養分が含まれています。

犬にヨーグルトを与えるときの適量

犬 ヨーグルト

ヨーグルトの与えすぎには注意しましょう。

そもそも犬に必要な栄養素は、総合栄養食と記載のあるドッグフードに十分含まれており、逆にいくら栄養豊富といってもヨーグルトだけでは不十分です。

そのためドッグフードを主食として、ヨーグルトはおやつ、またはご褒美として与えるようにしてください。 おやつで与える際は一日の必要カロリーの10~20%分が許容量になりますが、水分が多い食品ですので、たくさん与えてしまうとお腹の調子を崩してしまうおそれがあります。

そのため、小型犬で最大大さじ2杯程度を目安に調整することをおすすめします。

犬にヨーグルトを与える際の注意点

犬 ヨーグルト

ヨーグルトは、これまで見てきたように健康な犬には問題なく与えられる食品ですが、注意が必要なケースがあります。

アレルギーや乳糖不耐症に注意

アレルギーは、体内の免疫機能がタンパク質に対して異常に反応することで起こるものです。

ヨーグルトにはタンパク質が含まれているので、アレルギーを引き起こす可能性があります。アレルギーを起こすと下痢、嘔吐、痒みを伴う症状などが多く見られます。

また、犬はヨーグルトの元になる牛乳に含まれる乳糖を分解できず、下痢や消化不良をひき起こす可能性があるため与えることができないと言われています。

ヨーグルトは作る工程で乳糖の約20~40%が分解されていますが、注意が必要です。 初めて犬にヨーグルトを与えるときには、少量にしておき、ほかに新しい食べ物を与えないようにしましょう。

こうすると、万が一アレルギーや乳糖不耐症を起こしたときの重症化を抑え、その原因を特定しやすくなります。

手作りヨーグルトに注意

犬 ヨーグルト

市販のヨーグルトメーカーと種菌などを使い、自家製ヨーグルトを作っている方もいるようです。

しかし、ヨーグルトの菌以外の雑菌が混入し食中毒が起きてしまった例が人間のケースで報告されています。

材料となる牛乳は栄養分も多く開封後は微生物が繁殖しやすい食品ですので、ヨーグルトを手作りする際は適切な方法を守るようにしましょう。

まとめ:ヨーグルトは、犬のおやつ程度に

犬の健康に役立つ栄養成分が豊富に含まれるヨーグルト。ただし、いくら栄養価が高いからといってもヨーグルトはあくまでおやつや水分補給として与えるようにしましょう。

与えるときは、アレルギーや乳糖不耐症に注意し少量ずつ味付けせずに与えましょう。 そして、与える量は、最大でも1日の必要摂取カロリーの10%程度にし、ヨーグルトを与えた分の主食を減らしてカロリーオーバーしないよう注意しましょう。

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この記事を書いた人

パピ姉 セールス&マーケティング担当

ペットフード業界で働くこと9年目。中学生の頃よりビションフリーゼ(メス、毛が薄め)のパピの姉として育つ。それ以来、白くてふわふわな犬が好き。趣味はビショングッズ収集。図書館司書の資格をもち絵本の読み聞かせやお話し会なども行っていた。好きな絵本は「どろんこハリー」。将来は犬と一緒に心を開いて読書を楽しむ社会貢献もしたいと思っている。

監修獣医師

高橋 宏実 獣医師・ペット栄養管理士

麻布大学 獣医学部 獣医学科卒業。東京都内の動物病院で臨床医として勤務。
その後、獣医師として栄養学をより深く学ぶことで、犬猫の健康を臨床医時代とは違う視点からもサポートできるのではと考え現在に至る。毎日欠かさず動物関係のSNSをみることで日々癒されている。

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