犬や猫の主食になる「総合栄養食」とは?選び方や注意すべきポイントなどを解説

2020/05/28 更新日:2021/08/12

総合栄養食

「総合栄養食」ということばをご存知でしょうか?これは、犬や猫の健康を支えるために必要な栄養素を含んでいるペットフードのことを指します。

今回は、総合栄養食がもつ優れた栄養バランスやメリットについて、20年以上にわたりペットフードを研究・製造しているペットキュリアン社のフードを扱ってきた私たちの視点で詳しく説明します。犬や猫とハッピーに過ごすために参考にしていただきたい内容です。

総合栄養食とは

総合栄養食

犬や猫に必要な栄養素が全てバランスよく含まれていて、そのフードと水を与えるだけで、健康を維持できるペットフードのことです。年齢や成長段階に合わせて考えられた「ライフステージ別」のフードや、すべての成長段階に対応している「オールライフステージ対応」のフードなど、多くの選択肢があります。また、ペットの好みや飼い主さんのライフスタイルに合わせて、ドライフード、ウェットフード、セミモイストフードなど、水分量が異なるタイプのフードを選ぶこともできます。

ペットフードには、総合栄養食のほかに以下のような分類があります。

総合栄養食

犬や猫に必要な栄養素が全てバランスよく含まれていて、そのフードと水を与えるだけで、健康を維持できるペットフードのこと

間食

おやつやスナックまたはご褒美として、限られた量を与えることを意図したペットフードのことで飼い主とのコミュニケーションにも役立ちます。商品のパッケージには、おやつ、スナック、トリーツのように記載されています。

給与限度量は、原則として1日当たりのエネルギー所要量の20%以内に抑えることが求められています。

療法食

犬や猫に特定の疾病があり、その治療に栄養学的なサポートが必要な場合に処方されるフードです。

治療の内容に合わせてフード中の栄養成分の量や比率が特別に調節されているため、健康な犬・猫に与えたり、与える時期や期間を誤ったりすると、かえって健康を損なう恐れもあります。必ずかかりつけの獣医師の指導のもとで適切に与えましょう。

その他の目的食

総合栄養食、間食、療法食以外の総称で、特定の栄養の調整またはカロリーの補給、あるいは嗜好性増進などの目的を満たすものを指します。

商品のパッケージには「副食」「一般食」「栄養補完食」と記載されていたり、「おかずタイプ」と記載されたりすることもあります。

「副食(一般食)」を与える場合は、そればかりを食べさせると成長に不可欠な栄養素が不足する場合もあるため、「総合栄養食」と併用して与えるようにしてください。

主食としての総合栄養食

総合栄養食

このように「総合栄養食」は、「毎日単体で与え続けても犬や猫の健康を維持できる栄養バランスの整った食事」ということになります。ですので、毎日の主食として、まずは「総合栄養食」を選ぶことをお薦めします。

特に、パウチや缶詰などのウェットフードは、総合栄養食と「副食(一般食)」の区別が難しいものもありますので注意が必要です。総合栄養食ではないものが多くあり、気づかずに主食として与えてしまっている飼い主さんもいるかもしれません。商品のパッケージをしっかり確認するようにしましょう。

副食(一般食)は、総合栄養食をベースにしたプラスαの食事です。バラエティーに富んだ「副食(一般食)」は、日々の食事に変化をつけて楽しんだり、食が細い子達の食欲スイッチをONにしたりする目的で総合栄養食とうまく組み合わせて与えるのがお勧めです。

また、給与量の注意点として、普段の主食の量を減らさずにオヤツや副食(一般食)追加するとカロリー過多となってしまうため、主食の量は与えたオヤツのカロリー分だけ減らす必要があります。

主食を減らしてしまうと栄養バランスが心配ということもあると思いますが、総合栄養食の栄養バランスは、ある程度余力を持って整えられているため、1日の摂取カロリーの10~20%以内であれば大きな欠乏症が起こる可能性は低いと考えられています。しかし、これはあくまで一般論であり、犬や猫が必要とするカロリーや栄養素には個体差や生活環境が大きく影響します。

10%・20%という数字や給与ガイドラインにとらわれ過ぎず、ペットの様子(体重や毛並み、元気・活力があるかどうかなど)をよく観察してあげてください。もし、何か違和感があるときは、専門家に相談したり食事やオヤツを見直してみたりすることが大事です。

総合栄養食の栄養素や栄養バランス

では、犬や猫の健康を維持するためのに整えられた「総合栄養食」の栄養素や栄養バランスとは何を指すのでしょうか?

そもそも、犬や猫と人間では必要となる栄養素が異なります。代表的なタンパク質・ミネラル・ビタミン・脂質・糖質などの栄養素はもちろん犬や猫にも必要ですが、例えばタンパク質に含まれる必須アミノ酸は、人間は9種類の摂取が必要なのに対し、犬はアルギニンを含んだ10種類、猫はさらにタウリンを含んだ11種類を摂取する必要があります。(必須アミノ酸は体内で生成されないため必ず食事から摂取する必要があります。)

また、ミネラルの体内吸収には、ミネラル同士の摂取バランスが関係するため注意が必要です。例えば、主要ミネラルとして骨や歯の強化を担う「リン」と「カルシウム」がありますが、この2つの栄養素は体内で密接に結びついています。

例えば、犬にとっての理想的なリンとカルシウムの摂取比率は1:1~2と言われていますが、リンを過剰摂取するとカルシウムが体内で吸収されにくくなります。健全な骨の発育と維持のために極めて重要な栄養素であるカルシウムの吸収を阻害することによって、骨に十分なミネラルが供給されず、全身の骨や歯が弱くなってしまうため、特に骨の発達が著しい成長期や全身の機能が低下しがちな高齢期においては注意が必要です。

さらに、通常は体内で利用されなかったリンは尿中に排出されますが、長期にわたってリンの過剰摂取が続くと尿中のリン濃度が高くなり、腎障害や結石の原因になる可能性があります。高タンパクの肉や卵、小魚のほか、乳製品などにもリンが多く含まれています。意外なところでは、納豆や大豆などの植物性タンパク質の豆類もリンが豊富です。

このように、犬や猫にはそれぞれ最適な栄養素・栄養バランスがあります。

ネコに必要な栄養素については、以下のコラムを参考にしてみてください。

私たち人間は、足りない栄養を普段の生活の中で意識的に補うことができますが、犬や猫は飼い主さんが与える食事が全てであり、自分でコントロールすることはできません。また、いざ飼い主さんが犬の栄養バランスの知識を習得し日々の食事に取り入れようと思っても、忙しい毎日の中では現実的に難しいかもしれません。だからこそ、犬や猫には「総合栄養食」という考え方があり、「これさえ与えていれば健康を維持できる」という飼い主さんのために考えられた食事が作られているのです。

総合栄養食として認められる基準

日本で総合栄養食としてペットフードを販売するためには、ペットフード公正取引協議会が採用している「AAFCO」(通称:アフコ、アーフコ)が定めたガイドラインを満たす必要があります。

AAFCOは、アメリカの機関 “The Association of American Feed Control Officials”(全米飼料検査官協会)の略称で、ペットフードの栄養基準や原材料、表示に関する基準などを定めています。

AAFCO アフコ アーフコ
AAFCO アフコ アーフコ

ペットフードを選ぶ際、パッケージに「AAFCOの基準をクリアしています」や「AAFCO基準に適合」等の記載を見たことがある人もいるのではないでしょうか。

AAFCOの他に、「FEDIAF(フェディアフ)」や「NRC(エヌアールシー)」などいくつかの機関が存在し、国やメーカーによってどの機関のガイドラインを採用しているかは異なります。

FEDIAF(フェディアフ)

欧州ペットフード工業会連合 “The Europe Pet Food Industry Federation” の略称。安全で栄養価の高いペットフードを供給するため独自の研究により基準を制定している。

NRC(エヌアールシー)

全米研究協議会 “National Research Council” の略称。全世界で行われた研究結果に基づいて、を含め動物に必要な養分要求量を研究している。

これらの機関が定めたガイドラインは世界的な栄養基準のスタンダードになっています。長年の研究結果に基づいて、犬や猫に与えるべき適切な栄養素や配分の基準値が細かく設定されており、最新の研究結果に基づいてその基準は定期的にアップデートされています。

獣医師も認める総合力の高さ

様々なメリットがある総合栄養食。飼い主さんの負担を軽くしてくれるだけでなく、犬にとっても栄養満点な美味しい食事です。

例えば、体調に合った総合栄養食を与えているとウンチが安定するという声があるのは、フードに含まれる繊維やミネラルのバランスが整っており、ムラが少ないことが理由と言われています。「体調に合った」というところが大きなポイントになりますが、お腹の調子、ウンチが安定しやすい、ということは消化や免疫機能の健康という意味でも毎日のお世話という意味でもとても大事な要素になりますよね。

専門家や獣医師飼い主さんに自信をもって勧める総合栄養食は、犬や猫のために考え抜かれた安心安全な食事です。

それでも犬や猫が生き物である以上が個体差がありますし、AAFCOには原材料の内容や質についての基準は設けられていないのも事実。

そのため、総合栄養食のドライフードを購入する際は、フードラベルやメーカーの考え方なども参考にしながら、犬や猫の体調や好みに合った安心できる素材や調理法で作られた高品質なものを楽しみながら見つけていくことをおすすめします。

飼い主さんの安心感や幸せは、犬や猫に伝わる

ゆっくりと時間をかけられるときや、気持ちの余裕のあるときには、飼い主さんのライフスタイルに合わせてトッピングや手作りレシピにチャレンジしたり、一般食のおかずを組み合わせたりするのも楽しいですね。

例えば、総合栄養食のウェットフードと組み合わせていつもと違う食感を楽しむ、旬の食材を取り入れて犬とともに季節感を味わうなど、新しい組み合わせを探求していくと、犬や猫も飼い主さんも新鮮な気持ちになれるかも。そして、「この食事は好きみたい」「今日は食いつきが良いな」など、犬や猫の好みを新たに発見できると、さらに嬉しいですよね。

まとめ

今回は、総合栄養食について詳しく説明しました。もし、疑問や不安がございましたら、いつでもお気軽にご質問ください。

ペットキュリアン社のドライフードはAAFCOの栄養基準をクリアして作られています。また、これらのフードは、栄養学の博士号をもつ上級栄養士を筆頭に開発チームが厳選した食材を調達し、その食材の組み合わせや栄養素の配合について日々調査・研究したものです。

もちろん食事の選択肢もたくさんあるので、飼い主さんのライフスタイルに合わせて、いろんな種類の食事を楽しみながら、犬と猫とハッピーに毎日を過ごしてくださいね。

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この記事を書いた人

大久保 マネージャー

犬猫専門の動物園でアルバイトした事をきっかけにペット業界へ。以降、ペットショップ、ペット専門問屋、店舗開発などペットに関わる仕事を経験後、現在はNOW FRESHの営業として日々活動中。

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