ペットキュリアン社の栄養学責任者であるジェニファー博士は、カナダ州立サスカチュワン大学を卒業し、コンパニオンアニマル栄養学の分野で博士号を取得しています。サスカチュワン大学は1907年の創立以来、理学や医学、生物学、地質学などの理科系分野を得意としてカナダ屈指の研究施設を保有する大学であり、ペットの栄養分野で博士号を取得することは大変な難関です。ジェニファー博士は常に最新の栄養学にアンテナを張っており、ペットキュリアン製品のレシピに反映しています。
2021/07/30 更新日:2022/12/12
猫という生き物が人々に愛されていることは、もはや誰もが知るところです。
今日、猫は世界で最も人気のあるペットと見なされています。2016年、アメリカペット製品協会(American Pet Products Association :APPA)のペットオーナー調査では、アメリカだけで9,420万匹の猫と8,970万匹の犬が飼育されているという見込みが明らかになりました(1)(2)。猫を飼う時、猫には犬とは異なる特有の必須栄養素があるので注意が必要です。猫が必要とする栄養素は、祖先が完全な肉食動物で動物性の食材から栄養を得ていたというバックグラウンドに由来するものです。
最近の猫たちは、家の中で飼われていることが多く、活発に動き回るような暮らしはしていません。また、さまざまなバリエーションのキャットフードがあって長生きできるようになりました(3)。だからこそ、キャットフードを選ぶときは、猫の健康に必要な特有の栄養素のことを理解しておくことが大事です。必須栄養素の中でも猫にとって特に重要な栄養素は、タンパク質、タウリン、アルギニン、ビタミンA、ビタミンD、ナイアシン、およびアラキドン酸に関連しています(4)。
猫の健康に必要な特有の栄養素のことを理解したい方
動物性原材料をバランスよく含むフードを選んだほうがいい理由を知りたい方
【 目 次 】
猫は、犬よりも食事から得るべきタンパク質(アミノ酸)の必要量が高くなります。しかし栄養学的には、猫に必ずしも超・高タンパク質食が必要なわけではありません。
アミノ酸はタンパク質の構成要素であり、特定のアミノ酸は猫の体内で生成されます。このようなアミノ酸は、食事から摂らなくても体内でまかなえるアミノ酸=非必須アミノ酸と呼ばれます。対照的に、体内で生成できないアミノ酸は必ず食事から摂取しなくてはなりません。このようなアミノ酸を必須アミノ酸と呼びます。
猫は、10個の非必須アミノ酸と11個の必須アミノ酸を必要とします。猫特有の必須栄養素として、タウリンとアルギニンは犬よりもはるかに高い要求量を必要としています。
タンパク質に関する詳細は「猫に必要不可欠な栄養素!タンパク質とは?」にまとめていますので合わせて参考にしてみてください、
猫はアルギニンが不足する食事に敏感であるという研究結果が報告されています。
アルギニンが不足すると、血中のアンモニアレベルが上昇し、猫に深刻な症状を引き起こすことが示唆されています(5)。アルギニンは、アンモニアを尿素として変換する際に必要なアミノ酸です。
アンモニアは尿素となることで解毒され尿中に排泄されます。ですが、猫はアルギニンの生成に必要な前駆体であるオルニチンとシトルリンを体内で生成することができません。それゆえに、食事から摂取するアルギニンが欠乏すると、体内にアンモニアが蓄積し、アンモニア中毒を引き起こすのです。しかし、アルギニンは動物性タンパク質に豊富に含まれているため、肉食獣である猫は、食事からアルギニンを摂取することに依存するように進化しました。
アルギニンと同様に、タウリンは動物性タンパク質に豊富に含まれるアミノ酸です。
犬や他の哺乳類は、含硫アミノ酸、システイン、メチオニンを酸化させることによって、体内でタウリンを生成することができます。しかし、猫はこれらの経路に必要な酵素の活性レベルが不十分であるため、タウリンの生成が制限されています。それゆえに、必ず食事から摂取する必要があります。タウリンは、心臓や血管の健康、胆汁の生成、目の網膜の健康、および子猫の適切な成長と発達のために欠かせない栄養素です。
タウリン欠乏症の症状には、網膜の変性と拡張型心筋症(DCM)としても知られる心臓の肥大が含まれます(6)。
子猫、成猫、シニア猫を問わず、健康維持のためにビタミンが必要です。
ビタミンは、脂溶性または水溶性の2つのグループに分類できます。脂溶性ビタミンは脂肪組織に貯蔵できますが、水溶性ビタミンは貯蔵できず、過剰に摂取すると尿中に排泄されます。
ビタミンDは健康的な骨の発達・維持に必要な脂溶性ビタミンです。
人間は日光に当たることでビタミンDを体内生成したり、食事から摂取したりしてバランスをとっています。しかし、猫は体内でビタミンDを生成することができず、食事からの摂取のみに依存しています。
猫のビタミンD生成と直射日光との関連性について行われた研究では、ビタミンDの生成経路が欠如していることが示唆されました(7)。
この研究では、いくつかのグループに分けた子猫達にビタミンDが不足している食事を与えた場合、ずっと屋内で過ごしたグループの子猫も、日光を浴びていたグループの子猫も、同じようにビタミンDが欠乏したと報告されました。つまり、猫は日に当たってもビタミンDが合成されない、という裏付けとなったわけです。さらに、猫の皮膚には、ビタミンDの合成に必要な前駆体7-デハイドロコレステロールの濃度が低いことが明らかとなりました。
かつての猫たちは、ビタミンDの供給源として小鳥やネズミなどのげっ歯類などの獲物の肝臓を食べていました。今日では、このような研究結果を踏まえて、通常のキャットフードには十分な量のビタミンDが配合されています。
ビタミンDと同様に、ビタミンAも脂溶性ビタミンです。
ビタミンAは、猫の健康的な成長と発達だけでなく、視力や免疫機能を維持するために重要な栄養素です。ビタミンAは肉や魚などの動物性タンパク質に豊富に含まれているため、肉食獣である猫はビタミンAを体内生成する必要がありませんでした。
雑食動物や草食動物は、植物に含まれるβ-カロテンを変換してビタミンAを体内生成しますが、猫はβ-カロテンをビタミンA(レチノール)に変換するのに必要な酵素を欠いているようです。
動物性タンパク質にはβ-カロテンのようなカロテノイドがほとんど含まれないため、猫はビタミンAを体内生成するように進化しなかったと考えられています。獲物である小動物の肝臓はビタミンAが豊富であるため、わざわざβ-カロテンを変換するのは代謝的にも非効率だったのかもしれません。
ナイアシンは、エネルギー代謝に不可欠な水溶性ビタミンです。
猫は、アミノ酸であるトリプトファンからナイアシンを生成するために必要なすべての酵素と経路を持っています。トリプトファンは代謝されて、アセチル補酵素A(アセチルCoA)と二酸化炭素(CO2)、またはニコチンアミドアデニン ジ ヌクレオチド(NAD:ナイアシンの活性型)を生成します。
猫は、ナイアシンの体内生成はできるのですが、トリプトファンのアセチルCoAとCO2への変換を触媒する酵素の活性が非常に高いため、ナイアシンは生成されるよりも早く次々と分解されてしまいます(8)。しかし、ナイアシンの活性型であるNADが肉や魚などの動物性組織に高濃度で存在しているため、しっかり肉食の食事を摂れていれば、このような生成と分解の速度バランスでもナイアシン不足にはなりません。このような背景から、猫は犬の約2.4倍量のナイアシンを必要としています。
猫はオメガ6脂肪酸であるアラキドン酸を作ることができません。
成長、妊娠、授乳など特にエネルギーを必要とするライフステージの間、この脂肪酸を食事から摂る必要があります。アラキドン酸も、肉や魚など動物の組織や内臓に豊富に含まれています。一方、この脂肪酸は植物には存在しません。ですので、雑食動物や草食動物は、オメガ6脂肪酸の別の種類であるリノール酸からアラキドン酸を体内生成することができます。
アラキドン酸は細胞膜の構成成分であり、細胞間のシグナル伝達などに重要な役割を果たしています。
繰り返しになりますが、猫特有の必須栄養素は、彼らが完全に肉食獣として生きてきたという進化に由来しています。ですので、猫は、植物性の原材料だけからすべての必須栄養素を得ることはできず適切なサプリメントが必要になります。一方、動物性原材料をバランスよく含むフードは、猫に必要なタウリン、アルギニン、ビタミンA、ビタミンD、ナイアシン、およびアラキドン酸の必須栄養素をしっかりと満たすことができます。
1.Springer J. The 2017-2018 APPA National Pet Owners Survey Debut. Accessed January 25 2018.
2.Bradshaw B. 2013. Dogs we understand; cats are mysterious, even though they are
the most popular pet. Accessed Jan 25 2018.
3.Verbrugghe A, et al. Veterinary Sciences 2017;4:55.
4.Morris JG. Nutr Res Rev 2002;15:153-168.
5.Rogers QR, et al. J Nutr 1979;109:718-723.
6.Knopf K, et al. J Nutr 1978;108:773-778.
7.Morris JG. J Nutr 1999;129:903-908.
8.Ikeda M, et al. J Biol Chem 1965;240:1395-1401.
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