保護犬が抱えるトラウマを克服するためのヒント【信頼関係の築き方】

2021/07/28 更新日:2022/12/07

犬 トラウマ 克服

皆さんは、最近保護犬をお迎えしたり、お迎えするかどうか悩んだりしたことがありますか?

もしあるとしたら、その子はトラウマを抱えている様子がありますか?なかなか新しい環境に馴染めずにいませんか?

お迎えされたばかりの子には分離不安症やトラウマの兆候が見られることもありますが、これらは保護犬が新しい家にお迎えされたときによく直面する問題で、決してあなた一人だけが抱えている特別な問題ではありません。保護犬をお迎えした人、誰もが通る道ですから、落ち着いて、悩み過ぎずに対応すれば大丈夫ですよ。

なかなか上手くいかず、色々とアプローチを変えたくなる日もあるかもしれません。しかし、それでは犬が混乱してしまいますから、大変な時期はありますが、焦らず、一貫性のある正しいアプローチで寄り添ってあげることで、その子は必ず新しい環境に馴染み、あなたに心を開いてくれるでしょう。

ここでは、保護犬がトラウマを克服するために飼い主ができる事をご紹介します。

 

この記事は以下のような人におすすめ!

これから保護犬をお迎え予定の方

トラウマを抱えた保護犬を飼っている方

保護犬との信頼関係を築き方で悩んでいる方

保護犬が抱えているトラウマの引き金を把握しましょう

保護犬 トラウマ

はじめに、その子にとって、何がトラウマ(恐怖)の引き金となっているのか理解することが大切です。

特にトラウマを抱えた保護犬は、ある「状況」、「音」、「匂い」などから過去の怖かった体験を思い出してしまうことがあります。トラウマが引き起こされたことは、犬のしぐさを見ればわかります。例えば、飼い主が掃除機をかけると尻尾を小さく巻いて怖がったり、大きな音を聞くととっさに逃げてしまったり、というような行動が見られることがあります。

このような「トラウマの引き金」が何かを把握することがとても大切です。何が引き金になったのか?どんな症状が現れたのか?をメモしておくと、犬が怖がる状況を予測して、その子がストレスを感じる状況を回避しやすくなるでしょう。

例えば、愛犬がごみ収集車の音に怯えた場合、「宅配便のトラックや軽トラック、交通量の多い道も同じように怖がるかもしれない」と想像できます。怖がりそうな物事から、出来る限り愛犬を遠ざけてあげる努力をしましょう。

犬にも人間にも、ストレスは蓄積します。保護犬が怖い思いをした頻度が高ければ高いほど、トラウマを克服するのに時間がかかります。一方、ストレスになる状況を予測して避けることができればできるほど、早く克服することができるのです。

犬のストレスのサインの見分け方やその原因の詳細については「犬のストレスと分離不安症のサインは?その原因と解消法を解説」に詳しくまとめていますので、参考にしてみてください。

犬が予測できるルーティーンの繰り返しが、信用と信頼を築く

保護犬 信頼

保護犬が怯えるのは、周りの人間、異なる環境、生活全般において、次に何が起こるか分からないという不安からです。過去に予想外の怖い出来事をたくさん体験してしまったせいで、安全や安心という感覚を失ってしまったのです。

そこで、日々に「ルーティーン」を取り入れることで、保護犬の安心感を取り戻すことができます。ルーティーンによって、次に何が起きるのか?その子自身が予測できるようになるからです。

ルーティーンの例

  • 毎日、同じ時間に同じ道を散歩する
  • 家の中に隠したおやつを探すような、何度も繰り返し遊べて理解しやすいゲームをする
  • 毎晩、テレビを観るときは愛犬をマッサージしてあげる
  • 定期的に同じドッグランに連れて行き、犬友達と遊ばせてあげる
  • 毎日、午後にトリックやしつけを教えて、上手くできたら褒めてごほうびをあげる

ルーティーンの最も重要なことはその中身ではなく、定期的に欠かさず行うことです。犬が予測できる出来事が増えれば増えるほど、飼い主への信頼も高まるでしょう。

環境の変化に適応させるためのトレーニングの詳細については「怖がりの犬も大丈夫!環境の変化に適応させるためのトレーニング」に詳しくまとめていますので、参考にしてみてください。

保護犬には手からごはんやごほうびのおやつをあげましょう

保護犬 ご褒美

手からごはんやごほうびのおやつをあげられるようになるまでには、時間もかかりますし努力が欠かせません。同時に、一番早く愛犬に心を開いてもらいやすい方法でもあります。

ほんの一部でも、手からあげられるようになれば、すぐに強い絆をつくることができるでしょう。

ほんのわずかなごはんでも、犬との絆づくりに役立たせることができるのです。ごはんタイムを、信頼関係を構築する時間にしてみてはどうでしょう。

手からごはんを与えるもっとも簡単な方法は、まず1回の食事で必要なごはんの量を計り、その量を手から与える方法です。静かな部屋に座り、一粒ずつ食べさせてあげましょう。同時に、撫でてあげたり優しく声をかけてあげたりするのも良いでしょう。これを繰り返すことによって、愛犬にとってのごはんタイムがより楽しく、嬉しい時間となるでしょう。

まとめ:犬のトラウマ克服に焦りは禁物です

犬 トラウマ

どんなに不安な気持ちがあっても、飼い主であるあなた自身が焦ることのないよう気を付けましょう。トラウマは、時間をかけてゆっくり乗り越えるべきものと考えてください。

トラウマを克服するのに決まった期間や期限などありません。犬が背負っている過去や、その子自身の習得スピードによってまちまちだからです。

犬ができることをさせる、無理をさせない、という意識が大切です。(人を怖がる子を、慣れさせようとしていきなり人混みに連れて行くなど、もってのほかです!)

繰り返しになりますが、決して無理をさせず、毎日の休憩も必要ということを忘れないようにしましょう。誰にも邪魔されずに落ち着ける、静かな場所をつくってあげましょう。少しでもやりすぎかな?と思ったら、すぐに休ませてあげてください。保護犬が新しい環境に慣れるためには、ルーティーンと、絆を深める時間と、たっぷりの休憩をバランス良くとることが必要です。

時にあなた自身も不安になったり途方に暮れたりすることもあると思いますが、忍耐強く、愛犬の気持ちに寄り添うことができれば、あなたは、愛犬が生まれて初めて信頼できるパートナーになれることでしょう!

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この記事を書いた人

Steffi Trott スピリット ドッグトレーニングの創設者

シュテフィ・トロットは、数千頭もの犬を対面やオンラインでトレーニングした経験を持つベテランのドッグトレーナーです。ゲーム形式のトレーニングを専門として、リアクティブな犬や怖がりの犬を対象に活動しています。

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