グレインフリーのキャットフードは猫にとって何がよいの?

2022/10/26

グレインフリー キャットフード 猫

キャットフードについて調べていると見かける「グレインフリー(穀物不使用)」の表記。

「たしか穀類が含まれていないとか小麦が含まれていないとかだったかな・・・」

「グレインフリーのキャットフードのほうが猫の健康によいと言われていたような・・・」

のように「なんとなくグレインフリーのフードはよいものだと知っていても、その詳しい理由まではわからない」という方も多いのではないでしょうか。

この記事ではグレインフリーについての正しい理解とグレインフリーが適した猫の特徴について説明します。食事の面で愛猫の健康に気をつかいたい方は是非、参考にしてみてください。

そもそもグレイン(穀類)ってなに?

グレインは「穀類」を指す言葉です。

イメージしやすいものとしては、小麦やトウモロコシ、米などが代表的です。穀類は栽培が容易で保存性に優れることから、世界中の多くの地域で主食として重宝されています。

グレイン(穀類)とは

穀類を細かく見ていくと、小麦や大麦・米に代表される「禾穀類(イネ科)」の他に「菽穀類(マメ科)」の大豆や小豆、えんどう豆といったものから「擬似穀類」に分類されるキヌア(キノア)、アマランサスといった聞きなじみのないものまで含みます。

それでは、キャットフードにおけるグレイン(穀類)はこれらすべてを指しているのでしょうか?

キャットフードにおけるグレイン(穀類)

キャットフード グレイン(穀類)

答えは、NO(ノー)です。

キャットフードにおけるグレイン(穀類)は、一般的に小麦、トウモロコシ、オーツ麦、大麦、米など禾穀類(イネ科)を指していて、菽穀類(マメ科)や擬似穀類のものは含まれないことがほとんどです。

わかりにくいところですが、グレインフリーの語源である英語圏では、グレイン(穀類)とビーンズ(豆類)は別物として扱われていることに由来していると思われます。

キャットフードにおけるグレイン(穀類)と言われれば、いろいろな種類があるなかでも、なじみのあるイネ科のものが該当すると理解しておくとよいでしょう。

グレイン(穀類)が猫に与える影響は?

グレイン(穀類) 猫 影響

小麦やトウモロコシ(コーン)に代表されるように安くて大量に入手できる食材であるグレイン(穀類)は、キャットフードの炭水化物源としてよく使われます。

スーパーやホームセンターに並んでいるキャットフードのラベルの一番最初に、「小麦」、「トウモロコシ(コーン)」などの穀類が書いてあるのを見たことがあるのではないでしょうか。

原材料表示は、含有量が多いものから順番に表示するというルールがありますから、「小麦」、「トウモロコシ(コーン)」とはじめに書かれているものは、お肉などの他の素材よりも小麦が多く使われているということになります。

キャットフードに書かれた原材料表示については「キャットフードの原材料や成分表示の読み方について徹底解説」で詳しく説明しているので、興味のある方は読んでみてください。

もちろんこうした市販されているキャットフードの多くは、猫の健康を維持できる栄養バランスの整った食事として販売されています。しかし、本来肉食動物である猫にとって、グレイン(穀類)を大量摂取することはよしとされていない風潮があります。

この背景には、野生だった猫の先祖は、穀物に含まれる炭水化物をそのままでは消化することができないため、穀物を食べることはほとんどなかったと考えられているからです。

これは、私たち人間も米や小麦を食べるときに加熱しなければ食べられないことと同じことです。

このような点は飼い主さんとして気になるポイントだと思いますので次の章ではグレイン(穀類)の摂取が引き起こす恐れがあるデメリットをまとめてみました。

猫がグレイン(穀類)を摂取するデメリット

そもそもキャットフードの穀物は、加熱調理され、炭水化物もアルファ化されたものが適量使用されていますので、食べても問題なく消化できることは実証されています。その上で、摂取することのデメリットはどのようなところにあるのでしょうか?

食物アレルギーの原因になる

食物アレルギー 原因

グレイン(穀類)のなかでも、特に小麦やライ麦などに含まれるグルテンは食物アレルギーの原因となることがあります。

猫の食物アレルギー(食物過敏症)の可能性を示す代表的な症状は以下のとおりです。

  • 嘔吐や下痢などの消化器系の不調
  • お腹の張り
  • おなかが鳴る
  • 皮膚炎(猫には珍しい症状ですが、特定の食材に過敏症がある兆候かもしれません。)

ただし、グレイン(穀類)が原因のすべてではありません。むしろ牛肉、乳製品、魚などのタンパク質のほうがアレルギーの原因として多いと言われています。

他にも嘔吐などの症状は、食物アレルギー(食物過敏症)ではなくグルーミングした際に毛を飲み込んだことが原因ということが多くあります。

つまり穀類は、食物アレルギーの原因になるものの、実は穀物が原因とされるアレルギーと診断される猫は多くはないということも事実として理解しておくとよいでしょう。

肥満の原因になる

肥満 原因

小麦、米などグレイン(穀類)の多くは血糖値を急激にあげるGI値(グリセミック・インデックス)が高いものが多く、膵臓からインスリンというホルモンが多く分泌されます。

このインスリンは"血糖値を下げる"という働きの他に"脂肪を作る・脂肪の分解を抑制する"という働きがあることから、グレイン(穀類)の過剰摂取は肥満を招きやすくなります。

猫の肥満の原因や対策については「【獣医師監修】猫の肥満は危険!?知っておきたいリスクとダイエット方法」に詳しくまとめていますので、是非、合わせて参考にしてみてください。

猫にグレインフリーのキャットフードを与えるメリット

猫 グレインフリー キャットフード メリット

こうしたデメリットに対して、グレインフリーのキャットフードは心強い味方になります。

「グレインフリー」とは、グレイン(穀類)+フリー(含んでいない)。

つまりグレインフリーのキャットフードは、穀類を含まない食事です。

グレインフリーのキャットフードの特徴は、グレイン(穀類)を排除した分、肉の含有量が多く、高タンパクであることが多いです。つまり消化の良い動物性タンパク質がメインとなるため、便秘や下痢などの犬の腸内トラブルや肥満を予防します。

また、食物アレルギー対策につながることや、愛用者からは毛ツヤを改善されたという声が多くあります。

こうした健康や見た目に与えるメリットは、飼い主さんにとって大変喜ばしいことではないでしょうか。

猫 グレインフリー キャットフード メリット

ただし、グレインフリーのキャットフードは高価なものが多いという注意点があります。健康に良いものを食べさせてあげたいという気持ちから家計を圧迫してしまわないよう注意が必要です。

それでも愛猫の健康に心配がある方や、現在のキャットフードの消化に不安を感じている方はグレインフリーのフードを検討してみるとよいでしょう。病気になってしまってからでは治療費やお薬の費用がかかり、かえって高価になることもありますし、症状によっては療法食への変更が必要になって愛猫の好みに合う食事を続けられなくなる可能性もあるからです。

そして、グレインフリーなら必ずしも良い食事というわけでないことも覚えておきましょう。健康な猫の食生活は、一般的に高タンパクであることがよしとされていると思うかもしれませんが、やはり過剰摂取はよくありません。

肉や魚のような動物性タンパク質の過剰摂取を続けていると、クレアチニン、BUNなど腎臓の血液数値が異常になるという報告もあります。同様にリンが高めになりがちです。リンは必須栄養素の一つですが、猫の腎臓病を進行させることがあります。

慢性腎臓病は、犬や猫の腎臓の最も一般的な病気であり、残念ながら死に至ることが多い病気です。そんな腎臓病(腎不全)については「犬と猫の腎臓病(腎不全)。その症状と対応方法について解説」に詳しくまとめていますので、合わせてチェックしてみてください。

人間でも毎日高タンパクな同じ食事を食べ続けていたら、栄養が不足したり過剰になったりしてしまい、健康のための栄養バランスが崩れてしまいますよね。

猫にとってもそれは同じです。グレインフリーでも適度な炭水化物、食物繊維を含むバランスのよいフードがおすすめです。

グレインフリーのキャットフードは、穀類にアレルギーが認められる猫の心強い選択肢

グレインフリー キャットフード

日々愛猫と接していると現在の状態だけでなく、「将来の健康のために、元気なうちから体のケアをしておきたい」という思いから、グレインフリーの食生活に興味を抱くこともあるでしょう。

その際には、しっかりとメリットとデメリットの正しい情報をおさえたうえで、愛猫にあったキャットフードを選ぶことが重要です。

動物病院で検査をしてもらい、複数の穀類にアレルギーが認められる場合は、「グレインフリー」のキャットフードが、心強い選択肢となることでしょう。また実際に食べさせていく際には、猫が生き物である以上個体差があることを忘れてはいけません。

グレインフリーだから良い食事というわけではなく、またどれも同じ成分で作られた食事でもありません。栄養バランスやグレイン(穀類)の代わりにどのように炭水化物源を補っているのかなど、メーカーの考え方も参考にしながら、犬の体調や好みに合ったものを選んでいきましょう。

グレインフリー キャットフードの選び方

私たちが扱う日本で販売されているペットキュリアン社のキャットフードは、ほとんどすべてが「グレインフリー」のフードです。

とはいえ、それぞれのレシピによって、異なるコンセプトや特徴を持っています。以下のフードは、全て「グレインフリーの食事」ですが、どのような違いがあるか簡単にご紹介します。

野菜類の炭水化物を利用して栄養バランスを整えたタイプ

野菜類の炭水化物を利用して栄養バランスを整えたタイプ

例)ナウフレッシュシリーズ

ナウフレッシュのコンセプトのひとつに、なるべく多くの食材からさまざまな栄養素を摂ることで、健康的な体を維持し、体調をコントロールしよう、というポイントがあります。

そのため、多くの野菜やフルーツを配合しており、その中にはポテトやカボチャなど炭水化物源となる野菜類も配合されています。結果的に、できあがりの栄養バランスとしては、タンパク質・炭水化物・脂質がすべて程よく含まれるレシピとなっています。

グレインフリーではありますが、一定の炭水化物(糖質)を含むため、糖質太りしやすい体質の子の場合は、給与量の調整が必要かもしれません。また、グレインフリーの中でも高タンパク質のレシピを求めている場合は、コンセプトが違ってしまうかもしれませんので注意が必要です。

一方で、食材の多様性と品質、消化のしやすさ、トータルの「バランス感」にトコトンこだわったレシピですので、とても守備範囲が広く、いろいろな体質の子に合いやすい内容です。特に、お腹の健康に気を付けたい子、高タンパク質のグレインフリーフードで体調やウンチが安定しにくい子や、内臓系のお悩み(心臓・腎臓・肝臓、オシッコトラブル)を抱えている子にはおすすめのフードです。

ナウフレッシュ」の商品については、ブランドページを用意していますので合わせてチェックしてみてください。

お肉好きの猫たちの食欲、健康、体型と遊び心をサポートする高タンパク質タイプ

高タンパク質タイプ

例)ゴー カーニボアシリーズ

「カーニボア」は、「肉食・肉好き」という意味です。

そのシリーズ名のとおり、カーニボアシリーズには、たくさんのお肉やお魚が含まれており、栄養バランスとしても、高タンパク質のレシピとなっています。タンパク質の割合が高い(動物性原材料70~84%)ということは、必然的に、炭水化物・糖質の割合は低く抑えられ、「低糖質」のフードを実現しています。

良質なタンパク質は、強く引き締まった筋肉や美しい被毛をつくる源となります。ですので、もともと筋肉質な体型の子(品種)や長毛種の子、運動量の多い子には、タンパク質価が高いレシピはおすすめです。

糖質が少ないことから、避妊・去勢などで炭水化物太りしやすくなってしまった子にもおすすめできます。また、猫はもともと肉食の生き物でお肉やお魚が大好き。動物性タンパク質が多く含まれる食事は嗜好性が高いことが多いので、偏食に悩む子や飽きっぽい子も試してみるとよいかもしれません。

一方で、シニア期に入るとあまりに高タンパク質な食事は代謝の負担になる場合があります。若い子であってもタンパク質が過剰になってしまうと体調が安定しないこともあります。健康診断で、BUN(血中尿素窒素)などの数値が高い場合は、食事のタンパク質量を確認してみるとよいかもしれません。

ゴー カーニボアシリーズ」の商品については、ブランドページを用意していますので合わせてチェックしてみてください。

シンプルな食材の組み合わせでアレルギーにも対応できるタイプ

シンプルな食材の組み合わせでアレルギーにも対応できるタイプ

例)gather(ギャザー)、GO!LID

gather(ギャザー)とゴーLIDシリーズは、先にご紹介した2つのシリーズと比較すると、食材の組み合わせが非常にシンプルです。

どちらも、メインの動物性原材料を1種類に絞り、野菜やフルーツも必要最低限のものを厳選して配合しています。ですので、特定の食材にアレルギー反応が出てしまう子には、その食材が入っているかいないかを判断しやすい内容になっています。また、ポテトを配合していない「ポテトフリー」のレシピであることも特徴です。

ポテトは、猫が消化しやすくエネルギー源として活用しやすい、また嗜好性も良いという食材ですが、この食材にアレルギー反応がでてしまう子もいます。gather(ギャザー)とゴーLIDシリーズは、このようなポテトアレルギーの子にも配慮したグレインフリー・ポテトフリーの食事です。

さらに、穀類もポテトも配合していないことで、食後の血糖値の上昇をなるべく緩やかにする「低GI」に配慮した栄養バランスになっています。

一方で、非常にシンプルな配合のフードであるために、ひとつひとつの食材の配合割合が高くなり、原材料の影響を受けて香りや色にムラが出やすい場合もあります。アレルギー症状にもよりますが、ほかにも食べられるフードがある場合は、ローテーションしてみることもおすすめです。

私たちは、つい、たくさんの食材を使ったレシピのほうが、栄養バランスもよく体に良いように感じてしまいますが、猫たちの中には複雑なレシピの消化が苦手な子も、いろいろな食材が混ざっている味を好まない子もいますので、偏食に悩む子にも案外おすすめのレシピです。

ギャザーシリーズ」の商品については、ブランドページを用意していますので、合わせてチェックしてみてください。

ゴー LIDシリーズ」の商品については、詳細ページを参照ください。

合わせて読むゴー LIDシリーズ

グレインフリーのキャットフード選び方まとめ

グレインフリーのキャットフード選び方まとめ

いかがでしたか?同じメーカーの同じ「グレインフリーのフード」であっても、異なるコンセプトがあり、それぞれおすすめの子も違います。ということは、メーカーが異なれば、もっと多様なコンセプトもあるかもしれません。

「グレインフリー」と一口に言ってもとても奥が深いですよね。

もし、「グレインフリー」のキャットフードについて疑問や不安がございましたら、いつでも気軽にお問い合わせください。猫たちに良い食生活を送ってもらうためには、様々な側面から正しい情報を収集し、ときには獣医師やペットの栄養管理士といった専門家の考えを参考にすることが大切です。

ぜひ、大切な毎日の食事に今回のグレインフリーの知識を活かして、猫とハッピーな毎日を過ごしてくださいね。

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この記事を書いた人

なつ インポートマネージャー

「ペットに携わる仕事がしたい」の一心で、2年前に異業界からグローバルペットニュートリション㈱に転職。子供の頃に家にいたセキセイインコとは、友達のように喜怒哀楽を共有して一緒に育った。 学生時代の4年間をアメリカのイリノイ州で過ごす。趣味はテニスで、身体を動かすことが好き。 将来は、人間の家族と犬と一緒に朝活ランニングすることが小さな夢。

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