麻布大学 獣医学部 獣医学科卒業。東京都内の動物病院で臨床医として勤務。
その後、獣医師として栄養学をより深く学ぶことで、犬猫の健康を臨床医時代とは違う視点からもサポートできるのではと考え現在に至る。毎日欠かさず動物関係のSNSをみることで日々癒されている。
2024/09/26
人と同じように犬でも便秘になることがあり、放置すると命に関わる可能性もあります。
ではどうして犬は便秘になってしまうのか、どうなったら便秘となるのか、原因や対策について、この記事では解説していきます。
【 目 次 】
犬の排便回数は、食事内容や体格・年齢・運動量などによって異なるため、明確な排便回数の基準はありません。
そのため個体差はありますが1日1回~3回ほどが一般的といわれ、いつも通りのごはんを食べているのに2日以上排便がなければ便秘と判断されることが多いです。
また、排便姿勢をとってもうまく排便できない「しぶり」や排便痛、便に水分がなく異常に固い状態になっていることなど、日常的な排便とは違う兆候も見逃さないようにしましょう。
犬の便秘は大きく2タイプに分けられます。
腸の構造に異常があり物理的に便の通過障害が起こっている器質性便秘と、腸の動きに問題が起こり便をうまく出せない機能性便秘に分けられますが、どちらのタイプも様々な要因によって引き起こされます。
栄養バランスの乱れから便秘になる場合があります。
食物繊維は便通を良くしてくれるイメージがあると思いますが、過剰な摂取が便秘につながることもあります。
食物繊維には種類があり、水に溶けにくい不溶性繊維と溶ける可溶性繊維にわけられます。不溶性繊維は水分を含んで便のかさを増すことができますが、蠕動運動(消化管が食べ物を送るための動き)が弱まっている時には増えた便を排出できず便秘が悪化する可能性があります。
また、フードを変更すると便の量が変わることもあります。一般的に食物繊維の豊富なフードを食べると便の量が増えることがあります。
食事全体のバランスを見ながら、食物繊維も適度に摂取できる食事内容を心がけるようにすると良いでしょう。また、人と同じく水分不足でも便秘になります。脱水により便の水分量が減ることで便秘の原因になりますので、水が飲める場所を増やしたり、ドライフードをぬるま湯でふやかしたり、ウェットフードをあげたりすることも選択肢として考えると良いでしょう。
ストレスや運動不足など、生活環境によっても便秘は起こります。
トイレの汚れや新しいペットを迎えることがストレスになり自律神経が乱れたり、運動不足によって筋力が衰えたりすると蠕動運動が悪くなるためです。トイレを清潔に保つことはもちろん、そのほか急激に環境が変わることはなるべく避けたほうが良いでしょう。
散歩のときに排便している犬にとっては、散歩のリズムや回数が変わることで排便のタイミングがうまく測れずに便秘になる可能性もあります。このような時はできるだけ元の生活環境に近づけてあげることをおすすめします。また、シニア犬になると筋力も低下してきますので、排便時の踏ん張りがきかないことや、そもそも排便姿勢がとれない、ということもあります。
シニア犬になると慢性疾患や食欲減退により食事量が減ることも多く、体力や筋力、消化機能も低下するので、成犬で健康な時よりも排便量自体が減る場合があります。日頃から排便状況をよく観察しておくようにしましょう。
消化管や肛門周囲の異常だけではなく、全身性の疾患が便秘の原因となることもあります。
疾患が原因で便秘が起こっている場合は、原因疾患の治療が便秘の解消に繋がります。なかなか治らない便秘の場合には大きな疾患が隠れていることもあります。
異物や腫瘍による腸閉塞、肛門周囲の疾患、骨盤骨折だけでなく、神経疾患やホルモン系の疾患などによっても便秘が起こります。特に異物の誤飲で腸閉塞が起こっている場合や、便秘により食欲不振や嘔吐など他の症状がみられる場合は緊急性が高いことが多いので、すぐに動物病院を受診しましょう。
ワクチン接種などで年に数回は動物病院へ行く方が多いかと思いますので、その際に一緒に健康診断をしてもらったり、日常で気になる兆候があれば相談してみたりすると良いでしょう。
誤食の癖がある犬には日頃から届いてしまう場所に誤食しそうなものは置かないことや、散歩の時にリードを短くもつなどの対策もおすすめです。また、薬によっては便秘を引き起こすこともありますので、獣医師によく確認してください。
疾患や異物の誤飲など動物病院での治療が必要な場合もありますが、不要と判断された場合には自宅でもできるケアが大切です。
水分不足で脱水が起き、便秘につながっている時は以下のようにして適切な量が補給できるように心がけましょう
ドッグフードと体質が合わずに便秘になることもありますので、それぞれにとってベストな食事を探してみると良いでしょう。普段から消化に良いドッグフードをあげることで、便秘予防にも繋がります。
ドッグフードを選ぶ際には食物繊維がどのくらい含まれているのか、消化吸収に良さそうな原材料が使われているか、腸内環境を改善できるような成分が含まれているか、などに着目してみると良いかもしれません。
主原料に良質な肉や魚を使用しているフードは消化にも良く、大切な栄養素である動物性タンパク質も豊富に含んでいるためおすすめです。原材料に多く含まれているものから順番にパッケージなどに記載してありますので、フード選びの際は参考にすると良いでしょう。
また、腸内環境の改善につながるプレバイオティクスやプロバイオティクスを含んでいるかどうかも気にかけてみることもおすすめです。
軽度の便秘であればカボチャやサツマイモなどを普段のフードにトッピングしてみたりして、食物繊維を適度に摂取させてみても良いでしょう。トッピングをしてあげる場合にはあげすぎないよう、量を調整してあげてください。
善玉菌を増やしたり、便通に良いサプリなどもあるので、獣医師と相談しながら試してみるのも良いかもしれません。
散歩やドッグランに連れて行って運動させることもおすすめです。蠕動運動の改善やストレス解消にもつながる可能性があります。
便秘の原因は多岐にわたりますので、ただの便秘だと侮っていたら実は重大な疾患が原因だった、ということもあります。症状が気になる時には早めに動物病院を受診しましょう。
また、普段から口にする食事を気にかけることである程度の予防ができる可能性もあります。日頃からよく様子を観察し、それぞれに合った食事を心がけるようにしましょう。
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