麻布大学 獣医学部 獣医学科卒業。東京都内の動物病院で臨床医として勤務。
その後、獣医師として栄養学をより深く学ぶことで、犬猫の健康を臨床医時代とは違う視点からもサポートできるのではと考え現在に至る。毎日欠かさず動物関係のSNSをみることで日々癒されている。
2024/08/26
家庭で犬の体調を把握するための簡単な目安のひとつとして便の状態があります。では下痢をしている犬は、なぜ下痢になってしまったのか、その原因や対策について、この記事では解説していきます。
【 目 次 】
体調不良時の便に気づくためには、通常時の便をよく知っておくことも必要です。犬によっては少し水分が多いことが普通だったり、食事量が少なければ便が少なかったりすることもあるため日頃から便の様子や体調をよく観察し、覚えておくことも大切です。
多少の個体差はあるものの、通常健康的な便と言われているのは、茶色~こげ茶色でつやがあり、片付ける際に下に跡が残らない程度の硬さです。
下痢便とは通常時よりも水分を多く含んだ便のことで、どのくらい便の形が残っているかにもよって、軟便・泥状便・水様便にそれぞれ分類することもできます。
便の状態が通常と違う時には便の色も確認しましょう。通常の便の色ではない、白色や黒色、赤色が混ざっていることもあります。また、形状や色以外にも、通常の便には見られないもの(寄生虫や粘液など)が混在していることもあります。下痢は腸に問題があるために起こると思われがちですが、その他の原因によっても起こり得る症状です。原因疾患によっては特徴的な便もありますので、病院を受診する際には便を持参するか、できない場合は写真だけでも持って行きましょう。
今までとは違う、新しいフードに切り替えた時に、便の状態が変わることがあります。新しいフードに切り替える際には今までのフードと混ぜながら少しずつ切り替えていくことをおすすめします。また、古いフードをあげ続けるとフード内で雑菌が繁殖したり酸化がすすんだりしますので、開封後はなるべく早めに使い切った方がよいでしょう。他にも、食べ過ぎにより下痢になることもあります。
アレルギーにより下痢になることもありますので、食べたことのないおやつなどもあげる際には少しずつあげることもおすすめです。知らない間に家族が犬の身体に合わないものをあげてしまっていることもあるので、周知することも大切です。
引っ越しや季節の変わり目、花火大会や工事の騒音などによってもストレスがかかり、腸内細菌のバランスが崩れてしまい下痢になることがあります。来客やいつもよりも長いお留守番などによってもストレスがかかることもありますが、この場合はストレスとなることを取り除くと解決する可能性が高いので、まずはいつもと違う環境ではないかを確認しましょう。
下痢を起こす感染症は寄生虫やウイルス、細菌など多岐にわたります。
特に子犬では免疫力が低下しており、ウイルスに感染することもあります。代表的なウイルス性下痢は適切なワクチン接種で発症や重症化を予防することができます。
腸内に寄生虫がいることで下痢になることもあります。便に成虫や虫卵が付着していることもあれば、肉眼では見えないほどのものが付着していたりします。見た目では便の状態は正常だったとしても、顕微鏡で観察しないと感染がわからない場合もあります。
寄生虫に感染している場合には動物病院で駆虫薬を飲ませる場合が多いですが、感染により栄養不良など二次的な症状が出ている場合はそれに対する治療を行う場合もあります。また、免疫力の低下や不衛生な食器の使用などにより、細菌が過剰増殖してしまい下痢が起こることや、食中毒に伴い下痢が起こることもあります。
消化管の腫瘍や免疫疾患、内分泌疾患、膵臓疾患、腸重積など、様々な原因が考えられます。重大な疾患が隠れていることもあるため、ただの下痢と侮らずに下痢が続く場合や下痢の症状が重度の場合、下痢以外の症状も気になる場合には早めに動物病院を受診しましょう。異物を誤食してしまった場合や、犬にとって中毒になるものを食べてしまった場合にも下痢となることがありますので、犬の口に入るものには日頃から気をつけるようにしましょう。
犬の下痢は予防できないイメージがあるかもしれませんが、ある程度リスクを減らすことはできます。
適切な食事管理ができていれば食事による下痢のリスクは避けられますし、ワクチン接種や駆虫によってもある程度感染症に罹る可能性は下げられるでしょう。また、誤食の癖がある犬には届いてしまう場所に誤食しそうなものは置かないことや、散歩の時にリードを短くもつなどの対策もおすすめです。また、病気の早期発見や治療に繋げるために、定期的に健康診断をうけることも良いでしょう。
どの程度の下痢だと動物病院へ行った方がいいのか、どのくらいの下痢なら様子をみても大丈夫なのか、と悩む方も多いと思います。まず、新しいフードへの切り替えや環境の変化によるストレスなどに心当たりがある場合は原因を取り除いてあげるようにしましょう。
動物病院へ行った方がいい目安としては、
などがあげられますが、少しでも不安に思った場合は一度動物病院へ行くことをおすすめします。特に子犬やシニア犬では症状が軽く見えても免疫力が低く体力が少ないため、急激に症状が悪化することもありますので、早めに受診した方が良いでしょう。
また、受診の際には新鮮な便を持参できると糞便検査もでき、原因疾患の特定など、診断に繋がることもあります。すぐに動物病院へ行けない場合のためにいつも通りでなかったことは写真や動画に撮っておいてもいいかもしれません。
下痢以外の症状がみられず、元気もあり様子をみても大丈夫と判断した場合には、1回フードをあげずに絶食し、様子をみても良いかもしれません。その後食事を再開する時にはいつもより少量頻回を心がけるようにしましょう。
食べ過ぎが原因の場合には、少量にすると満足しないこともあるかと思います。そんな時には低カロリーのフードや、脂質が控えめの消化に良いフードへの変更する、という選択肢もあります。この方法だと消化に配慮しつつ、いつもと同じ量をあげられることになります。
下痢によって脱水となっている可能性もあるため、絶食するとしても水分は十分にとれるようにしてください。食事の際にもドライフードをふやかしてあげることや、ウェットフードをトッピングしてあげることで適度に水分補給させても良いでしょう。
普段から消化に良いドッグフードをあげることで、下痢予防にも繋がります。
主原料に良質な肉や魚を使用しているフードは消化にも良く、大切な栄養素である動物性タンパク質も豊富に含んでいるためおすすめです。原材料に多く含まれているものから順番にパッケージなどに記載してありますので、フード選びの際は参考にすると良いでしょう。
穀物をアレルゲンとする犬も多いため、犬種などによってはグレインフリーのものを選ぶことが下痢予防に繋がることもあります。また、消化のサポートになるプレバイオティクスやプロバイオティクスを含んでいるかどうかも気にかけてみることもおすすめです。
下痢の原因は多岐にわたりますので、ただの下痢だと侮っていたら実は重大な疾患が原因だった、ということもあります。症状が気になる時には早めに動物病院を受診しましょう。
また、普段から口にする食事を気にかけることである程度の予防ができる可能性もあります。日頃からよく様子を観察し、それぞれに合った食事を心がけるようにしましょう。
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