【獣医師監修】犬が食べてはいけない果物|与える際に注意が必要な果物と合わせて解説

2023/12/20

犬 果物 食べてはいけない

旬の果物を楽しむ私たちと同じように「犬にも一口分けてあげたいな」と思う飼い主も多いのではないでしょうか。ましてや果物の多くは、ビタミンや食物繊維が豊富で体に良いといった話も聞いたことがあるかもしれません。

しかし、人間には大丈夫な果物でも犬にとっては有害となる果物があります。

また大丈夫な果物でも与え方には注意が必要な場合が多く、飼い主としてしっかり理解しておく必要があります。

この記事では、犬に果物を与えたい飼い主のために「犬が食べてはいけない果物」について解説します。飼い主としてしっかり注意をし、誤って犬が口にしないようにしましょう。

犬が食べてはいけない果物

ぶどう/アボカド/イチジク/ドライフルーツ/プルーン/皮をむかない柑橘類など

以下では果物ごとに食べてはいけない詳細理由を紹介します。

ぶどう

ぶどう

ぶどうは犬にとって中毒症状を引き起こす危険な食べ物です。

食べてしまった時に起こる中毒は、「急性腎不全」の症状と考えられており、数時間〜数日の間に急激に腎臓の機能(血液のろ過、血圧の調節、pHの維持、尿中の老廃物の排泄)が低下していく状態を指します。この急性腎不全が疑われる症状として、初期では以下のようなものがあります。

  • 元気がなくなる
  • 食欲がない
  • 嘔吐
  • 下痢

より詳細は以下の記事にまとめていますので合わせて参考にしてみてください。

アボカド

アボカド

「世界でいちばん栄養価の高い果実」としてギネスブックに記録されるほどのスーパーフード「アボカド」。

実際にそんな栄養の優等生であるアボカドやアボカドオイルを使用したペット用製品も販売されています。

しかし、重篤な中毒症状を引き起こした例も報告されていることから、現時点においては食べさせない方がよいと考えられます。

アボカドを犬に与えてはいけない理由として「ペルシン」という殺菌作用のある成分が含まれていることが挙げられます。

ペルシンは、アボカドの葉・皮・種子・果肉に含まれており以下のような症状の原因になります。

  • 嘔吐
  • 下痢・軟便
  • 呼吸困難
  • 痙攣(けいれん)

より詳細は以下の記事ににまとめていますので合わせて参考にしてみてください。

イチジク

イチジク

イチジクの皮や葉、果肉には犬にとって有害な成分「フィシン」と「ソラレン」が含まれています。

「フィシン」は茎や葉に多く含まれる白い汁のことで、犬がフィシンを摂取すると、口の粘膜が荒れたり、下痢や嘔吐などの中毒症状を引き起こす場合があります。「ソラレン」という中毒性の物質も、嘔吐や下痢の症状を引き起こす恐れがあります。

ドライフルーツ

ドライフルーツ

犬にドライフルーツを与えるのはおすすめできません。

多様なフルーツが混ざっていることが多いため、犬が中毒症状を引き起こすフルーツが含まれている可能性があるほか、糖分が多く、カロリーも高いため、犬の健康に悪影響を与える可能性があります。

また食物繊維も多く含まれているため軟便や下痢の原因になることもあります。

プルーン

プルーン

プルーンにはカリウムが多く含まれており、血液中のカリウムの量が正常値よりも高くなる高カリウム血症につながる恐れがあります。

高カリウム血症になると、筋力低下、悪心・嘔吐、動悸などの症状が出ることがあります。

さらにプルーンの葉や種、茎には、「アミグダリン」という有毒な成分が含まれています。こちらの成分が犬の体内に入ると、青酸ガスが発生し、「アミグダリン中毒」を引き起こす可能性があります。

皮をむかない柑橘類

皮をむかない柑橘類

みかん、グレープフルーツ、ゆず、レモンなどの柑橘類の外側には、「ソラレン」と呼ばれる中毒成分が少量ではありますが含まれています。犬がソラレンを摂取すると、下痢や嘔吐の症状を引き起こす場合があります。

みかんのように外皮を剥けば与えることができる柑橘類もありますが、グレープフルーツやレモンのように独特の苦味や酸味などを好まない犬も多く、刺激も強く不調の原因になることもあります。

犬に与える際に注意が必要な果物

犬に与えることができる果物は多く、そのメリットもありますが、与える際には気をつけなければならない果物もあります。以下では注意すべきポイントを果物ごとに紹介します。

種や皮に含まれる有害物質に注意が必要な果物

りんご/桃/さくらんぼ/梨

りんご

りんご

りんごの種や芯には、ごく微量ですが「アミグダリン」という有毒な成分が含まれています。こちらの成分が犬の体内に入ると、青酸ガスが発生し、「アミグダリン中毒」を引き起こす可能性があります。

犬の体型や体調にもよりますが、もし中毒が起こってしまうと、食後約30分から1時間程度で、痙攣、呼吸困難、下痢、嘔吐などの症状が現れます。

与える際には種や芯は必ず取ってからあげるようにしましょう。

りんごに関するより詳細は以下の記事にまとめていますので合わせて参考にしてみてください。

桃

桃の種の内部にも「アミグダリン」という成分が含まれています。

桃の種をのどに詰まらせる可能性もありますので、必ず種を取り除いてから与えるようにしましょう。

桃に関するより詳細は以下の記事にまとめていますので合わせて参考にしてみてください。

さくらんぼ

さくらんぼ

さくらんぼの種と茎にも有毒物質「アミグダリン」が含まれています。与える際は、種と茎を必ず取り除いて果肉部分のみ与えるようにしましょう。

さくらんぼに関するより詳細は以下の記事にまとめていますので合わせて参考にしてみてください。

梨

梨の種にもごく少量ですが中毒を引き起こすアミグダリンが含まれているので、誤って食べてしまわないよう注意が必要です。必ず種と芯を取り除いてから与えましょう。

梨に関するより詳細は以下の記事にまとめていますので合わせて参考にしてみてください。

消化不良に注意が必要な果物

バナナ/いちご/スイカ/パイナップル/柿/栗

バナナ

バナナ

バナナの皮は消化が悪く、消化不良や腸閉塞などにつながりますので必ず剥いてから与えましょう。

最悪の場合、命に関わる腸閉塞を引き起こすこともありますので、剥いた皮を犬が勝手に食べてしまわないように必ず届かないところに捨てましょう。

バナナに関するより詳細は以下の記事にまとめていますので合わせて参考にしてみてください。

いちご

いちご

いちごのへたは固く、消化しにくい部位です。いちごを与える際は、人間が食べるときと同じように、必ず水で洗い、へたを切り取ってから与えましょう。

また柔らかいいちごであればそのままあげてもいいのではと思われるかもしれませんが、場合によっては喉に詰まらせる可能性もあります。カットしたり、潰したりしてから与えましょう。

いちごに関するより詳細は以下の記事にまとめていますので合わせて参考にしてみてください。

スイカ

スイカ

スイカの種や外の皮は消化に悪いので避け、赤い果肉部分だけにしましょう。

また冷蔵庫などで冷えすぎたスイカは、お腹を冷やして下痢を起こしてしまう可能性が高まるので常温のものにしましょう。

スイカに関するより詳細は以下の記事にまとめていますので合わせて参考にしてみてください。

パイナップル

パイナップル

パイナップルの葉や芯は硬く、誤飲してしまうと消化不良の原因となることがあり、皮にはトゲがあるため消化器官を傷つけてしまう可能性があります。

犬にパイナップルを与える際は、葉、芯、皮は避け、果肉部分だけにしましょう。

パイナップルに関するより詳細は以下の記事にまとめていますので合わせて参考にしてみてください。

柿

柿の皮やへたは犬には消化しにくく、特に柿の種は大きく、誤って飲み込んだら食道に詰まらせる恐れがあります。柿を与える際は、皮を剥き、必ずへたと種を取り除いてから与えるようにしましょう。

また「未成熟な柿」や「渋柿」には、嘔吐や下痢を引き起こす恐れのある「アルカロイド」という有害成分が含まれているので、柿の木の下など犬と一緒に散歩する際に落ちた実を誤ってかじってしまわないように気をつけましょう。

柿に関するより詳細は以下の記事にまとめていますので合わせて参考にしてみてください。

栗

犬に栗を与える際は、鬼皮はもちろん渋皮も取り除いてから与えるようにしましょう。

外側の硬い鬼皮は犬の胃腸を傷付ける可能性があり、渋皮は消化しにくいので食べさせるのは推奨されません。

栗に関するより詳細は以下の記事にまとめていますので合わせて参考にしてみてください。

以下の記事では、与えても大丈夫な果物についてまとめていますので合わせて参考にして下さい。

犬が食べてはいけない果物のまとめ

人間にとって栄養素たっぷりの果物であっても犬にとっては有害なことがあります。

飼い主としてしっかり注意をし、誤って犬が口にしないようにしましょう。

万が一、犬が食べてはいけない果物を食べてしまったら食べた量にかかわらず、すぐにかかりつけの動物病院に連絡をして指示を仰ぐようにしましょう。

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この記事を書いた人

パピ姉 セールス&マーケティング担当

ペットフード業界で働くこと9年目。中学生の頃よりビションフリーゼ(メス、毛が薄め)のパピの姉として育つ。それ以来、白くてふわふわな犬が好き。趣味はビショングッズ収集。図書館司書の資格をもち絵本の読み聞かせやお話し会なども行っていた。好きな絵本は「どろんこハリー」。将来は犬と一緒に心を開いて読書を楽しむ社会貢献もしたいと思っている。

監修獣医師

高橋 宏実 獣医師・ペット栄養管理士

麻布大学 獣医学部 獣医学科卒業。東京都内の動物病院で臨床医として勤務。
その後、獣医師として栄養学をより深く学ぶことで、犬猫の健康を臨床医時代とは違う視点からもサポートできるのではと考え現在に至る。毎日欠かさず動物関係のSNSをみることで日々癒されている。

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